光のおはなし

2026年3月12日 (木)

植物の光合成は緑色光を捨てているのか?|なぜ植物の葉は光を最大限に吸収する黒色ではなく緑色なのか

光合成とは

 光合成とは植物が太陽光のエネルギーを利用して無機化合物の二酸化炭素と水から有機化合物のブドウ糖を生成し、それをもとにデンプンやタンパク質など生きるために必要なエネルギー源や体を作る物質を合成する働きのことです。光合成は植物の葉などの細胞に含まれる葉緑体で行われます。

光合成の仕組み
光合成の仕組み

植物の葉はどうして緑色なのか

 葉緑体にはクロロフィル(葉緑素)という色素がたくさん含まれています。次の図はクロロフィルの吸収スペクトルです。クロロフィルは500 nm以下の青色光と600 nm以上の赤色光を吸収する性質をもっています。その結果、500 nmから600 nmの緑や黄色の光を反射します。その反射光が緑色や黄緑色に見えるのです。

クロロフィルの吸収スペクトル
クロロフィルの吸収スペクトル

緑色の光は光合成に寄与しないのか?

 光合成の主役は緑色光を吸収せずに反射するクロロフィルであり、緑色光は光合成に必要な光ではないと説明しているWebページや参考書を見かけます。この説明はとりわけ光学や物理学を切り口とした解説に多いようですが、最新の植物学の論文を見ると、植物の光合成における光の利用は単純ではなく、緑色光が必要ないという結論は誤りであることがわかります。

 光合成が単に光をたくさん吸収すれば良いという仕組みであれば、可視光線の全域を吸収する黒色が良いことになります。しかし、そう話は単純ではありません。大量の光のエネルギーは細胞を破壊する恐れがあるのです。大気を通って地表に届く太陽光のうち最も多いのは緑色光です。そのためクロロフィルは緑色光を吸収する量を抑えているのですが、緑色光をまったく吸収しないというわけでもありません。このクロロフィルの緑色光を吸収しにくい性質は逆に緑色光の効率的な利用に役立ちます。クロロフィルに吸収されなかかった多くの緑色光は葉の中で散乱します。この散乱した緑色光を待ち受けているのがクロロフィルとは別のカロチノイドと呼ばれる色素です。

 植物は光合成を終えるとクロロフィルが少なくなり紅葉します。紅葉の色は植物の葉に含まれれるカロチノイドという色素の色です。カロチノイドは葉が青々としているときも存在していますが、その色は大量のクロロフィルに隠されて現れません。このカロチノイドは過剰な緑色光を吸収して熱として散逸させ、細胞を破壊する光のエネルギーを無害化する働きをしています。同時にカロテノイドに吸収された緑色光はクロロフィルへ受け渡され間接的に光合成を促進しているのです。なぜ植物の葉が光を最大限に吸収する黒色ではなく緑色なのか。植物は緑色光を反射して捨てているのでは太陽光を巧に有効活用するための産みだした仕組みなのです。

光合成におけるカロテノイドの機能
㧘橋拓子,西山佳孝
Hiroko Takahashi, Yoshitaka Nishiyama
Roles of carotenoids in photosynthesis Keywords: carotenoids, energy quenching, photosystem, photoprotection, repair of PSII

まとめ

 クロロフィルによる光合成は大量の光のエネルギーのもとでは効率が落ちるため、あえて太陽光にたくさん含まれている緑色光の直接的な利用を避けています。植物に含まれるカロチノイドが緑色光を吸収することで植物の細胞を守るのと同時にクロロフィルの光合成を間接的に促進しています。クロロフィルのスペクトルから、青色と赤色の光だけあれば植物を成長させるという説明は適切ではありません。

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Author:Photon(工学修士 専門:光学、光分析、機器分析 執筆:光と色やレンズの本を執筆 日本分析化学会会員)

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2026年3月 8日 (日)

光の三原色の波長はなぜ解説によって異なるのか?|視物質・条件等色・CIEの定義の波長

 

最終更新日:2026年3月10日

 光の三原色(RGB)の原理を深く探求していくと避けて通れないのが波長(nm)という具体的な数値です。しかし、この波長を調べるとWebサイトや参考書によって数値が微妙に異なっていることに気づきませんか?

 波長が異なる理由はいくつかありますが、その違いは何を対象にした解説なのかによります。何を解説しているのか明記しているものもありますが、単に光の三原色の波長や錐体細胞の波長としか記されていない解説もあります。異なる定義の混同によって、科学的な正確さを欠いている解説が少なからずあるのです。また古い文献値、誤記、由来が不明なものなどがあります。

1. 錐体細胞に含まれている視物質の最大吸収波長

 錐体細胞にはL錐体(赤錐体)、M錐体(緑錐体)、S錐体(青錐体)がありますが、それぞれの波長を、560 nm、530 nm、430 nm(または420 nm)としているものです。また、それぞれのピーク波長に幅を持たせて、L錐体を560-580 nm、M錐体を530-540 nm、S錐体を420-440 nmとしている解説もあります。

