カメラ

2024年7月17日 (水)

フォーカルプレーンシャッターの仕組み

 古くから一眼レフカメラで使用されているシャッターはフォーカルプレーンシャッターと呼ばれる機械的に作動するシャッターです。フォーカルプレーンは焦点面を意味し、フィルムやイメージセンサーの手前の焦点面の近くに配置するシャッターのことです。シャッターボタンを押すと遮光幕が稼働してフィルムに露光します。遮光幕は先幕と後幕の2枚で構成されています。

 次の図は低速時のフォーカルプレーンシャッターの動きを示したものです。撮影前は図の①のように先幕が閉じていてフィルムが遮光されています。シャッターボタンを押すと②のように先幕が開きフィルムに光が当たり露光が始まります。シャッタースピードの時間分だけ露光が行われた後、③のように後幕が閉じて露光が終了します。

フォーカルプレーンシャッターの動き(低速時)
フォーカルプレーンシャッターの動き(低速時)

 次の図は高速時のフォーカルプレーンシャッターの動きを示したものです。撮影前は図の①のように先幕が閉じていてフィルムが遮光されています。シャッターボタンを押すと②のように先幕が開き始めますが追従して後幕も閉じ始めます。このとき先幕と後幕は同じ速度で動きスリットを作ります。このスリットがフィルム面を走査しフィルムに露光します。シャッタースピードの時間分だけ露光が行われた後、③のように後幕が閉じて露光が終了します。このようにして機械的な動作を高速にしていますが、低速時は光がフィルム全面に同時に当たるのに対し、高速作動は光がスリットが開いている部分の府フィルム面のみに当たります。そのためシャッター作動中に被写体の明るさが変わると露光の状態がフィルム面で異なることになります。ですから高速時は一瞬だけ光を被写体に当てるようなストロボ撮影には向きません。

フォーカルプレーンシャッターの動き(高速時)
フォーカルプレーンシャッターの動き(高速時)

 先幕に電子シャッターを使い、後幕にメカシャッターを使用したもは電子先幕シャッターといいます。

 

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

人気ブログランキングへ

| | | コメント (0)

2024年7月12日 (金)

一眼レフカメラとミラーレス1眼カメラの違い

一眼レフカメラの仕組み

 一眼レフカメラはカメラ内部にミラーが存在しています。次の図は銀塩フィルムの一眼レフカメラの仕組みを示したものです。レンズを通して入ってきた光はミラーで反射され上部のペンタプリズムに送られます。撮影時に被写体をファインダーで確認しながらシャッターを押すことができます。シャッターボタンを押すとミラーが跳ね上がりフィルムの直前のシャッターが開きます。シャッターが開くとフィルム面に像が映りフィルムが感光します。

銀塩一眼レフカメラの仕組み
銀塩一眼レフカメラの仕組み

デジタル一眼レフカメラの仕組み

 デジタル一眼レフカメラは銀塩フィルムをイメージセンサーに置き換えたものです。撮影時に被写体をファインダーでのぞくことができます。シャッターボタンを押すとミラーが跳ね上がりイメージセンサー直前のシャッターが開きます。シャッターが開くとイメージセンサーに像が映り画像が記録されます。多くのものにはモニター画面が取り付けられており撮影時や撮影後に画像を確認することができます。

デジタル一眼レフカメラの仕組み
デジタル一眼レフカメラの仕組み

ミラーレス一眼カメラの仕組み

 ミラーレス一眼カメラはカメラ内部にミラーやペンタプリズムが存在しません。レンズを通して入ってきた光はイメージセンサーに直接当たります。像はファインダーや液晶モニターに表示されます。シャッターボタンを押すとイメージセンサーの直前のシャッターが開きます。シャッターが開くとイメージセンサーに像が映り画像が記録されます。最近では機械的に作動するメカシャッターではなくイメージセンサーが決められた時間で像を読み込む電子シャッターを採用したものも多くなってきました。

