数学

2021年4月 8日 (木)

√2が開いた科学の扉

異端視されたデモクリトスの原子論

 世の中のすべてのものが原子と原子の結びつきからなるという原子論を唱えたデモクリトスは、唯物論者であり、また機械論者でもありました。デモクリストスはこの世界に存在するものや事象はすべて必然の結果であるとし、その対象は人間の思考や行動にまで及ぶと考えました。人間の肉体は原子からなるのだから、人間の思考や行動が未来でどうなるかは予め決められており、筋書き通りになると考えたのです。

クリ
デモクリトス

 このような機械論的な思想は原子論の流布の妨げになりました。実際、その後の古代ギリシャ哲学は、プラトンやアリストテレスの人間主義的な思想が主流となりました。デモクリトスの原子論は封印され、四元素説が広まりました。

万物の根源は数としたピタゴラス 

 デモクリトスはピタゴラスを崇拝し、ピタゴラス学派の思想を受け継いだとされています。

ピタゴラス
ピタゴラス

 一般に、ピタゴラスは数学者と知られていますが、実際には新興宗教ピタゴラス教団の開祖でした。この教団は、霊魂は不滅であり、あの世に旅立った霊魂は、この世に生まれ変わるという輪廻転生の考えを持っていました。そして、宇宙は厳格な法則で成立していると考え、輪廻転生から解脱し、魂を肉体の支配から解放するには、その法則を深く理解する必要があると考えました。

日の出を祝うピタゴラス(1869, Fyodor Bronnikov)
日の出を祝うピタゴラス(1869, Fyodor Bronnikov)

 やがて、ピタゴラス学派の哲学者たちは天文学や音楽から宇宙の法則を考えるようになりました。たとえば、天文学では、月の満ち欠けや、星座の動きには法則があると考えました。

 月の満ち欠けと太陽と地球と月の位置の関係
月の満ち欠けと太陽と地球と月の位置の関係

 音楽の分野では、一本の弦を奏でたときに鳴る音の規則性を発見しています。ドの音が鳴る弦の1/2を押さえて弾くと1オクターブ高いドが鳴り、2/3を弾くとソが鳴り、3/4を弾くとファがなります。弦が美しい音を奏でるのは数の比が関係しているに違いないと考えました。

弦の長さとハ長調の音階の関係
弦の長さとハ長調の音階の関係

 このような結果から、彼らは、この世界は数の比で秩序づけられており、美しく調和していると考えました。そして、数の比の関係を神聖な数と考えられていた10と関連づけ、テトラクテュスという図で示しました。テトラクテュスは頂点が1つ、2列目が2つ、3列目が3つ、4列目が4つの点から成る図形です。単純な整数の比によって美しい正三角形ができることを示しています。

テトラクテュス
テトラクテュス

 そして、この調和をハルモニアと呼び、宇宙の本質は数の比であり、すべてのものは数に置き換えられると考え、「万物の根源は数である」と結論づけたのです。

すべてが数の比で表すことができるのか

 ピタゴラス学派の哲学者たちは、ハルモニアが数の比でもたらされるならば、この世に存在するものは、それ以上分割できない最小単位からなると考えました。そして、この考えを空間や時間にも適用し、それらも最小単位からなると考えました。彼らは、世界は、数と数の比で表すことができる美しいものであると考えたのです。

 ところが、ピタゴラスの弟子のヒッパソスは、ピタゴラスの定理を考えているうちに、数と数の比で表せない数があることを発見しました。彼は二乗すると2となる数字を数の比で表そうと試みましたが、それが絶対に無理であることに気がつきました。

ピタゴラスの定理
ピタゴラスの定理

 ヒッパソスはこのことをピタゴラスに伝えましたが、ピタゴラスは彼の発見が教団の考えを覆すことを直ちに理解し、彼に決して口外してはならぬと命じました。真偽はともかく、この発見を闇に葬るためヒッパソスが殺されたという説もありますから、ピタゴラスはこの発見に驚愕し、警戒したのは間違いないようです。

