理科

2020年7月21日 (火)

「レンズ」のキホン (イチバンやさしい理工系)

 「レンズ」のキホン (イチバンやさしい理工系)

 光学とレンズの初心者向けの図解入門書です。フルカラーですので、光路図などがとてもわかりやすくなっています。光学とレンズのキホンのキから解説しているので、これからレンズのことを勉強したい人だけでなく、レンズの基本を教える人にとっても役に立つと思います。

Hyosi

桑嶋幹(著)

レンズを知ると光学はこんなにおもしろい!
昨今のデジタル一眼レフカメラのブームもあって、レンズのことをもっと知りたい人が増えています。本書は、高校生から一般の人を対象に、レンズのことを知る超入門書として、図解や写真をふんだんに使いながら、わかりやすく光の世界を解説します。

レンズを知ることは、光の性質を知ることにつながります。また、メガネや望遠鏡などの光学機器ばかりか、ヒトの眼の構造の理解も進みます。身近な例を題材に、徹底してやさしく、おもしろい話題を集めました。

単行本: 224ページ
出版社: ソフトバンククリエイティブ (2010/6/18)
ISBN-10: 4797357150
ISBN-13: 978-4797357158
発売日: 2010/6/18

読者サポートサイト

http://lens-softbank.goryoukaku.com/

目次

はじめに
登場キャラクターのご紹介

第 1 章 レンズのお話

001 レンズは光の屈折をたくみに利用するために生みだした道具
002 レンズの歴史
003 小さなものを拡大して見る顕微鏡の歴史
004 遠くのものを近くに見る望遠鏡の歴史
005 レンズでできた像を記録するカメラの歴史

COLUMN レンズの語源

第 2 章 光のふるまい

006 光の直進性と逆進性
007 光の反射の法則
008 鏡による光の反射
009 光の乱反射
010 透明な物体を通る光
011 光は物質の境界面で折れ曲がる 光の屈折
012 光はどのような道筋を選んで進むのか フェルマーの原理
013 スネルの法則①
014 スネルの法則②
015 空気のゆらぎが光を曲げる 陽炎と逃げ水のしくみ
016 空気のゆらぎが光を曲げる 蜃気楼と大気差のしくみ
017 プリズムでできる光の色の帯 光の分散
018 大空にかかる光の色の帯 虹ができるしくみ
019 虹の形はどうして円弧なのか
020 光は波か粒子か① 光の回折
021 光は波か粒子か② 光の干渉
022 光の回折と干渉でできる虹のしくみ
023 光は縦波か横波か
024 偏光メガネとブリュースターの法則
025 光は電磁波の仲間
026 光の速さはどれぐらいか
027 光のふるまいを考える幾何光学と波動光学

COLUMN 近接場光ー光の回折限界を超える光 66

第 3 章 レンズのしくみと働き

028 点光源からでた光はどのように進むか
029 影のでき方
030 ピンホールでできる像
031 ピンホールカメラでできる像
032 レンズの基本的なしくみ
033 凸レンズと凹レンズの基本的な働き
034 レンズの焦点と焦点距離
035 レンズの主点と主平面
036 薄肉球面レンズの焦点距離の求め方
037 レンズを通る光の進み方
038 凸レンズでできる実像
039 無限遠からやってくる光は凸レンズでどこに像を結ぶか
040 凸レンズでできる虚像
041 凸レンズを半分隠すと実像と虚像はどうなるか
042 物体が焦点の位置にあるとき実像と虚像はどうなるか
043 凹レンズでできる虚像
044 レンズの写像公式と倍率① 凸レンズの実像の場合
045 レンズの写像公式と倍率② 凸レンズの虚像の場合
046 レンズの写像公式と倍率③ 凹レンズの虚像の場合
047 レンズの写像公式のまとめ
048 レンズの倍率を求めるもう1つの方法
049 レンズの作図の裏技① 光軸上の1点からでて凸レンズに入射する光
050 レンズの作図の裏技② 凸レンズに任意の傾きで入射する光
051 レンズの作図の裏技③ 凹レンズを通る光の場合
052 2枚のレンズを通る光
053 凹面鏡と凸面鏡のしくみ
054 凹面鏡と凸面鏡で反射する光
055 レンズの分類の仕方
056 表面屈折を利用したレンズ① 球面レンズ
057 表面屈折を利用したレンズ② 非球面レンズ
058 表面屈折を利用したレンズ③ シリンドリカルレンズ
059 表面屈折を利用したレンズ④ トロイダルレンズ
060 表面屈折を利用したレンズ⑤ フレネルレンズ
061 表面屈折を利用しないレンズ① グリンレンズ(屈折率分布レンズ)
062 表面屈折を利用しないレンズ② 回折レンズ