デジタルミラーレス一眼レカメラの仕組み
デジタルミラーレス一眼レカメラの仕組み

メカシャッターと電子シャッターの違い

 メカシャッターはフォーカルプレーンシャッターとも呼ばれます。先幕と後幕の2つの幕を機械的に動かすことによって撮影するシャッターです。確実に光を遮断できシャッターが開いたときに露光を一度に行なうため動体の撮影で歪みが生じることがない、蛍光灯などの照明によるチラつきが起きにくい、ストロボが使えるという利点があります。反面、シャッターを機械的に動かすためシャッター音が発生する、連射速度を高速にできない、シャッターの作動によるブレが生じるなどの欠点があります。

 電子シャッターはイメージセンサーのON/OFFで露光を行います。シャッターボタンを押すとをイメージセンサーの上部側のセンサーから順番に露光を行ないます。これをローリングシャッター方式といいます。機械的な作動がないためシャッタースピードを高速にできる、高速連射ができる、シャッター音を無音にできる、シャッターの作動によるブレが生じない、耐久性に優れるなどの利点があります。反面、露光を一度に行うことができないため動体の撮影で歪が生じやすい、蛍光灯などの照明によるチラつきが起きる、ストロボが使えないなどの欠点があります。

 先幕に電子シャッターを使い、後幕にメカシャッターを使用するして撮影する電子先幕というシャッター方式もあります。メカシャッターよりも高速撮影が可能でストロボの使用も可能なメカシャッターと電子シャッターの利点と欠点を持ち合わせたシャッターです。

 

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

人気ブログランキングへ

| | | コメント (0)

2020年7月 7日 (火)

CASIO QV-10A-コンパクトデジタルカメラの市場を開いたデジカメ

 CASIO QV-10Aはカシオ計算機が1996年に発売したコンパクトデジタルカメラです。1年前の1995年にCASIO QV-10というモデルが発売されていますが、QV-10AはQV-10の改良版になります。QV-10には撮影した写真の下部が緑色を呈するという問題がありました。QV-10Aではこの問題が解決されています。

Casioqv10a1

 コンパクトデジタルカメラはCASIOのQV-10やQV-10Aの発売前にもありましたが、実質的にデジタルカメラの市場を大きく開いたのは、斬新な特徴をもったCASIOのQV-10とQV-10Aと言っても過言ではないでしょう。

 どこが斬新だったかというと・・・

 まず、1番目の特徴は液晶パネルを搭載した世界初のデジタルカメラで、撮影中の画像や撮影後の写真をその場で確認することができました。銀塩カメラしか使ったことのない人には衝撃的な機能でした。

Casioqv10a2

 第2の特徴はレンズを回すと自撮りができたということです。この時代に自撮りを先取りしていたのはすごいことです。銀塩カメラで自撮りする場合は勘で撮影するしかありませんでしたが、このカメラは液晶モニターで確認しながらの自撮りが可能でした。

Casioqv10a3

そして、第3の特徴は撮影した写真をパソコンで取り込んだり、テレビに映すことができました。カメラの丈夫には撮影に必要なボタンやパソコンなどに接続するためのコネクタがあります。

Casioqv10a4

 1995年にはWindows 95が発売開始となり、パソコンで画像を見る機会も増えてきました。また、商用インターネットが始まり、ホームページを作る人が増えてきました。QV-10やQV-10Aはホームページに掲載する写真を撮影するカメラとしてはたいへん便利だったのです。

 撮像素子は、なんと25万画素の1/5インチのCCDイメージセンサーで、320x240ドットの写真を撮影することができました。メモリは2MBで前述のサイズの写真を96枚撮影することができました。

 下記の写真は、当時、新幹線に乗ったときに富士山を撮影したものです。

Temp084

 レンズが単焦点だったり、電池の消耗が早いなどの欠点もありましたが、自分の周りには、このカメラを持っていた人はずいぶんいました。自分もこのカメラをきっかけにデジタルカメラを買うようになりました。