ヒッパソスヒッパソス

 ヒッパソスが見い出した数と数の比で表せない数とは√2のことですが、√2そのものは彼が発見したわけではありません。紀元前2千年のメソポタミアで栄えたバビロニアの遺跡から発掘された石版にその近似値が六十進法で記述されています。また、古代の人々はロープを使って次のオ図のような手順で平方根を作図できたと考えられます。

平方根の作図.png
平方根の作図.png

実数が科学の扉を開いた

 数には分数で表せる有理数と、分数で表せない無理数があります。ヒッパソスが「世界で初めて発見した数」とは無理数のことです。

 有理数は1/2や3/4など分数で表すことができます。2/3は割り切れず0.6666…と6が無限に続く小数ですが、整数の比で表せるので有理数です。2/7は0.285714285714…と285714が繰り返し続きますが、これも整数の比で表せるので有理数です。

有理数と無理数
有理数と無理数

 一方、無理数は分数で表すことができない数です。その例には√2や√3、円周率πや自然対数の底eなどがあります。これらの数字は繰り返しのパターンがなく、無限に続く小数です。

  √2 = 1.41421356237309504880・・・
  √3 = 1.73205080756887729352・・・
  π  = 3.14159265358979323846・・・
  e  = 2.71828182845904523536・・・

 ヒッパソスが無理数を発見したとき、哲学者たちは混乱しました。しかし、彼らは、やがてその混乱から脱却し、有理数と無理数を合わせた実数という概念を作り上げました。

 実数の概念は数学を発展させることになり、科学を発展させることにもなりました。数学を使えば、物体の運動など多くの現象を数で表すことができます。また数学からの新発見もあります。たとえば、マクスウェルは、電磁波が発見される20年も前に、数学で電磁波の存在を予測しています。アインシュタインも数学で相対性理論を導き出しました。そして、現在の科学者たちは素粒子の世界を数学を駆使して解明しようとしているのです。

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2021年3月30日 (火)

無限の猿定理とは

バベルの図書館の収蔵されている本

 バベルの図書館のすべての所蔵本は25個の文字をでたらめに組み合わせでできています。そのため、バベルの図書館に収蔵本はでたらめに文字が羅列した意味のない本が多数を占めますが、その中には意味の通じる本もあります。

 たとえば、ウィリアム・シェークスピアのような作品ができあがる確率はどれぐらいになるでしょうか。確率は0ではありませんが、限りなく0に近いでしょう。シェークスピアのような作品ができあがるのは奇跡に近いのですが、十分に時間をかければ意味の通じる本ができあがると考えることもできるでしょう。

 乱数で文字列を発生し一冊の意味ある本ができあがる確率は「無限の猿定理」で考えることができます。

参考:光と色とバベルの図書館の所蔵数は何冊か

無限の猿定理とは

 猿が十分に長い時間をかけてキーボードを適当に打ち続けると、やがてシェイクスピアの作品の文章ができあがることもある。これが無限の猿
定理です。これは十分に長い時間をかけてランダムに1文字ずつ打ち出すと、どんな文字列でも作り上げられるという意味です。この定理によると、この記事も十分に時間さえかければ何の意図もなくできあがってしまうことになります。

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 もちろん猿がキーボードを適当に打ち続けるという条件は無理があります。猿は同じキーをずっと打ち続けたり、キーボードを壊したりしてしまうでしょう。ですから、猿を使った説明はあくまでも比喩です。そこでコンピュータで乱数を発生させてランダムに文字を打ち出すことを考えることにしましょう。また、シェークスピアの作品を例に説明すると、あまりに文字数が多くて話が複雑になるため簡単な例で考えてみましょう。

 MONKEYが打ち出される確率

 いまAからZまでの26文字の大文字のアルファベットからなるキーボードで文字をランダムに打ち出すことを考えます。このキーボードで任意の一文字が打ち出される確率は1/26です。m文字の文字列が打ち出される確率は 1/26mとなります。

 MONKEYは6文字ですからMONKEYが打ち出される確率は1/266、約3億890万分の1となります。仮に1秒で6文字打ち出せるとしても、すべての組み合わせを打ち出すのに要する時間は約3億890万秒、10年弱かかります。この確率は単語の文字数が大きくなるほど小さくなります。8文字になると約6,600年に1度、10文字になると約450万年に1度、12文字なると約30億年に1度になります。