COLUMN メタマテリアルー負の屈折率をもつ物質

第 4 章 レンズの性能

063 レンズをつくる光学ガラスに求められる性質
064 光学ガラスの屈折率
065 光学ガラスのアッベ数
066 光学ガラスの分類
067 ガラス以外の光学材料① 天然や人工の結晶
068 ガラス以外の光学材料② 光学プラスチック
069 レンズができるまで① 球面レンズのつくり方
070 レンズができるまで② 非球面レンズのつくり方
071 収差とはなにか
072 球面収差
073 球面収差の補正
074 コマ収差と非点収差
075 像面湾曲と歪曲収差
076 軸上色収差と倍率色収差
077 像の大きさと明るさ
078 Fナンバーと実効Fナンバー
079 開口数NAとレンズの分解能
080 絞りと瞳
081 絞りの位置とテレセントリック
082 焦点深度と被写界深度

COLUMN ガラスはなぜ透明なのか

第 5 章 レンズを使った身近なもののしくみ

083 ヒトの眼の構造
084 正常な眼のしくみと働き
085 近視と遠視
086 老視と乱視
087 コンタクトレンズのしくみ
088 ルーペのしくみ
089 ルーペの倍率
090 光学顕微鏡のしくみ① 基本的なしくみ
091 光学顕微鏡のしくみ② 倍率と分解能
092 望遠鏡のしくみ① 基本的なしくみ
093 望遠鏡のしくみ② ケプラー式望遠鏡の光の進み方
094 望遠鏡のしくみ③ オランダ式(ガリレオ)望遠鏡の光の進み方
095 望遠鏡のしくみ④ 望遠鏡の倍率
096 望遠鏡のしくみ⑤ ピント合わせが必要なのはなぜ?
097 カメラのしくみ① Fナンバーとシャッタースピード
098 カメラのしくみ② 画角と焦点距離
099 カメラのしくみ③ デジタルカメラの画角と焦点距離
100 進化するレンズ 流体レンズのしくみ

COLUMN 像反転系 倒立像を正立像として見る

参考文献
索引

サンプルページ

第1章 第1節 レンズは光の屈折をたくみに利用するために生みだした道具

1001

第2章 第6節 光の直進性と逆進性

2006  

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2020年6月29日 (月)

白いアジサイ「アナベル」はなぜ白いのか?

近所の家の軒先でアジサイがとても綺麗に咲いていました。

アジサイ 紫陽花

 アジサイの花の色を左右する重要な物質は土壌中に含まれるアルミニウムです。アジサイの花の色素のデルフィニジンはアルミニウムと結びつくと青色に呈色し、アルミニウムが少ないと赤色に呈色する性質があります。

 アルミニウムは土壌中にたくさん含まれていますが、土壌が酸性だと溶け出しやすく、植物に吸収されやすくなります。一方、土壌がアルカリ性だと溶け出しにくくなります。

 同じ株に咲いているのに色の違う花をつけるのは、アジサイの根が四方八方に広がっているからです。雨が降ったり、水を与えているうちに、土壌の成分が流れ出したりして、酸性度やアルミニウムの量が変化すると、根が吸収するアルミニウムの量が変わるため、色が変わってくるのです。このあたりについては、本ブログ「光と色と:花の色はいろいろ」で解説しています。

 さて、写真の中に白いアジサイが咲いています。この白いアジサイはアナベルという品種です。アナベルはアルミニウムと結びつく色素をもっていないため、土壌の酸性度によって色が変わりません。アナベルは咲き始めの成長時期はクロロフィルにより、薄い緑色をしていますが、成長すると真っ白な花になります。

アナベル アジサイ

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2020年6月16日 (火)

レンチキュラーレンズで光学迷彩?(3) ものが消えて見える原理と仕組み

 レンチキュラーレンズで鉛筆が消えて見える

 次の写真の右上のように、縦向きに置いた鉛筆のうえに横向きに鉛筆を置きます。これを=の方向にしたレンチキュラーレンズの通して見ると、写真の左のように上に置いたはずの横向きの鉛筆が消えて、下に置いたはずの縦向きの鉛筆が見えます。このままの状態で、写真右下のようにレンチキュラーレンズを90度回転し、‖の方向にすると、縦向きの鉛筆が消えて、横向きの鉛筆が見えます。また、よく見てみると、写真左では、横向きの鉛筆が消えて見えなくなっている部分(縦置きの鉛筆の左右)、写真右下では、縦向きの鉛筆が消えて見えなくなっている部分(横向きの鉛筆の上下)が背景色とい同じオレンジ色になっています。

