コラム

2021年3月 9日 (火)

バベルの図書館の所蔵数は何冊か

バベルの図書館とは

 バベルの図書館はアルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスが1941年に発表した短編小説「バベルの図書館」に登場する同名の図書館です。この図書館にはいったいどのような本がどれぐらい所蔵されているのでしょうか。

ホルヘ・ルイス・ボルヘス
ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1940年代)

バベルの図書館の構造

 まずはバベルの図書館の構造からみていきましょう。バベルの図書館は蜂の巣状に無限に連なった六角形の部屋が無限に積み重なった建物です。それぞれの六角形の部屋は図書の閲覧室となっており、すべて同じ構造をしています。六角形の部屋の中央には吹き抜けがあります。6面のうち4面は本棚となっています。ひとつの本棚は5段で1段には本が32冊収蔵されています。残りの2面はホールに通じています。このホールには2つの入り口があります。ホールの内部の左右には小部屋へと続く扉があります。小部屋のひとつは立ったまま眠ることができる寝室、もうひとつはトイレになっています。このホールから同じ階層の隣の閲覧室に移動することができます。また、上下の閲覧室に移動するための螺旋階段が設置されています。照明はランプという名前の光を放つ果実でもたらされています。

バベルの図書館の構造(想像図)
バベルの図書館の構造(想像図)

 バベルの図書館の構造は下記のサイトに掲載されている図がわかりやすいと思います。

OPEN CULTURE

What Does Jorge Luis Borges’ “Library of Babel” Look Like? An Accurate Illustration Created with 3D Modeling Software

 さてバベルの図書館には、司書・探索係・翻訳者が住んでいます。彼らはバベルの図書館で一生を過ごし、死者は中央の吹き抜けから落とされます。一人の年老いた司書の回想によりバベルの図書館の物語が進んでいきます。

バベルの図書館の所蔵本

 バベルの図書館に所蔵されている本は全て同じサイズで、どの本も1ページあたり80文字×40行で410ページという構成になっています。本に使われている文字は小文字のアルファベット22文字と空白、コンマ、ピリオドの3文字を合わせた25文字しか使われておらず、同じ本は存在しません。

 バベルの図書館はこの25文字の組み合わせからなる文章でできあがった本をすべて収蔵しています。つまり、これまでに出版された本、これから出版される本がすべて所蔵されいるのと同時にでたらめに文字が羅列しているだけの意味のない本も収蔵されています。たとえば全てが同じアルファベット1文字が羅列した本やすべて空白の本などもあるはずですし、シェークスピアの作品も収蔵されているはずです。でたらめに文字が並んだ本が多いはずですから、バベルの図書館に収蔵されている本の大半は意味のない本ということになります。

バベルの図書館の所蔵数

 バベルの図書館に所蔵されている本の数は文字の組み合わせで考えることができます。1冊の本は80文字×40行×410ページ=1,312,000文字から成ります。

 使われている25文字の組み合わせでできる本の数は25を1,312,000回掛け算した数字になります。つまり、251312000 冊となります。

 これを普通の電卓で計算しようとするとオーバーフローでエラーになってしまいますが、計算サイトでは計算できます。答えは

 1.95603991760133212911×101834097 冊

 となります。

 バベルの図書館にはとんでもない数の本が所蔵されていることになります。

バベルの図書館の所蔵本はどのようにして作られたか

 バベルの図書館の所蔵本はすべて25文字の組み合わせでできています。でたらめに文字が羅列した本が多数あるということは、これらの本は乱数で文字を発生して並べて作られたと考えられます。

 それではシェークスピアのような作品ができあがる確率はどれぐらいでしょうか。確率は0ではありませんが、作品ができあがる可能性はかなり低く奇跡に近いでしょう。つまり、バベルの図書館に意味の通じる本が収蔵されているのは奇跡的なことで、いったいどれぐらいの時間をかけて意味の通じる所蔵本ができあがるのか想像がつきません。