 さて、実際のタイプライターやパソコンのキーボードのキーの数は約100個です。このキーボードでm文字の文字列が打ち出される確率は 1/100mとなります。6文字のMONKEYが打ち出される確率を同様に計算してみると、1/1006で1兆分の1で3万年に1度となります。8文字の確率は1京分の1で3億年に1度、9文字では100京分の1で300億年に1度です。これは宇宙の歴史138億年を上回ります。

Monkey
キーボードでMONKEYを打ち出す

俳句が打ち出される確率

 次にもう少し文字数を大きくして世界でもっとも短い詩である五・七・五の文字列からなる俳句について考えてみましょう。ひらがな50文字のキーボードを使うとすると、俳句の組み合わせは 5017 通りとなります。これは7の後ろに0が28個も続く大きな数字です。

 松尾芭蕉の「ふるいけや かわずとびこむ みずのおと」や与謝蕪村の「なのはなや つきはひがしに ひはにしに」という俳句ができる確率は 1/5017 であり極めて小さい値となります。

 シェイクスピアの「ハムレット」に出てくる有名な一文「To be, or not to be: that is the question.」で考えるとどうなるでしょうか。この台詞はスペースとカンマとコロンとピリオドを除くとちょうど 30 文字あります。大文字のアルファベット 26 文字のキーボードで考えると、この台詞ができあがる確率は 1/2630 となります。100 個のキーボードで打ち出される確率を考えると 1/10030 になります。

 10030 は1の後ろに 60 個も続く大きな数字です。いずれにしても作品中の文章がすべて打ち出される確率は極めて0に近い値であることは容易に想像できます。ハムレットの台詞が打ち出される事象が起きる可能性はほとんどないと言えるでしょう。

猿の数を増やすとどうなる

 さて「無限の猿の定理」の意味を考えると、確率は極めて低いものの理論的には十分に長い時間をかけるとシェイクスピアの作品がいつかは打ち出されることになります。ここでもう一度MONKEY を打ち出す実験を考えてみましょう。キーが 100 個のキーボードで MONKEY が打ち出される確率は1兆分の1で、1秒間に6文字打ち出すと、すべての組み合わせを打ち出すのに1兆秒かかる結果となりました。

 それでは、キーボードを1兆台用意して、1兆匹の猿がいっせいにキーボードを打ち始めたらどうなるでしょう。理論的には1秒後に1兆台のキーボードのうちどれか1台のキーボードが MONKEY を打ち出すことになるはずです。数秒後、1分後はどうでしょうか。ほぼ確実に MONKEY という文字列が打ち出されると言えるのではないでしょうか。

 このような条件は理論的にはいくらでも設定することが可能です。しかし、現実離れした条件を設定した場合、実際に確かめる術はありません。

無限の猿定理は現物実験で確かめることはできない

「無限の猿定理」は単純に言ってしまえば「何度も繰り返せばそのうち当たりが出る」と言っているのと同じです。しかし、無限の猿定理の事象が本当に起きるかどうかを確かめるには途方もない時間や途方もない数の装置を必要とするため「現物実験」で確かめることはできません。そのため、無限の猿定理の問題は「思考実験」で取り組む必要があるわけです。

 現物実験とは一口で言えば実在する物を使った実験のことです。科学の理論や法則に基づいて、条件などを変えながら、現物を使って実験を行います。実験から得られたデータをもとに、仮説を立てたり、結論を導き出したりします。

 一方、思考実験とは実際に実験を行わず、設定した前提条件をもとに、理論的に導かれる現象を思考のみによって解き明かしていくことです。言い換えれば、実際に実験できないことを、頭の中であれこれと考えてみることです。あれこれ考えると言っても、思考実験はあくまで科学の理論や法則に忠実に則って進めなければなりません。その約束が守られている限りにおいては、思考実験によって従来の科学の枠を超えた新しい科学の理論を導き出すことも可能です。事実、たくさんの新しい科学の理論体系が思考実験によって導き出されてきました。

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2021年3月11日 (木)

円周率はどのように求められるか

 古代のエジプト、バビロニア、インド、ギリシアの哲学者たちは、円の円周と直径の比が円の大きさに関係なく、円周は直径の3倍より少し大きい値になることを知っていました。そして、その円周の比の正しい数値を求めることに多くの時間が費やされました。その数値とは円周率のおとです。