レンチキュラーレンズで鉛筆が消える
レンチキュラーレンズで鉛筆が消える

レンチキュラーレンズでものが消えて見える理由は、少年写真新聞社理科教育ニュースの2020年5月28日号に解説が掲載されていますが、ここでは、この現象についてもう少し詳しく解説します。さらに理解を深めることができればと思います。

シリンドリカルレンズの虚像

 レンチキュラーレンズによる鉛筆の見え方の変化の現象の基本的原理はシリンドリカルレンズでできる実像です。なぜなら、この現象は、レンチキュラーレンズを鉛筆に密着した状態で見ているときには起きないからです。ですから、上の写真のように、鉛筆が方向によって、見えたり消えたりするのは、レンチキュラーレンズでできる鉛筆の実像を見ていることになります。

 理解を深めるために、まずはひとつのシリンドリカルレンズで見える虚像を考えてみます。シリンドリカルレンズでできる虚像は、曲面がある方向に拡大されます。下の写真はグラフ用紙の真上にシリンドリカルレンズを=の方向に置いたものです。シリンドルカルレンズを=の方向に置いたとき、縦方向には曲面がありますが、横方向には曲面がありません。

レンチキュラーレンズの虚像
レンチキュラーレンズの虚像

 上の写真でレンズの中のグラフを見てみると、縦方向の線の太さや、縦線の間隔には変化がないことがわかります。これは曲面のない横方向で光が屈折しないからです。一方、横方向の線は太くなっており、横線の間隔も広くなっています。レンズの外側では横線は 4 行あるのに、レンズの中では拡大された 2行しか見えていなません。これは、曲面のある縦方向で光が屈折するからです。

 この虚像の現象からは、上の鉛筆が消える写真の現象を説明することはできません。虚像の場合、シリンドリカルレンズを置く方向にかかわらず、縦方向の鉛筆も横方向の鉛筆も消えて見えなくなることはありません。また、上述の通り、鉛筆が消えている部分が背景のオレンジ色になっていますが、虚像ではこのようなことは起こりません。

シリンドリカルレンズの実像

 次にシリンドリカルレンズをグラフ用紙から離し、実像を観察してみます。光が屈折しない方向の縦線の太さや間隔は、虚像のときと同様に変化がありません。一方、横線については、虚像とは異なり、縦方向が圧縮され、たくさんの行が見えています。シリンドリカルレンズでできる実像は光を屈折する方向に直線上に集まるようにできますので、これは理に適っています。

シリンドリカルレンズの実像
シリンドリカルレンズの実像

 また、=の方向に置いたシリンドリカルレンズでできる実像は縦方向が反転していて、横方向はそのままであることに留意しておきましょう。ですから、レンズの中の上側の列は、実際には下の列が見えていて、レンズの中の下側の列は実際の上の列が見えています。下記のようにグラフの上に赤いラインを引くと縦方向が反転していることがわかります。 

 リンドリカルレンズの実像(縦方向反転) 
シリンドリカルレンズの実像(縦方向反転)

さらに、レンズをグラフから離していくと、さらに縦方向が圧縮されて、横線が見えなくなります。ところで、縦方向が詰まっているということは、変化がないように見える縦線も実は縦方向に詰まっているということです。

シリンドリカルレンズの実像
シリンドリカルレンズの実像(横線が見えなくなる)

 次の図はシリンドリカルレンズでできる実像の仕組みを示したものです。シリンドリカルレンズを=の方向に配置すると、横長の物体ABの実像A'B'は、横方向はそのままですが、縦方向が縮んで細い線状となるため、視認しずらくなります。一方、縦長の物体CDの実像C'D'も縦方向に縮みますが、物体が十分に縦長なため、視認できます。レンズを90度回転すると、今度はC'D'が視認できなくなります。

シリンドリカルレンズの実像(模式図)

シリンドリカルレンズの実像(模式図)

 レンチキュラーレンズの各々のレンズの実像は反転していますが、微小な領域のため全体として見たときには反転して見えません。また、横置きの鉛筆の下側にある縦置き鉛筆が前面にあるように見えるのは、レンチキュラーレンズに物体を引き延ばして見せる効果があるからです。レンチキュラーレンズで鉛筆の端の方を観察すると、鉛筆が伸びて見えることがわかります。