 乱数で文字列を発生し一冊の意味ある本ができあがる確率は「無限の猿定理」で考えることができます。「無限の猿定理」についてはまたの機会に紹介することにしましょう。

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2021年2月11日 (木)

Mac Book Pro 13 Late 2013にmacOS Big Sur 11.2をインストールしてみた

 2020年11月12日にリリースされたmac OS Big Sur 11ですが、MacBook Pro (Retina, 13-inch, Late 2013)およびMacBook Pro (Retina, 13-inch, Mid 2014)がアップデートで起動不能になり文鎮化するという重篤な問題がありました。Appleは11月19日にこの2つのMac Book Proに対するBig Sur 11.0.1(20B50)のアップデートを一時的に停止しました。12月14日にBig Sur 11.1(20C69)がリリースされ、アップデートが再開されました。

 自分が使用しているMacBook Pro はまさにこの問題の対象となっているRetina, 13-inch, Late 2013です。11.1(20C69)のリリース後、何か情報が掲載されていないか国内外のサイトを検索してみましたが、未だ問題が発生する可能性も否定できないという見解のサイトが多数ありました。Mac Book Proが文鎮化すると多大な影響が出るためアップデートを見合わせることにしました。OSが壊れて起動しなくなるというのであれば再セットアップができますが、文鎮化すると何もできません。

 2021年2月1日の11.2(20D64)のリリース後、再びインターネットで情報を探してみましたが、MacBook Pro (Retina, 13-inch, Late 2013)での成功事例を見つけることができなかったので、もうしばらく様子を見ることにしました。その後も継続して情報を探していましたが、この問題が発生したという報告が次第に少なくなってきました。

 2月9日に11.2.1(20D74)がリリースされた時点でアップデートを決断し、問題が発生したときに備えるため、重要なデータをバックアップするなどの準備を行いました。2月10日の17:00頃からアップデートを開始しました。

 アップデートを開始すると、11.2.1(20D74)ではなく11.2(20D64)のダウンロードが始まりました。11.2.1(20D74)は差分なので11.2(20D64)が必要なのでしょう。

 ネットワーク環境にもよりますが11.2(20D64)のダウンロードには1時間以上かかりました。やがてアップデートが始まり、Macが再起動となりました。しばらく真っ暗な画面となり、かなり不安を感じましたが、Appleのロゴマークが表示されました。どやら文鎮化の問題は避けられたようです。ロゴマークの下にプログレスバーが表示され、その下に「あと29分」というようなメッセージが表示されました。

 あとはmac OSの起動を待つだけなので一安心と思っていたら、画面が真っ暗となりMacの背面のロゴのライトが消灯してしまいました。電源が落ちたのかと思って電源ボタンを押したところ、Macが起動しロゴマークが表示されました。さきほどと同様にプログレスバーが表示されましたが、今度は「あと○分」というメッセージは表示されませんでした。プログレスバーがある程度進んだところで、再び画面が真っ暗となり、ロゴのライトが消灯しました。今度は電源ボタンを押すことなく、しばらく待っていたところ、Macが起動を開始しました。同様にプログレスバーが表示され、また画面が真っ暗になります。どうやら再起動を繰り返しているようです。

 帰宅する時間になったため仕方がないので電源が落ちた状態でMacをカバンに入れました。ロゴとプログレスバーが表示されるので、帰宅したらSMCリセットやPRAMリセットをすると起動するのではないかと期待しつつも、これは駄目かもしれないと覚悟を決めました。

 およそ30分後、家に戻ってMacを開くと、電源を落としていたはずなのにログイン画面が表示されていました。ログインするとアップデートの作業が始まり、Macは問題なく立ち上がったのです。SMCリセットもPRAMリセットもしていません。

 再起動を繰り返すということはカーネルパニックなどの問題が起きてる状態と思いまいますが、再起動のたびに問題解決を試みていたのかもしれません。最初に再起動を繰り返したときに、そのまま放置していれば問題が解決されて起動できたのかもしれません。

 その後、11.2.1(20D74)のアップデートを行いました。ここでも数回再起動していましたが、Macに任せて放置しておいたところ無事にアップデートが終了しました。

 結果としてMacBook Pro (Retina, 13-inch, Late 2013)をmacOS Big Surにアップデートすることに成功しましたが、その過程はハラハラ・ドキドキするものでした。

 実際にアップデートをしたときに同じ状況になった人の参考になれば幸いです。

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2011年10月10日 (月)

望遠鏡を発明したのは誰?