人気ブログランキングへ

| | | コメント (0)

2020年6月 6日 (土)

光学ガラス製のガラス玉

水晶玉 60mm 無色透明 クリア台座付き 宙玉撮影 クリスタルボール レンズボール 撮影 水晶球

ガラス玉があると、魚眼レンズの観察や虹ができる仕組み(水滴中の光の進み方)など、いろいろな実験ができます。以前は、大きなものを手軽な価格で入手するのは困難でしたが、最近になって中国製の安価なものを入手できるようになりました。直径60 mmで1,280円、80 mmで1,680円です。この値段だと複数個変える値段です。

Photo_20200605185001

 水晶玉とありますが、もちろん天然水晶であるはずはありません。Amazonのサイトには【K9クリスタル素材を採用、透明度が高いボール】とあります。K9というからには光学ガラスのクラウンガラスだと思いますが、K9というのは聞いたことがありません。調べてみたら、BK7と同じもののようです。BK7はホウケイ酸塩クラウン光学ガラスで、合成石英でもありません。ですので、水晶という表現は適切ではないのですが、実験道具としてはBK7で十分です。

人気ブログランキングへ

【関連記事】

 

 

| | | コメント (0)

2020年5月18日 (月)

ピッカリコニカ コニカC35EF

 ピッカリコニカことコニカC35EFはコニカ(旧小西六、現コニカミノルタ )が1975年に販売したエレクトロフラッシュ(ストロボ)内臓のカメラです。写真は1976年に発売された改良型のコニカニューC35EDです。コニカC35EFにセルフタイマーを搭載(レンズ左側のレバー)されたものです。

ピッカリコニカ コニカC35EF

 エレクトロフラッシュが復旧する前は、ストロボと言えば、ストロボバルブ(閃光電球)で、撮影ごとに電球の交換をする必要があるなど、素人には扱いにくいものでした。電球の交換も不要で何度でも使えるエレクトロフラッシュの登場により、カメラのフラッシュが一般の人でも簡単に使えるようになりました。

 この便利なエレクトロフラッシュをカメラに内臓したのが、コニカCF35EFです。カメラにフラッシュが内臓されたことにより、暗いところでも簡単に撮影できるカメラとして、ピッカリコニカという愛称で大ヒットしました。

コニカC35EFの主な仕様

レンズ ヘキサノン38 mm F2.8 3群4枚
シャッタースピード 1/60秒 1/125秒 自動切換※
絞り 2.8〜16
露出 プログラムAE方式
ピント調節 目測式 1m〜無限遠
内臓ストロボ GN14(ISO100)

※コニカニューC35EFでは1/250秒が搭載された。

 なお、コニカC35EFが世界初のストロボ内臓カメラという説明をよく見かけますが、世界初のストロボ内臓カメラドイツのフォクトレンダー社のビトローナというカメラです。コニカC35EFが発売される10年以上の前の1964年に発売されています。ビトローナはストロボは内臓だったのですが、電池ケースとコンデンサーが外付けだったため、使い勝手はあまりよくありませんでした。そのため、世界初のストロボ内臓カメラにもかかわらず、それほど復旧しませんでした。コニカC35EFは、世界で初めてもっとも普及したストロボ内臓カメラとは言えるでしょう。

 もともとコニカC53は1968年に発売がされていますが、いろいろと機能が追加されC53シリーズは進化していきました。1983年に終売となっています。当初のコニカC53シリーズのボディは金属製でしたが、C35EFの開発において感電事故が起きたため、ボディがプラスチック製となりました。

 現在、コニカC35EFはジャンク品をよく見かけます。ヤフオクでは完動する良品も出ることもあるようです。

ピッカリコニカ コニカC35EF

写真のコニカニューC35EFは実際に使っていたものです。フィルムを入れての撮影は最近は行っていませんが未だ使えるはずと思います。

人気ブログランキングへ

| | | コメント (0)