 円周率は任意の大きさの円の円周をその直径で割った値です。円周率は記号πで表します。πはギリシア文字で周辺・円周・周などを意味するπερίμετροςあるいは περιφέρειαに由来します。また、円周率は整数の比で表すことができない無理数で循環しない無限小数です。

 π = 3.14159 26535 89793 23846 26433 83279 50288  …

 いま直径 d の円の円周を c とすると、

 c = πd

で表すことができます。ここで円周 c と同じ長さの直線と直径 d と同じ長さの直線を比較すると次の図のようになります。円周は直径の(3+α)倍であることがわかり、αを実測してみると約0.14dであることがわかります。

円周cと直径dの比較
円周cと直径dの比較

 この図からもわかる通り、目的に応じて円周率を3として概算することは理にかなっていると思います。しかし、同時に概算でどれぐらいのずれが生じるかを想像できないと「目的に応じて」を見失うことになってしまいます。

 たとえば直径 dの円周を 3d と概算したとしましょう。実際の円周は約3.14dですが、3dは次の図のように直径 d の円に内接する正六角形の周の長さと同じです( d/2 × 6 = 3d )。3d は直径 d の円周の近似値であり、図から円周は 3d より大きいことがわかります。さらにこの円に外接する正方形を考えてみましょう。この正方形の周の長さは 4d ですから、円周は4dより小さいことがわかります。つまり、

 3d < 円周の大きさ < 4d となります。

半径 dの円に内接する正六角形
半径 dの円に内接する正六角形

 続いてこの円に外接する六角形について考えてみましょう。直角三角形を考慮すると一辺の長さは d/(2√3)×2 で d/√3 になります。よって、この六角形の周の長さは 6d/√3 で約3.46d になります。つまり、

 3d < 円周の大きさ < 3.46d となります。

半径 dの円に外接する正六角形
半径 dの円に外接する正六角形

 円周をより正確に求めるためには、正多角形の角数を増やす必要があります。次の図は半径 dの円に内接および外接する正十二角形を示したものです。六角形のときと同様にそれぞれの周の長さを求めると、

 3.11 d < 円周の長さ < 3.22d となります。

半径 dの円に内接および外接する正十二角形
半径 dの円に内接および外接する正十二角形

 図は省略しますが、さらに正多角形の角数を増やしていくと、

 正二十四角形 3.1326d < 円周の長さ < 3.1597d

 正四十八角形 3.1393d < 円周の長さ < 3.1461d

 正九十六角形 3.1408d < 円周の長さ < 3.1428d

 正五百角形  3.1415d < 円周の長さ < 3.1416d

となり、本当の円周の長さ 3.141592654…d に近づいていきます。

 直径dが1の場合は円周が円周率と同じ大きさになります。つまり、長さ1の直線を直径する円を描いた場合、その円周が円周率になるということです。実は円周率はこのように求められたのです。古代ギリシアのアルキメデスは正九十六角形を使って円周率を求めたそうです。

 さて図では円周の長さは決まっているのに、数字で表すと小数点以下が延々と続く無理数となります。同じように長さ1の直線を1辺とする正方形を描いた場合、その対角線の長さは√2になります。√2も小数点以下が延々と続く無理数となります。単純な1を基本とする図形から無理数が現れてくるのは面白いですね。

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2021年3月 9日 (火)

バベルの図書館の所蔵数は何冊か

バベルの図書館とは

 バベルの図書館はアルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスが1941年に発表した短編小説「バベルの図書館」に登場する同名の図書館です。この図書館にはいったいどのような本がどれぐらい所蔵されているのでしょうか。

ホルヘ・ルイス・ボルヘス
ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1940年代)