 レンズを 2 枚組み合わせてものを見る実験は非常に簡単です。そのため、2 枚のレンズでものを拡大して見ることができることを最初に気がついた人が誰なのかはよくわかっていません。

 しかし、13 世紀のイギリスの哲学者ロジャー・ベーコンの 著書 「大著作(Opus Majus)」に、レンズを 2枚使って遠くのものを近くに見ることや、小さなものを大きく見ることが書き記されています。

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 1608年、オランダの眼鏡職人ハンス・リッペルスハイは凸レンズ(対物レンズ)と凹レンズ(接眼レンズ)を筒にはめた望遠鏡を作り、オランダ政府に特許を申請しました。同じくオランダの技術者ヤコブ・メチウスもリッペルスハイからわずかに遅れて同じ仕組みの望遠鏡の特許を申請しました。2人の特許は申請がほぼ同時だったことや、望遠鏡自体が新しい発明ではないこともあり認められませんでした。しかし、オランダ政府はリッペルスハイの望遠鏡を高く評価し、彼に報奨を出しています。そして、彼は実用的な望遠鏡の製造・販売を始めました。このことから、リッペルスハイが望遠鏡の発明者とされています。

  ところで、1590年頃に顕微鏡を発明したオランダのヤンセン親子の息子ツァハリアス・ヤンセンが1604年に望遠鏡を作ったという記録もあります。リッペルスハイがヤンセンのアイデアを盗んだのではないかという見解もあるようです。ただし、ヤンセンも既存の望遠鏡を真似て作ったともあり、1580年代の終わりにイタリアの博学者が望遠鏡を作っていたという記録も残っています。

 このように望遠鏡を誰が発明したかについては諸説あるのですが、17世紀に入って望遠鏡が非常に便利な道具としてヨーロッパに瞬く間に広まったのは間違いないようです。

■ガリレオが自作した望遠鏡

 イタリアのガリレオ・ガリレイはオランダで発明された望遠鏡を改良し、独自に天体望遠鏡を作りました。彼は1609年に天体観測を行い、木星や土星の衛星、月面のクレーター、太陽の黒点の動き、金星の満ち欠けなどを発見しました。それらの観察結果から当時主流であった天動説を否定しコペルニクスの地動説を支持しました。

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 凸レンズと凹レンズを組み合わせた望遠鏡をオランダ式望遠鏡またはガリレオ式望遠鏡といいます。オランダ式望遠鏡は次の図のように凸レンズA(対物レンズ)で収束する光線を凹レンズB(接眼レンズ)の虚像として見ます。拡大されたものを正立像として見る光学系としては構造が簡単なため、現在でも簡単な地上用望遠鏡やオペラグラスとして利用されています。しかし、倍率を上げると視野が非常に狭くなるという欠点があり、天体観測には向いていません。

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■ケプラーが考案した望遠鏡

 1611年、ドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーはオランダ式望遠鏡の欠点を解決する望遠鏡として、凸レンズを2枚組み合わせた望遠鏡を考案しました。この望遠鏡をケプラー式望遠鏡といいます。ケプラー式望遠鏡は次の図のように凸レンズA(対物レンズ)で作った実像を凸レンズB(接眼レンズ)の虚像として見ます。拡大されたものを倒立像として見ますが、視野が広く倍率を上げることができます。また、天体観測では倒立像でも問題ないため、天体望遠鏡として広く使われるようになりました。地上用の望遠鏡では内部にプリズムを入れて正立像を得られるものもあります。この原理もケプラーが考案しました。

ただし、ケプラーは望遠鏡を自作していません。 1611年にケプラーが発表したのは理論だけでした。1645年にオランダのシルレによって、望遠鏡のしくみや応用が詳しくまとめられました。