 このことを確認するためパソコンで画像を作成して次のような確認をしてみました。

パソコンで次のような絵を描き(左)、これをレンチキュラーレンズを通してみてみました。画面にレンチキュラーレンズをぴったりとつけて、虚像を観察すると、レンチキュラーレンズの方向にかかわらず、元の絵からほとんど変化していません。

レンチキュラーレンズの虚像 元の絵(左) =方向(中) ‖方向(右)
レンチキュラーレンズの虚像 元の絵(左) =方向(中) ‖方向(右)

 レンチキュラーレンズを画面から離して、実像を観察すると、レンチュキュラーの置き方が=方向(写真左)か‖方向か(写真中)によって、元の絵とは見え方が変わります。最初の鉛筆の実験の写真と同じ結果となっています。

レンチキュラーレンズの実像 =方向(左) ‖方向(中) =方向で伸びる(右)
レンチキュラーレンズの実像 =方向(左) ‖方向(中) =方向で伸びる(右)

 写真左において、縦長の棒しか見えないのは、横長の棒がシリンドリカルレンズの屈折の働きで圧縮されてしまいぼやけて視認できなくなるからです。実際には縦長の棒も圧縮されていますが、圧縮される方向に縦長のため、横長の棒のようぼけたようには見えません。また、横長の棒の下側にあるはずの縦長の棒が前面に出ているように見えるのは、レンチキュラーレンズが物体を引き延ばして見せるからです。写真右を見ると、縦長の棒と黒い背景が下側に伸びて見えることがわかります。最初の鉛筆の写真で背面のオレンジ色が前面に出てきているのも同じ理由です。

 以上がレンチキュラーレンズの向きで、縦横の向きの鉛筆が消えて見える理由です。

さて、レンチキュラーレンズを通してものを見ると、確かにものが消えます。これはレンチキュラーレンズでできる実像が圧縮したり伸びたりしてぼやけているからです。確かに特殊なレンズを用いた面白い現象ですが、これだけですと光学迷彩というまでには少し無理がありそうです。

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2020年6月 6日 (土)

光学ガラス製のガラス玉

水晶玉 60mm 無色透明 クリア台座付き 宙玉撮影 クリスタルボール レンズボール 撮影 水晶球

ガラス玉があると、魚眼レンズの観察や虹ができる仕組み(水滴中の光の進み方)など、いろいろな実験ができます。以前は、大きなものを手軽な価格で入手するのは困難でしたが、最近になって中国製の安価なものを入手できるようになりました。直径60 mmで1,280円、80 mmで1,680円です。この値段だと複数個変える値段です。

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 水晶玉とありますが、もちろん天然水晶であるはずはありません。Amazonのサイトには【K9クリスタル素材を採用、透明度が高いボール】とあります。K9というからには光学ガラスのクラウンガラスだと思いますが、K9というのは聞いたことがありません。調べてみたら、BK7と同じもののようです。BK7はホウケイ酸塩クラウン光学ガラスで、合成石英でもありません。ですので、水晶という表現は適切ではないのですが、実験道具としてはBK7で十分です。

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2020年5月16日 (土)

雷の正体見たり静電気 雷の仕組み

雷の正体を探る

 大音響とともに鋭い光の筋が空を切り裂く雷。古代の人々は雷は雲の中にいる神様が光と音を出していると考えていました。たとえば、ギリシャ神話の全知全能の神であるゼウスは雷を司る天空神です。日本では、古くから雷神が雷をおこすと考えられていました。日本語の雷の語源は神鳴りと考えられています.

雷神(俵屋宗達)

 雷の正体は18世紀の半ばには電気であることが予想されていました。雷の正体を初めて実験で確かめたのは、アメリカの政治家・科学者のベンジャミン・フランクリンです。フランクリンは静電気の実験に使われていたライデン瓶に蓄電すると、電気火花が発生するのを見て、この電気火花と稲妻は同じものではないかと考えたのです。

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 ライデン瓶は1746年にオランダのライデン大学の物理学者ピーテル・ファン・ミュッセンブルークが発明した蓄電装置です。実際には数ヶ月ほど前にドイツのエヴァルト・ゲオルク・フォン・クライストも同じ仕組みのものを発明しています。ライデン瓶の上部の金属球に静電気を帯びたものを触れると、金属箔に電気が蓄えられます。電気が蓄えられた状態で、内側と外側の金属箔を短絡(ショート)するとライデン瓶の中で放電が起こり、電気火花が発生します。

