視覚

2020年5月17日 (日)

色彩の科学

色彩の科学 (岩波新書)

金子 隆芳 (著)

 初版1988年でいまだ新品で購入できます。自分の手元の本は2010年第10版でした。これだけ長く販売され続けている理由はこの本を読んでみればわかります。

 ニュートンの色彩論を皮切りに色彩の科学を、その発展の歴史とともに解説していきます。原著論文までしっかりと参照されており、ニュートン、ヤング、マクスウェル、ヘルムホルツなど色彩学の発展に関わる当時の科学者たちがたくさん登場し、彼らが実際に実験に用いた装置の写真や図が丁寧な説明とともに掲載されています。そして、現代色彩論の解説と展開しています。第9章「ゲーテの色の現象学」、第10章「ヘリングの心理学的色覚説」、第11章「物体色の色彩論」で色の本質にせまります。

 色彩を勉強する人にはおすすめの一冊です。

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 内容(「BOOK」データベースより)

 豊かな色彩に囲まれた私たちの世界。だが「色が見える」とはどういうことなのだろうか?ニュートンやゲーテの色彩論以来、さまざまな人々がこの問題に取り組んできた。それらの成果を踏まえて、色覚異常や動物の色覚からイマジナリー・カラー、色ベクトルなどの最新理論まで、多岐にわたる色彩の世界を、物理学・心理学の両面から論じる。

新書: 220ページ
出版社: 岩波書店 (1988/10/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4004300444
ISBN-13: 978-4004300441
発売日: 1988/10/20
梱包サイズ: 17.2 x 10.4 x 1.2 cm

目次

1 ニュートン色彩論
2 色覚の三史
3 ヘルムホルツ三色説
4 測色学の祖・マクスウェル
5 現代色彩論の基本思想
6 現代色彩論のXYZ
7 ヘルムホルツ三原色と色覚異常
8 動物の色覚・処女開眼者の色覚
9 ゲーテの色の現象学
10 ヘリングの心理学的色覚説
11 物体色の色彩論
12 カラー・オーダー・システム

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2020年5月14日 (木)

光の三原色の波長はどのように決まったのか 色が見える仕組み(8)

ヒトの眼が色を感じる仕組みの探究

 ニュートンが1666年に行ったプリズムで虹をつくる実験をきっかけに「人間の眼はどのようにして色を感じているのか?」という疑問に関心が集まるようになりました。ニュートンをはじめ当時の学者たちは、人間の眼の中には光の色の数に相当する多種類の視細胞があると考えました。

 ヤングはこの考えに疑問をもち、1801年に絵の具の混色からヒントを得て「人間の眼の中には赤・緑・青の光を感じる視細胞があり、色は3つの視細胞が受けた刺激の割合で決まる」という三色説を提唱しました。ヤングの仮説は正しかったのですが、当時は光の混色実験が難しく再現性も乏しかったためまったく支持されませんでした。

 1860年、マクスウェルは色分けされた円板を回転させると別の色が見え、ある割合にすると白色に見えるという実験を行いました。Maxwellはこの実験で時間の経過とともに目に入る色光を変えて色をつくる継時加法混色を示したのです。

マクスウェルの円盤

この実験については、スコットランドの国立博物館のサイト(英語)に説明があります。当時の円板の写真も掲載されています。

彼は下記の装置で赤・緑・青の光の混合実験を行い、この3つの色光で白色光を作り出し、また様々な色を作り出せる可能性を示しました。

マクスウェルの箱

この装置を用いた実験については下記の論文に示されています。CAの方向から白色光を入れます。CBの間から入った白色光はミラーMで反射し、レンズLで集光されてEに向かいます。BAの間から入った白色光はスリットXYZを通って3つの白色光になります。3つの白色光はプリズムPで分光されて赤・緑・青の光となり、その後プリズムP'を通って混色され、レンズLをで集光されてEに向かいます。Eから覗くと、光の色を観察することができるようになっています。3色の光の強さはスリットXYZの位置と幅で調整することができます。BAから入ってEから出てくる光とCBから入ってEから出てくる白色光を比較し、BAからの混色された光がCBからの白色光と同じになるようにXYZを調整しました。

