生物

2022年6月23日 (木)

真鯉と緋鯉の違い|緋鯉(ヒゴイ)が赤い理由

 先日、近所の河原を歩いたら真鯉(マゴイ)の群れを見つけました。なかなか壮観でしたが、しばらくすると緋鯉(ヒゴイ)が現れました。真鯉(マゴイ)の体色は黒色で緋鯉(ヒゴイ)の体色は赤色や赤黄色ですが、真鯉と緋鯉の違いは何でしょうか。

真鯉(マゴイ)と緋鯉(ヒゴイ)
真鯉(マゴイ)と緋鯉(ヒゴイ)

 真鯉も緋鯉もコイ目・コイ科に分類される同じ魚でコイのことです。コイは大型の淡水魚で、その名前は体が肥えていることや味が肥えていることに由来します。真鯉も緋鯉も天然のコイで全く同じ魚ですが、緋鯉を含む色鯉は真鯉の突然変異したものです。漢字の「緋」は火のような濃く明るい紅色を意味していますから、緋鯉は赤色のコイのことです。

 魚は色素胞と呼ばれる色素細胞を持っています。代表的なものはメラニン色素を含む黒色素胞、カロテノイドやプテリジンの色素を含む赤色素胞や黄色素胞でこれらは光吸収性色素胞といいます。また色素は含まれないが光を散乱反射する白色素胞、魚類独特の構造色による銀白色を呈するグアニン板状結晶を含む虹色素胞があります。これらの色素胞によって魚の体色が決まります。

 普通の真鯉はメラニンを含んだ黒色素胞が多いため黒色の体色をしています。ところが突然変異でメラニン色素の少ないコイが生まれることがあります。このような突然変異のコイはカロテノイド色素やプテリジン色素が多いため赤や赤黄色の体色になります。このようなコイを緋鯉(ヒゴイ)と呼びます。天然の緋鯉を飼育して品種改良したコイが美しい錦鯉(ニシキゴイ)です。この関係は真鮒(マブナ)、緋鮒(ヒブナ)、金魚も同じです。

 なお天然では緋鯉は目立つため天敵に狙われやすく大きく育つのは希です。写真の緋鯉は天然のものと考えられますが、色合いが悪くて売り物にならない錦鯉が放流されることもあるようです。

 ※写真に映っているコイが細長く見えるのは水面での光の屈折によるもので水底が浅く見える現象と同じです。

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2021年7月30日 (金)

見る―眼の誕生はわたしたちをどう変えたか

見る―眼の誕生はわたしたちをどう変えたか

サイモン・イングス (著) 吉田 利子 (翻訳)

 2009年に出版された本ですが、眼に関する様々なことが解説された本です。いろいろな動物の眼の進化や仕組みなどを解説しています。また、ヒトの視覚の研究の歴史についても触れられており、過去の科学者の取り組みなどを紹介しています。眼について光学と生物学だけではなく、幅広い分野の話を取り上げています。

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単行本: 450ページ
出版社: 早川書房 (2009/1/23)
ISBN-10: 4152089997
ISBN-13: 978-4152089991
発売日: 2009/1/23
商品の寸法: 18.6 x 14.2 x 3.4 cm

【内容】

 光を効率よくとらえようとしてさまざまな生き物が眼を発達させ、見るという能力を獲得した。これまで見つかった最大の眼は、巨大なダイオウイカのもので、目玉の直径が40センチあったという。イカの眼とヒトの眼はまったく異なる進化をたどってきたものだが、それでも両者はじつによく似た構造をしているのだ。

 では、わたしたちはどうやってものを見ているのだろう。多くの哲学者や科学者がその謎に取り組んできた。プラトンは、眼がある種の光線を放射するおかげでものが見えるのだと唱えた。19世紀、死者の網膜には像が残ると言われ、殺人事件の捜査で眼球の写真が撮られた。色覚障害のあった科学者ドルトンは、自分の眼球の色が異なるのだと考え、死後に自分の眼を解剖させている。

 眼には想像以上の物語がある。眼の進化と意識、色覚や錯覚に隠された秘密、視覚の未来まで、眼と「見ること」のすべてを探る

 

・触れて触る眼―ホシバナモグラの鼻、ハダカデバネズミ
・カンブリア紀の大爆発と眼の誕生
・三葉虫のひさしを持った眼、あいだをおいてはめ込まれた眼
・ショウジョウバエの脚に作られた眼
・第三の眼、松果体
・「視光線」を放射している眼?
・色と言葉
・ステレオグラム
・殺人の原因にもなった視覚の化学
・虹が10色に見える4色型色覚をもつ女性
 その他

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2020年12月14日 (月)