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フランクリンの凧あげ実験

 1752年6月、フランクリンは雷の正体を調べるため、自分の息子とともに雷雲をめがけて凧あげの実験を行いました。 彼は凧に針金を取り付け、凧糸には水に濡れやすい麻糸を使いました。そして、麻糸に金属の鍵を取り付けました。金属の鍵から手元までは感電防止のため濡れにくい絹糸を使いました。雷で麻糸が帯電して逆立ったとき、彼は息子に金属の鍵の先にライデン瓶を近づけるように言いました。息子がライデン瓶を鍵に近づけると、雷の電気がライデン瓶に蓄電されていきました。そして、ライデン瓶を短絡させると、ライデン瓶の中で電気火花が生じました。一瞬の出来事でしたが、雷の正体が電気であることが確かめられた瞬間でした。

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※フランクリンの凧あげ実験は非常に危険ななので、絶対にやってはいけません。

雷雲が発生するしくみ

 空に浮かぶ雲は細かい水滴や氷の粒でできています。これらの水滴や氷の粒は地上や海上で蒸発した水です。空気は気温が高いほど水蒸気をたくさん含むことができます。暖かい空気は軽いので上空へ昇っていきますが、上空は気圧が低いので膨張します。このとき、空気は外部から熱を与えられない状態で膨張します。空気自身が持つ熱が膨張に使われるので、空気の温度が下がります。空気に含まれる水蒸気は冷やされると気体のままでは存在できなくなり、凝結して細かい水滴や氷の粒になります。これが雲の正体です。
 雷がよく起きるのは、夏に空高くまで発達した積乱雲の中です。積乱雲の中では、強い上昇気流のために、氷同士が激しく衝突します。このとき、氷の表面の水や衝突で融けた水が負の電荷を持ち、それが成長する氷に移動します。そのため、大きい氷の粒がマイナス、小さい粒がプラスの電気を帯びます。小さい粒は、軽いために雲の上の方へ、大きい粒は重いため雲の下の方へ移動します。その結果、雷雲は、ちょうどプラスとマイナスが向かい合った形となり、そこに高い電圧がかかるというわけです。また雷雲が大地に近づくと、その下の地面はプラスに帯電していきます。これを静電誘導といいます。

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 雷雲が発生すると、雲の中で静電気がたまります。この静電気が、雲と地上の間の大気の絶縁性で支えきれないほど大きくなると、雲から地上へ対地放電が起こります。これが落雷です。また、放電は落雷よりも雲の中で頻繁に起こります。このとき、雲が青白く光って見えます。ひとつの雷雲の中で起こる場合を雲内放電、複数の雷雲の間で起こる場合を雲間放電といいます。

<h4>稲妻が光るしくみ</h4>


 内部を真空にしたライデン瓶で放電の実験を行うと、電気火花が生じなくなります。つまり、電気火花の発生には空気が関係しています。本来、空気は絶縁体で電流は流れません。しかし、強い電圧をかけると、瞬間的に電気絶縁性が失われ大電流が流れます。すると、大きなエネルギーを持った電子が、空気中の窒素や酸素に衝突します。窒素や酸素は電子のエネルギーを受け取り、自分自身も電子を放出してイオン化して高エネルギー状態になります。高エネルギー状態になった窒素や酸素は、すぐに元のエネルギー状態に戻ります。このとき、余分なエネルギーが光となって出てくるわけです。これを放電現象といいますが、稲妻の光もこれと同じ現象です。なお、放電が起こると、火花の周囲の温度が急激に上昇し、空気が瞬間的に膨張します。そして、膨張した空気はすぐに冷えるため収縮します。この空気の膨張と収縮が振動となって音となります。

 雷の放電は、大気の絶縁性のために、いっきに地面には届きません。何度も小きざみに放電を繰り返し、電気の通り道を作りながら、地面へと近づきます。稲妻がジグザグに見えるのはこのためです。これを先駆放電といいます。稲妻が地面に届くと、今度は逆に地面から雲に向かって放電が起こります。これを帰還雷撃といい、このとき強い光と大きな音を出します。これが落雷です。

 落雷をハイスピードカメラで撮影して映像がYouTubeにあがっています。

 Slow Motion Lightning

落雷の威力は凄いです。

Close-Up Lightning strike Compilation with Horrifying Sound and Destruction |Thunder strikes

 

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2020年5月 9日 (土)

レンチキュラーレンズで光学迷彩?(2) レンチキュラーレンズの仕組み

レンチキュラーレンズはどんなレンズ?