On the Theory of Compound Colours, and the Relations of the Colours of the Spectrum.
Philosophical Transactions, Vol. 150 pp. 57–84. 1 January 1860.
PDF https://www.jstor.org/stable/pdf/108759.pdf
本論文はJames Clerk Maxwellの単著となっていますが、この実験には夫人のKatherine Clerk Maxwellが貢献しています。この著書には観察者が2人出てきます。一人はJ.C. Maxwell本人ですが、本文中に出てくるもう一人の観測者Kは夫人のKatherineです。

 1868年、ヘルムホルツはヤングの3色説を定量的に解明し、ヤングの3色説が正しいことを説明しました。これをヤング・ヘルムホルツの三色説と言います。下図はヘルムホルツが求めた各錐体の分光感度曲線です。

ヤング・ヘルムホルツの三色説

こうしてヤング、マクスウェル、ヘルムホルツによって、三色説が有力な仮説となりました。

ヤング、マクスウェル、ヘルムホルツ

 1956年、スウェーデンの生理学者Gunnar Svaetichinは魚の網膜を調べ、青、緑、赤の3つの波長の光に特異的な感度を示すことを発見しまました。これは、ヤング・ヘルムホルツ三原色説を支持する最初の生理学的な実証となりました。

Spectral response curves from single cones,
Svaetichin, G., Actaphysiol. scand. 39, Suppl. 134, 17-46, 1956

網膜に赤・緑・青の光を感じる3種類の錐体細胞が存在することが確認されたのは1964年のことです。Marksらは錐体細胞を通した光と、錐体細胞を通していない光を比較することにより、光のスペ クトルの差を求め、網膜には 445nm(青)、535nm(緑)、570nm(赤)にピークをもつ3種類の視物質が存在することを証明しました。

Visual pigment of single primate canes.
Marks WB, Dobelle WH, MacNichol EF Jr:Science 143; 1181-1183, 1964.

 3種類の錐体の感度がもっとも高い波長は赤錐体450 nm、緑錐体530 nm、青錐体560 nmですが、それぞれの感度曲線は次の図のようにある程度の幅を持っています。

分光感度曲線

 青錐体はほぼ青色光に対応する感度分布になっていますが、緑錐体と赤錐体の感度分布は幅が広く、赤錐体は緑錐体よりも長波長側にシフトしているものの広い範囲で重複しています。青色の光に対しては、青錐体・緑錐体・赤錐体のすべてが応答することがわかります。この図を見てもわかるように、ある波長の光に対してひとつの錐体が応答するわけではありません。そのため、青錐体・緑錐体・赤錐体は波長の短(S)、中(M)、長(L)でそれぞれS錐体・M錐体・L錐体と呼ぶ場合もあります。

光の三原色を再現する等色

 マクスウェルの実験からも分かる通り、赤・緑・青の光を任意に混合すると、様々な色を作ることができます。これは私たちが見ている色を光の三原色で再現できるということです。3色の光でどれぐらいの色を再現できるかは次の図のような装置を使うことで確認できます。例えば、白色光をプリズムで分けて得られる波長約490 nmのシアン(青緑)の単色光が、光の3原色でどのように再現できるかを調べる作業を行います。このような作業を色合わせ、もしくは等色と言います。

等色の実験 

 いま[A]と[B]、[C]と[D]という色光があるとします。それぞれの色光の組み合わせが等色であるとき、式1で表すことができます。このような式を等色式と言います。≡は等色であることを示す記号です。

[A]≡[B]   [C]≡[D]・・・(式1)

そして、上記の等色の実験から次の2つの法則があることが確かめられています。この2つの法則をグラスマンの法則と言います。

グラスマンの法則:比例則

光の強度を一定倍にしても等色式は成り立つ

α[A]≡ α[B]      β[C]≡ β[D]・・・(式2)

グラスマンの法則:加法則

等色の光同士を加えても等色式は成り立つ

[A]+[C] ≡[B]+[D]   [A] + [D] ≡ [B] + [C]・・・(式3)

また、ある試験光[A]が[R][G][B]の光をそれぞれα・β・γの割合で組み合わせたときにできるとき、式4のように表すことができます。

[A]≡ α[R] + β[G] + γ[B]・・・(式4)