木々の葉が黄色や赤色に色付く理由|紅葉の仕組み

紅葉する樹木は

 秋が深まる頃、木々の葉が黄色や赤色に色づき、鮮やかな紅葉を楽しむことができます。紅葉とは樹木の葉が落葉の前に色が変わることですが、全ての全ての木が紅葉するわけではありません。紅葉するのはカエデやイチョウなどの落葉樹で、秋が深まると一斉に葉を落とします。一方、マツやスギなどの常葉樹は1年を通して深緑の葉を留めています。落葉樹のように一斉に葉を落とすことはありませんが、古くなった葉は落として、新しい葉に変えていきます。

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葉はどうして緑色なのか

 植物は光合成によって無機物である二酸化炭素と水からブドウ糖をつくり、それをもとにデンプンやタンパク質など生きていくために必要なエネルギー源や体を作る物質を合成しています。光合成は葉の細胞に含まれている葉緑体で行われます。植物の葉が緑色に見えるのは細胞内に葉緑体がたくさん存在しているからです。葉緑体にはクロロフィル(葉緑素)という色素が含まれています。

光合成の仕組み
光合成の仕組み

 葉にはクロロフィル以外にもカロテノイドという黄、橙、赤色を示す色素が含まれています。しかし、光合成を盛んに行っている春や夏はクロロフィルの色素がたくさん存在するため、葉は全体としては緑色に見えます。

 次の図はクロロフィルの吸収スペクトルです。クロロフィルは500 nm以下の青色光と600 nm以上の赤色光を吸収し、500 nmから600 nmの緑や黄色の光を吸収せずに反射します。その反射した光が緑色や黄緑色に見えるのです。

クロロフィルの吸収スペクトル
クロロフィルの吸収スペクトル

どうして紅葉するのか

 木々の葉が色づくことをひとくちに紅葉と言いますが、紅葉には葉が赤色に変わる「紅葉」と黄色に変わる「黄葉」があります。落葉樹の葉の色が緑色から赤色や黄色に変わるのは、秋が深まって、気温が低下し、日照時間が短くなると、光合成が行われなくなるためです。光合成が行われなくなると、緑色の色素のクロロフィルが少なくなるため、それ以外の色素の色が現れてきます。

 イチョウなどの「黄葉」する葉はクロロフィルの量が少なくなると葉の中に存在していたカロテノイドの色が現れてきます。

 一方、カエデなどの「紅葉」する葉は紅葉の時期になると葉と枝の境に「離層」と呼ばれる細胞ができます。この細胞が葉と枝の間の物質の移動を遮断するため、光合成で作られていた糖分が葉の中に留まり、糖分の濃度が上がります。そこに日光が当たると、クロロフィルと糖分が反応してアントシアニンという赤色の色素が生じます。クロロフィルが少なくなり、アントシアニンの量が増えると、葉の表面が赤くなります。

カエデとイチョウ
カエデとイチョウ

 植物がもつ色素はクロロフィル、カロテノイド、アントシアニン以外のものもあります。花がさまざな色を呈するのも色素によるものです。

花の色と色素
花の色と色素

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2020年4月15日 (水)

サクラ色はアントシアニン

例年は今頃からサクラが咲き始めるのですが、今年は新型コロナの騒ぎもある中で、ずいぶん早めに咲き始めました。雪が降り、雨が振り、風が吹いて、花びらが散っていきました。

写真は4月2日(木)の朝、出勤途上で撮影したサクラです。ほとんど満開に近い状態でした。

Sakura1

次の写真は別のサクラの木です。花びらを接写しました。

Sakura2 

花の色素にはいろいろありますが、ソメイヨシノのサクラ色はアントシアニンによるものです。

サクラの開花のプロセスを良く見てみると、ツボミのときには、ずいぶん濃いピンク色をしています。これはアントシアニンが大量に存在しているからですが、ツボミが開花すると、アントシアニンの量が減少し、花びらは白に近い淡いピンク色になります。

開花してしばらくたつと、再びアントシアニンの量が増えだします。おしべの花糸が赤みを帯び、花びらもピンク色を呈してきます。散り際の満開のサクラが一番見応えがあります。

このブログでは花の色素について、下記の記事で解説してあります。興味がありましたら、ご一読ください。

光と色と:花の色はいろいろ

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2014年1月14日 (火)

床と壁がわからなくなる錯覚をさせる? スパイダーキャット

レーザーポインタの光の点を追いかける黒猫です。猫がごく普通にじゃれているように見えますが、実はこの猫の正体はスパイダーキャットだったのです。

Cat1

その正体は次の影像を見るとわかります。

Poobs the cat a laser pen and carpet wall.

これだけ見事だと、錯覚で床と壁がわからなくなりますw

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2013年9月29日 (日)

闇に光る目 猫の目はなぜ光る?