 レンチキュラーレンズは半透明の板状のプラスチック製レンズです。レンチキュラーレンズを触ってみると、片面はツルツルしていて、片面はザラザラしていることがわかります。良くみると、縦方向の縞模様が入っていることがわかります。

レンチキュラーレンズ

 レンチキュラーレンズの表面をルーペで拡大すると、次の図のように、細長いカマボコ状のものが並んでいることがわかります。このカマボコ状のものは、その一つ一つがシリンドリカルレンズになっています。

レンチキュラーレンズの表面を拡大してみると

シリンドリカルレンズとは

 次の写真のように、水を入れた牛乳びん越しに「あ」を見ると、びんが縦置きのときは左右が反転して横に伸びて見え、横置きのときは上下が反転して縦に伸びて見えますこのように方向で見え方が異なるのは、牛乳びんが円柱形をしているからです。

牛乳ビンのレンズ

 次の図のように、円柱の側面の一部を切り出した形のレンズをシリンドリカルレンズといいます。その形状からカマボコレンズと呼ばれることもあります。普通の球面レンズはどこを切り出しても断面に曲面がありますが、シリンドリカルレンズは曲面をもつ断面ABと、曲面をもたない断面CDがあります。

シリンドリカルレンズの構造

 そのため、シリンドリカルレンズには、レンズの働きをする向きと、働きをしない向きがあります。普通のレンズは次の図の左側のように光軸に平行な光を1点の焦点に集めますが、シリンドリカルレンズは光を直線上に集めます。

普通のレンズとシリンドリカルレンズの違い

 小さなシリンドリカルレンズをたくさん配列したレンズがレンチキュラーレンズです。レンチキュラーレンズを通してものを見たときに、『レンチキュラーレンズで光学迷彩?(1) 手品と物体の見え方』で紹介したような見え方になるのは、たくさん配列されているシリンドリカルレンズの働きによるものです。どうして、ものが消えたり、伸びて見えたりするかについては、次の機会に説明します。

レンチキュラーレンズという用語

 ところで、英語の『レンチキュラー(lenticular)』は「レンズの」「レンズ状の」「水晶体の」という意味です。ですので、レンチキュラーレズは「レンズのレンズ」「レンズ状のレンズ」で、「頭痛が痛い」「馬から落馬する」のような重言になっています。

 日本語特有の誤用かと思いましたが、英語版のWikipeidaではlenticular lenseとなっていますし、海外の多くのサイトでlenticula lensと表現されています。日本でもレンチキュラーレンズという表現が多いのですが、日本語版のWikipediaではレンチキュラーとなっています。なお、日本語版および英語版のWikipediaの解説は3Dやアニメーションを表示するためのレンチキュラーレンズが前提となった説明になっていて、レンチキュラーレンズそのものの説明になっていないようです。

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2020年4月23日 (木)

レンチキュラーレンズで光学迷彩?(1) 手品と物体の見え方

レンチキュラーレンズを使った手品

 レンチキュラーレンズという板状のレンズを通して物体を見えると、物体が消えて見えなくなる現象が起こります。この現象は手品でも利用されています。まずは次の手品の動画をご覧ください(BGMがかかっているので音量に注意してから再生してください)。

4D surprise + joke - Tenyo

 背面が横縞模様の壁になっている台の上に透明な箱を被せます。箱の向こうに背面の壁がしっかり見えていますが、この箱を開けると、なんと台の上に自由の女神が現れます。

レンチキュラーレンズを通して物体を見てみると

 つづいて、次の映像をご覧ください。解説は英語ですが、映像を見ると、レンチキュラーレンズを通して物体を見ると、どんな見え方になるかわかります。

A Real Invisibility Shield | How Does It Work?

横向きの2本の棒にプライヤーが立てかけられています。それらの前にレンチキュラーレンズを置くと、プライヤーが消え、横向きの2本の棒だけが見えます。しかも、2本の棒はプライヤーの後ろにあるのに、前面にあるように見えています。また、2分25秒ぐらいからになりますが、レンチキュラーレンズを棒の先端の方へ移動すると、棒が伸びて見えます。

なぜ、このような現象が生じるのかについては、後日、記事をアップします。

また、この現象は光学迷彩と言えるのでしょうか。

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2020年4月 9日 (木)

図解入門 よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版] - 身近な現象から学ぶレンズと科学と技術

図解入門 よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]

レンズの基本と仕組み since 2005(初版2005年、第2版2013年)

光を見る・知る・掴む。世界を切り取る技術!豊富なイラストで手に取るようにわかる!