グラスマンの法則では任意の[R][G][B]の光を決めてやれば、試験光を式4で表すことができます。しかし、様々な色の試験光に対して、[R][G][B]で色合わせを行うためには[R][G][B]の標準化が必要になります。

光の三原色の標準化

 1931年に国際照明委員会(CIE, Commission Internationale de l'Eclairage)は光の3原色を赤色光700 nm、緑色光546.1 nm、青色光435.8 nmの単色光としました。当時はLED(発光ダイオード)などありませんでしたから、実験に使いやすい光の波長が選ばれました。緑色光546.1 nm、青色光435.8 nmの光は水銀ランプの輝線です。赤色光700 nmは可視光の最も長波長の光を採用しました。このCIEの等色の標準化には、英国のJohn GuildWilliam David Wrightがそれぞれ別途に実施した実験結果が採用されています。この実験に使われていた光の三原色が上記の3つ波長の光だったのです。この三原色を使った色の表現方法をRGB表色系と言います。

 ところで、ヒトの眼の色を感じる錐体細胞は中心窩から2度以内のところに集中して分布しています。そのため、混色の実験でどのような色が見えるかは、観察者の視野によって変わります。そのため、CIEは測色標準観察者なるものを定義し、中心窩から2度の視野角で得られる色覚を人の標準的な色覚と定義しました。

次の図は、等色の実験において、試験光の波長を変更しながら、その試験光に等色する[R][G][B]の三刺激値を求めプロットしたものです。

CIE 1931 RGB等色関数

 この図は「CIE 1931 RGB等色関数」のグラフです。たとえば、660 nmの試験光に対する三刺激値の比率は次のよう読み取ることができます(実際には等色関数から計算で求めます)。

[R]:[G]:[B]=0.05932:0.00037:0.0000

 ところで、この等色関数のグラフを見ると、赤色光が450 nmあたりから550 nmあたりまでマイナスの値になっています。たとえば、約490 nmの試験光は、青色光と緑色光をおよそ0.05の割合で加えて、赤色光を0.05引かなければ再現できません。これを式で表すと次のようになります。

490 nmの試験光=0.05[B]+0.05[G]+(-0.05[R])

 光の三原色ではシアンの光は緑と青の光を混色するとできるはずですが、マイナスの赤い光を加えるというのはどういうことなのでしょうか。

 実は、波長490 nmのシアンの単色光を光の三原色の[G][B]の混色で作ろうとすると、このシアンの単色光の鮮やかさを再現することができないのです。そこで、等色実験で試験光のシアンの単色光に赤色の光を加えると、[G][B]で作ったシアンの光の色と等色になります(式5)。

490 nmのシアンの単色光 +[R]  = [G] + [B]・・・(式5)

ですから、490 nmのシアンの単色光は次のよう表すことになるのです。

490 nmのシアンの単色光 = [G] + [B] + [-R]・・・(式6)

 このように、490 nmのシアンの単色光を作るには[G][B]の光にマイナスの[R]を加えなければなりません。これは色を表現するのに非常に不都合です。そこで、CIEはマイナスの光を扱わなくても色を表すことができる数値で表す仮想的な3原色XYZをつくりました。大まかに言うとXは赤、Yは緑、Zは青で、Yだけには輝度を表す役割があります。このXYZを用いて現実の色を表現する方法をXYZ表色系と言います。

CIE 1931 XYZ等色関数

 ところで、カラーテレビや液晶ディスプレイは光の3原色を使って色を再現していますが、必ずしもCIEが定めた波長の光が使われているとは限りません。例えばカラーテレビは赤・緑・青の光を出す3種類の蛍光物質に電子ビームを当てて色を作りますが、それらの蛍光物質が出す光の波長はだいたい赤色光で610 nm、緑色光で550 nm、青色光で470 nmです。これらの波長は使う蛍光物質よって変わりますから、カラーテレビの色再現は厳密にはどの蛍光物質を採用したかによって異なることになります。このような色の表現を「機種依存な色表現」と言います。つまり、現実に使われているRGB 表色系は厳密には色を指定するのに向いていないという側面があります。

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2014年5月18日 (日)