玄関ポーチの屋根の上に猫を発見。

カメラを向けたらこちらをじっくり見ていました。

Photo

上から目線だから逃げる気配まったくなしです。

2

猫の目がよく光るのは、網膜の構造によります。猫のような夜行性の動物は網膜の光を感じる細胞の裏側が反射板(脈絡壁板)のようになっています。

視細胞を通り抜けた光は、反射膜ではね返って、またこの光が視細胞を刺激します。このため、夜行性の動物は暗闇でも目が良く見えるようになっています。

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2013年4月 2日 (火)

透明な体や光る体をもつ不思議な深海生物たち

深海に生きる生物には、体が透明だったり、光を発したり、面白い特徴をもつものがたくさんいます。この映像はそのような深海の生物をカメラでとらえたものです。

Deep Sea Creatures - Nature's Microworlds - Episode 11 Preview - BBC Four

 

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2013年2月 7日 (木)

虹色の光を放つクシクラゲ 

先日、稲妻のような光を放つウコンハネガイという貝を紹介しましたが、今日は虹のような光を放つクシクラゲの仲間を紹介します。クシクラゲは、名前にクラゲがつきますが、クラゲの仲間ではなく、有櫛動物です。

Photo

このクシクラゲはオーストラリアのタスマニア島で発見された新種の有櫛動物です。足の部分に繊毛が生えているのですが、この部分が虹色に光ります。ウコンハネガイと同様、このクシクラゲは自ら発光しているわけではありません。繊毛が光を反射しているだけです。光が色づいているのは、繊毛によって、光の回折と干渉が生じているためでしょう。つまり、CDやDVDなどの表面が虹色に見える仕組みと同じです。しかも、繊毛が動いているので、色がつぎつぎと変化し、とても綺麗に見えます。

最近は手軽に海中で動画を撮影できるようになっているため、こうした新種が見つかりやすくなっています。

The Lovely Lobed Comb Jelly

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2013年2月 6日 (水)

稲妻を放つ貝 ウコンハネガイ

 南の海の珊瑚礁に生息しているウコンハネガイが真っ白な貝殻に真っ赤な触手をもつまるで綺麗な花のような姿をしたカイです。

Photo

 しかし、ウコンハネガイの最大の特徴は、次の映像で示すように、外套膜がまるで稲妻が走るかのように青白く光るということです。

 ウコンハネガイは、青白く光るといっても、自ら発光しているわけではありません。外套膜に光をよく反射する細胞があり、この細胞が反射する光が稲妻のように見えるのです。どのような仕組みで稲妻のように光を反射するのかは未だ解明されていないようです。

 自ら光を出すわけではありませんから、光を当てないと稲妻の光は見えません。光が当たると、自分の位置を知らせてしまうことになります。

 真っ暗な海中の中で、この細胞がどのような役割を果たしているのかも、よくわかっていないようですが、光のショーでダイバーたちを楽しませているのは間違いないようです。

こちらは新江ノ島水族館に展示されている個体の映像です。

海のクリスマス - Christmas of the sea


こちらは沖繩美ら海水族館に展示されている個体の映像です。

ウコンハネガイ



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2013年1月 5日 (土)

シソの葉の色

シソは漢字では紫蘇と書きます。シソは古くから薬草として使われ、紫の蘇る薬草ということから、紫蘇と呼ばれるようになりました。北海道の焼酎に鍛高譚という紫蘇の焼酎があります。これも紫蘇の薬効に関する北海道の民話に由来します(鍛高譚の由来)。

私たちが食用にしているシソには赤色の葉のアカジソと、大葉とも呼ばれている緑色の葉のアオジソがあります。アカジソとアオジソはシソ科の仲間ですが、品種は異なります。

私たちが梅干しなどでシソの色と認識しているのは、アカジソの色です。アカジソにはアントシアニン系のシソニンという色素が含まれています。この色素が梅の実を梅干し独特の紅色に染めます。なお、アオジソにはシソニンは含まれていません。

アントシアニンは多くの植物がもっている色素です(花の色はいろいろ)。アントシアニンは次のような化学構造をもつアントシアニジンが糖と結合したものです。アントサニジンはR~Rの置換基が変わることによって、さまざまな種類があります。

Photo

例えば、置換基がOH基であるアントシアニジンのペラルゴニジンは赤色、シアニジンは赤紫色、デルフィニジンは紫赤色をしています。

アントシアニンの化学構造と色の関係
Pelargonidin

また、アントシアニンは、pH によって化学構造に変化が生じ、色調が変化します。酸性条件下では赤色、アルカリ性条件下で青色を呈します。

梅干しを漬けると、酸性の梅酢ができます。すると、アカジソに含まれるアントシアニンが赤色に変化します。梅の実はその色で染められることになります。

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