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 ところで、レンズを使った望遠鏡には、倍率を上げると物体の色が正しく再現できないという欠点があります。プリズムに光を通すと虹のような色の帯ができますが、レンズにも同じような働きがあるため物体に色がついて見えてしまうのです。このため、アイザック・ニュートンは1618年に凸レンズと凹面鏡を使った反射望遠鏡を考え出しました。

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2010年4月30日 (金)

水は水色

海や湖を描くとき、海面や湖面を水色に塗ることが多いと思います。また、コップに入った水を水色に塗ったイラストをたくさん見つけることができるでしょう。

水色は色の定義からいうと、アクアか、アクアブルーに該当する色です。

さて、コップ一杯の実際の水は無色透明で、とても水色には見えません。しかしながら、水の色は水色という先入観から、水色に塗られたコップ一杯の水のイラストを見ても、違和感がない人が多いのではないでしょうか。

以前、ハワイに遊びにいったときに、潜水艦にのったことがあります。潜水艦でワイキキの沖の水中を見学するツァーがあります。

潜水艦の窓からのぞいた水中は水色の世界でした。

潜水艦の窓から入ってくる光も青色で、キャビンの中も水色に染まりました。

このように青くなる様子は水族館でも体験することができます。

やっぱり水は水色なのではないでしょうか。

コップ1杯の水は無色透明に見えますが、水も太陽光をわずかに吸収しています。そして、水は太陽光のうち赤色系の光を他の色の光より多く吸収する性質があります。

この性質は分光光度計という分析装置を使うと調べることができます。分光光度計を用いると、物質がどの波長の光をよく吸収しているのかがわかります。一般に、横軸に光の波長、縦軸に光の強度(吸収や反射の割合)をプロットしたグラフをスペクトルといいます。次の図は分光光度計で測定した水の吸収スペクトルです。

水が可視光線の長波長側の赤色系の光を吸収していることがわかります。

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R. M. Pope and E. S. Fry, "Absorption spectrum (380-700nm) of pure water. II. Integrating cavity measurements," Appl.Opt., 36, 8710-8723,(1997).

水が吸収する光はほんのわずかなのでコップ1杯の水では色の変化は分かりません。しかし、水の厚さが数mにもなると、赤色系の光がずいぶん失われ、残った青色系の光によって、水が水色に見えるようになります。水が水色なのは水の本来の性質なのです。

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2010年3月 3日 (水)

普通のガラス板を重ねると

普通のガラス板は正面から見ると透明に見えますが、断面を見ると緑色に見えます。これはガラスに含まれている不純物が光を吸収するからです。

次の図は厚さ1.5cmのガラスを2枚重ねて撮影した写真です。左右の厚さの差は1.5 cmですが、左側が緑色を帯びて暗くなっていることがわかります。

このガラスを何枚も重ねていくと、どんどん暗くなっていき、やがて光がまったく通らなくなります。

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光透過率の悪いガラスでレンズを作ると、カメラでは写真が暗くなり、映写機ではスクリーンに投影する像が暗くなります。

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2009年12月15日 (火)

光のふるまいは確率?

次のように光を90%透過するガラスがあります。

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この透過率90%というのは、ガラスに入射する光のうち10%がガラス入射面で反射したり、ガラス内部で吸収され、残りの90%がガラスを通り抜けてくるという意味です。

ガラスに入射する光をどんどん弱くしていき、最終的に光子1個ずつをガラスに入射させます。おおざっぱに言えば光子を100個ガラスに入射させると、90個がガラスを透過し、10個が反射もしくは吸収されるということになります。

ガラスを透過した光子と透過しなかった光子は、もともと同じ光源から出た同じ条件の光子ですから、光子の違いでガラスを透過したり、透過しなかったりするわけではありません。光子のガラスのあたり方で、透過したり、透過しなかったりするというのも考えにくいです。

となるとこの透過率90%というのは確率ということになります。光の振る舞いは確率で決まると言っても良いのでしょうか。

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