内容

レンズは光技術の立役者であるといっても過言ではありません。本書は、カメラ、望遠鏡、顕微鏡、CD/DVDプレーヤー、コピー機など私たちの身の回りで 使われているレンズの入門書です。本書は、物理が苦手の人でも、 レンズについて知りたいという人を対象に、光の性質から、レンズの基本的な仕組み、レンズの種類、収差や性能、眼鏡やカメラなど実際の機器でのレンズの使われ方を図表を使ってやさしく解説しています。第3版では、スマートフォンなど最新機器で利用されている技術や、医療分野での活用例についても紹介します。

単行本: 312ページ
出版社: 秀和システム; 第3版 (2020/3/31)
言語: 日本語
ISBN-10: 4798058106
ISBN-13: 978-4798058108
発売日: 2020/3/31

はじめに

 21世紀の科学技術は「光の時代」と言われています。現在、光の先端技術を応用したものが、私たちの生活の中にたくさん入ってきています。

 光の技術があるところでは、必ずといってよいほどレンズが活躍しています。レンズはカメラや望遠鏡だけではなく、CD/DVDプレーヤーやコピー機、レーザープリンタをはじめとする、光を使った様々な製品に使われているのです。レンズは光技術の立役者であるといっても過言ではありません。

 本書の構成にあたっては、レンズの専門家ではない人や、物理は少し苦手と思っている人が、「レンズについて知りたい」「勉強したい」と思ったときに、どのような入門書があればよいのかを中心に考えました。

 レンズを勉強するためには、光の基本的な性質を理解しておく必要があります。なぜなら、光とレンズは切っても切れない間柄だからです。この本では、光の基本的な性質についても、ページをかなり割いて説明しました。本書で取り上げたものは、レンズを学ぶ上で必要となる知識です。本書1冊で光の基本からレンズの仕組みまでを理解できるように、あるいはレンズの専門書で行き詰まったとき、理解を助けるために読んで頂けるように心がけて、執筆を進めました。また、数式がたくさん出てきますが、数式を読み飛ばしても図解と説明で概要が理解できるように執筆したつもりです。

 本書は2005年3月に第1版、2013年3月に第2版が発売され、初版から15年を経て、ここに第3版を出版する運びとなりました。今回の改訂にあたっては、本書の基本的な主旨は踏襲し、読者の皆さんから頂いた質問や意見などを参考に、最新情報なども加えて、よりわかりやすい内容に仕上げることをめざしました。

 読者の皆さんが、本書を手にすることによって、光とレンズに関する基本知識を身につけられ、本書がレンズ光学の専門書への橋渡しの役割を果たすことができたとしたならば、著者としてこれほど嬉しいことはありません。

 最後になりますが、本書の作成にあたっては、北海道理科サークルWisdom96(初版当時)の皆さんに、文章を読んで意見を頂いたり、写真を提供して頂いたり、お世話になりました。この場を借りてお礼を申し上げます。また、編集作業を担当していただいた秀和システムの編集部の皆さんに深くお礼を申し上げます。

2020年3月
桑嶋 幹

もくじ

第1章 レンズとは何か

  • 1-01 そもそもレンズとは?
  • 1-02 レンズの働きをするものを探してみよう
  • 1-03 レンズの歴史

コラム 世界最古のレンズ? ニムルドのレンズ

  • 1-04 望遠鏡と顕微鏡の歴史
  • 1-05 カメラの歴史
  • コラム 活動写真の発明

第2章 光の基本的な性質

  • 2-01 光はどのように進むのか① 光の直進性

コラム 鏡の歴史

  • 2-02 光はどのように進むのか② 光の反射と乱反射
  • 2-03 光はどのように進むのか③ 光の屈折と反射

コラム 光通信と光ファイバー

  • 2-04 光はどのように進むのか④ フェルマーの原理とスネルの法則
  • 2-05 光の分散
  • 2-06 光の回折と干渉

コラム シャボン玉でできる虹

  • 2-07 光が偏るとは?
  • 2-08 どうしてものが見えるのか

コラム 物体はどのようにして見えるのかを研究した人びと

  • 2-09 光と色の三原色
  • 2-10「光る」とはどのようなことか
  • 2-11 光の速度はどれぐらいか

コラム 光速の測定が光の波動説の完全勝利をもたらした

  • 2-12 光の正体は何か
  • 2-13 電磁波とは何か
  • 2-14 幾何光学と波動光学

コラム ナノテクノロジーとは

第3章 レンズの基本的な仕組みと働き

  • 3-01 影や像のできかた
  • 3-02 レンズの仕組みと働き

コラム 老眼鏡と近視眼鏡のレンズの種類を確かめる

  • 3-03 レンズの構成
  • 3-04 レンズを通る光の進みかた
  • 3-05 レンズでできる像
  • 3-06 レンズの式と倍率
  • 3-07 レンズの置き方
  • 3-08 2枚のレンズを通る光
  • 3-09 レンズの簡易な作図方法