不思議な3Dライト 

光るドクロのライト。

3dlamp

このドクロ、どこから見ても3Dに見えるのですが、実は厚さ5 mmのガラス板でできているのだそうです。どうなっているのかは下記の映像を見るとわかります。

BULBING: Flat LED lamp! on Kickstarter

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2014年1月14日 (火)

床と壁がわからなくなる錯覚をさせる? スパイダーキャット

レーザーポインタの光の点を追いかける黒猫です。猫がごく普通にじゃれているように見えますが、実はこの猫の正体はスパイダーキャットだったのです。

Cat1

その正体は次の影像を見るとわかります。

Poobs the cat a laser pen and carpet wall.

これだけ見事だと、錯覚で床と壁がわからなくなりますw

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2013年10月21日 (月)

錯視を利用したHONDAのCM

HONDAが錯視を利用したディーゼル車CR-V 1.6のCM映像を作成しました。

杭に突っ込んでいく自動車、果たして、その運命は?

Hondacrv16

こちらの映像を見ると一目瞭然です。

Honda Illusions, An Impossible Made Possible New CR-V 1.6 Diesel Video

 

錯視を利用した画像というと、だいたいが静止画ですが、これはその様々な静止画の中を現実の自動車が走り抜ける動画です。

錯視の静止画に平面を走る動く自動車を組み込み、躍動感と驚き、そして意外性のある映像を作り上げています。このアイデア凄いです。

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2013年4月 8日 (月)

3Dテトリスと思ったら

一見すると立体のテトリスですが・・・

Photo

どのようになっているかは、こちらの映像を見るとわかります。

最近、この手の3Dが多いですね。

Tetris Stop Motion Chalk Art

 

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2013年1月 8日 (火)

虚像だけが残る不思議な鏡

またしても、Richard Wiseman氏の映像です。鏡の前にいろいろな物体が置いてあります。もちろん、鏡の中にはそれらの物体の姿が映っています。

バナナを手で隠して、バナナから手を離すと、不思議なことに手前の物体のバナナが消えてしまいます。ところが、鏡の中の虚像のバナナはそのまま残っています。

The Vanishing

これはどういうトリックなのでしょうか?

個人的には手前のバナナを消し去る方がすごいように思います。

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2012年12月23日 (日)

不思議な部屋 この錯視どうなっている?

この部屋の中のものは大きさがバラバラ。しかし、人間の脳はすっかりとだまされてしまうのです。

Assumptions

絵は壁にかかっているものだ。コーヒーカップは机の上にあるものだ。椅子はテーブルの横にあるものだ。というような先入観が視覚を混乱させるのでしょう。

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2012年12月 5日 (水)

三次元に見える二次元の世界

以前、どれが本物? Optical illusion with printer という映像を紹介しました。今回紹介する映像も基本的には同じですが、これを見ると絵が立体的に見える不思議さを改めて実感することができると思います。

両眼の視差を利用して、右眼で見た図と左目で見た図を同時に見る立体視がありますが、これは眼と脳の働きの逆手を取って、ひとつの絵で立体的に見えるようにしたものと言えるでしょう。

Amazing Anamorphic Illusions!

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2012年10月15日 (月)

アナグリフの3Dを楽しむ

最近、YouTubeに3Dの映像がアップされることが増えてきました。普通のディスプレイで簡単に見られるように作られているので、アナグリフ方式のものです。

アナグリフ方式とは、左右の目の視覚から撮影した映像を、赤色光と青色光の像として重ねて表示し、左目に赤色フィルター、右目に青色フィルターを取り付けたメガネで見る方法です。このメガネをかけて、この映像を見ると、剣が目の前までせまります。

3D Video extreme!!! (evo 3D Works)

これはもう本当に空から街を見ているみたい。精巧なミニチュアにも見えます。

3D motion TOKYO - Anaglyph HD Version (立体映像-アナグリフ版)

アナグリフの3Dを楽しむためには赤と青のレンズの眼鏡が必要です。

グッドライフEXPRESS 3Dメガネ 赤青 眼鏡の上から装着OK! 3D対応の映像鑑賞に [収納ポーチ&GLEブランドロゴ入りメガネクロスセット]

 

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