バベルの図書館の構造

 まずはバベルの図書館の構造からみていきましょう。バベルの図書館は蜂の巣状に無限に連なった六角形の部屋が無限に積み重なった建物です。それぞれの六角形の部屋は図書の閲覧室となっており、すべて同じ構造をしています。六角形の部屋の中央には吹き抜けがあります。6面のうち4面は本棚となっています。ひとつの本棚は5段で1段には本が32冊収蔵されています。残りの2面はホールに通じています。このホールには2つの入り口があります。ホールの内部の左右には小部屋へと続く扉があります。小部屋のひとつは立ったまま眠ることができる寝室、もうひとつはトイレになっています。このホールから同じ階層の隣の閲覧室に移動することができます。また、上下の閲覧室に移動するための螺旋階段が設置されています。照明はランプという名前の光を放つ果実でもたらされています。

バベルの図書館の構造(想像図)
バベルの図書館の構造(想像図)

 バベルの図書館の構造は下記のサイトに掲載されている図がわかりやすいと思います。

OPEN CULTURE

What Does Jorge Luis Borges’ “Library of Babel” Look Like? An Accurate Illustration Created with 3D Modeling Software

 さてバベルの図書館には、司書・探索係・翻訳者が住んでいます。彼らはバベルの図書館で一生を過ごし、死者は中央の吹き抜けから落とされます。一人の年老いた司書の回想によりバベルの図書館の物語が進んでいきます。

バベルの図書館の所蔵本

 バベルの図書館に所蔵されている本は全て同じサイズで、どの本も1ページあたり80文字×40行で410ページという構成になっています。本に使われている文字は小文字のアルファベット22文字と空白、コンマ、ピリオドの3文字を合わせた25文字しか使われておらず、同じ本は存在しません。

 バベルの図書館はこの25文字の組み合わせからなる文章でできあがった本をすべて収蔵しています。つまり、これまでに出版された本、これから出版される本がすべて所蔵されいるのと同時にでたらめに文字が羅列しているだけの意味のない本も収蔵されています。たとえば全てが同じアルファベット1文字が羅列した本やすべて空白の本などもあるはずですし、シェークスピアの作品も収蔵されているはずです。でたらめに文字が並んだ本が多いはずですから、バベルの図書館に収蔵されている本の大半は意味のない本ということになります。

バベルの図書館の所蔵数

 バベルの図書館に所蔵されている本の数は文字の組み合わせで考えることができます。1冊の本は80文字×40行×410ページ=1,312,000文字から成ります。

 使われている25文字の組み合わせでできる本の数は25を1,312,000回掛け算した数字になります。つまり、251312000 冊となります。

 これを普通の電卓で計算しようとするとオーバーフローでエラーになってしまいますが、計算サイトでは計算できます。答えは

 1.95603991760133212911×101834097 冊

 となります。

 バベルの図書館にはとんでもない数の本が所蔵されていることになります。

バベルの図書館の所蔵本はどのようにして作られたか

 バベルの図書館の所蔵本はすべて25文字の組み合わせでできています。でたらめに文字が羅列した本が多数あるということは、これらの本は乱数で文字を発生して並べて作られたと考えられます。

 それではシェークスピアのような作品ができあがる確率はどれぐらいでしょうか。確率は0ではありませんが、作品ができあがる可能性はかなり低く奇跡に近いでしょう。つまり、バベルの図書館に意味の通じる本が収蔵されているのは奇跡的なことで、いったいどれぐらいの時間をかけて意味の通じる所蔵本ができあがるのか想像がつきません。

 乱数で文字列を発生し一冊の意味ある本ができあがる確率は「無限の猿定理」で考えることができます。「無限の猿定理」についてはまたの機会に紹介することにしましょう。

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2012年9月16日 (日)

【問題】アレクサンドリアのディオファントスの人生

 紀元200年ぐらいにエジプトの都市アレクサンドリアにディオファントスという古代ギリシャの数学者が住んでいました。

 彼は「アリトメティカ(算術)」という全13巻にも及ぶ著書を残し、歴史上初めて記号を使った方程式を解いた数学者と考えられています。

 そのディオファントスの墓碑には次のように記されています。

ディオファントスの生涯は、その1/6が少年期、1/12が青年期であり、その後に生涯の1/7を独身として過ごしてから結婚した。結婚して5年で子供に恵まれたが、その子はディオファントスの障害の1/2で世を去った。そして、自分の子を失った4年後にディオファントスもこの世を去った。

 さて、ここで問題です。

この記述から、ディオファントスの生涯は何年だったでしょうか。何歳で死んだかということです。

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