コラム 平行光で凸レンズの焦点距離を求める

  • 3-10 凹面鏡と凸面鏡

コラム 凹面鏡を利用した太陽炉

第4章 レンズの分類

  • 4-01 レンズの基本的な分類のしかた
  • 4-02 表面で光を屈折するレンズ①
  • 4-03 表面で光を屈折するレンズ②
  • 4-04 表面屈折以外のレンズ

コラム 光を回折させてみよう

  • 4-05 レンズを作る材料

コラム ガラスはなぜ透明か

  • 4-06 光学ガラスの屈折率とアッベ数
  • 4-07 光学ガラスの分類
  • 4-08 ガラス以外の材料
  • 4-09 レンズのつくりかた

コラム 光学ガラスやレンズの製造工程を詳しく知りたい人は

第5章 レンズの収差と性能

  • 5-01 収差とは何か
  • 5-02 球面収差
  • 5-03 コマ収差と非点収差
  • 5-04 像面湾曲と歪曲収差
  • 5-05 軸上色収差と倍率色収差
  • 5-06 Fナンバー
  • 5-07 開口数NA
  • 5-08 絞りと瞳
  • 5-09 絞りの位置とテレセントリック
  • 5-10 焦点深度と被写界深度
  • 5-11 レンズの解像力と伝達関数MTF

コラム 偏心収差 レンズ製造やとりつけで生じる収差

  • 5-12 アッベの不変量とラグランジュの不変量

コラム レンズの設計

第6章 レンズを使った製品と技術

  • 6-01 光学系とは何か
  • 6-02 眼の働き
  • 6-03 眼鏡と眼の屈折異常① 
  • 6-04 眼鏡と眼の屈折異常② 
  • 6-05 コンタクトレンズの仕組み

コラム 昆虫の複眼の仕組み

  • 6-06 白内障と眼内レンズ
  • 6-07 ルーペの仕組み
  • 6-08 顕微鏡の仕組み
  • 6-09 望遠鏡の仕組み

コラム 双眼鏡の仕組み

  • 6-10 カメラの仕組み
  • 6-11 CD-ROMとCD-ROMドライブの仕組み
  • 6-12 レーザープリンタの仕組み
  • 6-13 バーコードリーダーの仕組み
  • 6-14 半導体産業を支えるステッパーレンズ
  • 6-15 自然現象とレンズ

索引

参考文献

 

サンプルページ

 

巻頭口絵(抜粋)

Front

第1章 第1節 そもそもレンズとは

Page11

第2章 第3節 光はどのように進むのか③光の屈折と全反射

Page23

第3章 第4節 レンズを通る光の進みかた

Page34

第4章 第1節 レンズの基本的な分類のしかた

Page41

第5章 第2節 球面収差

Page52

第6章 第2節 目の働き

Page62

 

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2014年1月 8日 (水)

炎色反応で紫の炎 ダイソーの魔界の炎  

ダイソーのパーティーグッズのコーナーに「魔界の炎」という紫の炎を出す玩具がありました。さっそく火をつけてみると、こんな感じの赤紫の火の玉ができあがりました。

Photo

炎が赤紫になっているのは金属元素の炎色反応によるものです。炎色反応についての詳しい説明は、このブログの過去の記事「花火の色のしくみ」を参照してください。

商品のパッケージにはエチレングリコールが主成分としか書いてありませんが、それだけではこのような色にはならないと思いますので、金属化合物が入っているのでしょう。例えば、赤色の炎を出す炭酸ストロンチウムと青色炎を出す酸化銅を使うと紫の炎を作ることができます。

さて、この炎、空中にふらふら浮く火の玉のように見えますが、実際にはこんな感じになっています。

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2013年10月 5日 (土)

ろうそくのシーソー Candle Seesaw

ろうそくを使った理科の実験です。

ろうそくの両側から芯を出します。そして、ろうそくの両端の万日の部分に軸を通します。この軸を2つ並べたワイングラスの上に静かに置いて、ろうそくの両脇の芯に火をつけます。

火のついた芯はろうを溶かしてていきますが、両端の重さのバランスが崩れると、ろうそくがシーソーのような動きを始めます。

ろうそくの振れはどんどん大きくなり・・・

Amazing Candle Trick!

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