 Wikipediaには次の図が掲載されています。


Spectral-absorption-curves-of-the-short-
Spectral absorption curves of the short (S), medium (M) and long (L) wavelength pigments in human cone and rod (R) cells.
After Bowmaker J.K. and Dartnall H.J.A., "Visual pigments of rods and cones in a human retina." ''J. Physiol.'' '''298''': pp501-511

 この値は錐体細胞の視物質を抽出してその吸収スペクトルを分光光度計で測定したものです。ですから、眼の角膜、水晶体、硝子体での光の吸収の影響を受けていません。ですから視物質の物理的な吸収スペクトルと最大吸収波長です。

 なお上図の横軸が等間隔ではないことに留意してください。この図をもとに作成した図で解説しているものがありますが、グラフはそのままで横軸を等間隔にした誤った図をよく見かけます。図の中にピークの数値が入っていないものは間違えてしまいます。

2.条件等色から求めたヒトの色覚の最大吸収波長

 錐体細胞の刺激の割合から色を認識しているのは脳です。ですから、前述の視細胞の最大吸収波長とヒトの色覚の3色に対する最大応答波長は異なります。こちらの波長は条件等色の実験から生理学的に求められた波長で、L錐体が560 nm、M錐体が540 nm、S錐体が440 nmとされています。条件等色(メタメリズム)とは成分が異なる2つの光の色刺激が、特定の観測条件で等しい色に見えることです。例えば、光の三原色の緑色光と青色光を混ぜるとシアン光が得られます。単色光のシアン光とは光の成分が異なりますが、ほぼ同じ色に見えます(厳密には同じ色にならず単色光のシアンの方が鮮明になります。詳しい解説は「シアンのおはなし|単色光(波長)と複合光が存在する色」を参照)。

3.CIEが定義した光の三原色(RGB)の波長の国際規格

 1931年に国際照明委員会(CIE, Commission Internationale de l'Eclairage)は光の三原色の波長を赤色光700 nm、緑色光546.1 nm、青色光435.8 nmの単色光と定義しました。この定義はイギリスのJohn GuildとWilliam David Wrightがそれぞれ別途に報告した条件等色の実験の結果から採用された値です。現在は単色光を発光するLED(発光ダイオード)光源がありますが、当時は実験に使いやすい光の波長が選ばれました。緑色光546.1 nm、青色光435.8 nmの光は水銀ランプの輝線です。赤色光はタングステンランプの白色光を分光器で分散させて得られた650 nmの光が使われましたが、定義としてはより長波長の700 nmの光が採用されました。

太陽光に含まれる可視光線と光の三原色(RGB)の色の比較
太陽光に含まれる可視光線と光の三原色(RGB)の色の比較

3.古い文献値、誤記、由来が不明なもの

 数値が間違っている解説も多く見かけます。それらのサイトをこの記事ですべて紹介することはできませんが、問い合わせを頂いた中から最も間違いの影響が大きいと考えられるページを紹介します。

 Googleでキーワード「光の三原色」で検索すると「FNの高校物理」の「光と絵の具の三原色(色とは何か)」というページが検索順位1位および強調スニペット(通称0位)に表示されます。このページは物理学を詳しく解説しており自分も尊敬するサイトの一つです。ところが、このページの中に次の記述があります。

人間の目の網膜には、赤色波長(6.1×10-7m)近傍の光に共鳴してその光のエネルギーを吸収し興奮する細胞と、緑色波長(5.5×10-7m)近傍の光を共鳴吸収して興奮する細胞と、青色波長(4.5×10-7m)近傍の光を吸収共鳴して興奮する細胞がある。それらの細胞の先端は錐体状をしており、それぞれはL錐体(赤錐体)、M錐体(緑錐体)、S錐体(青錐体)と呼ばれる。

 つまりL錐体は610 nm、M錐体は550 nm、S錐体は450 nmと説明しています。これらの数値は文章の内容からは錐体細胞の3つの視細胞の最大吸収波長と考えられます。そうであるならばこの数値は間違っています。また条件等色による波長やCIEが定義した波長の数値とも異なっており何に由来する数値かわかりません。文章内に書籍の1ページをまるごとコピーした写真へのリンクがありますが、そこにも波長の記載はありません。その下に図2が表示されていますが、この図は太陽光のスペクトルに本記事で紹介した条件等色の図「Simplified human cone response curves.」を重ねたものと思われます。波長の数値が誤記としても図は上述の説明とは異なるものです。

 図3は条件等色の実験から得られたLMS色空間の応答曲線です。これは色を再現(表示)するためのものではなく、ヒトが色覚が色をどのように知覚しているかを示すものです。ここから光の三原色の光源の波長について言及し、あたかも光の三原色ですべての色を表現できるかのような解説となっていますが、実際にはヒトの色覚を再現できる光の三原色の光源は存在しません。RGB色空間やXYZ色空間について解説もされていないので説明が中途半端になっています。

 その後のオプシンの解説ではレチナールの構造変化の説明をしていると思われるリンクが403エラーとなっています。また光受容細胞1、光受容細胞2、光受容細胞3のリンク先は著作物のコピーとなっています。引用が表示されていますが1ページ丸ごとコピーの画像表示は引用の範疇を超えておりいただけません。

 また、光の三原色と色の三原色の解説であるにも関わらず、加法混色や減法混色とは関係ない発光・発色の事例が掲載されています。

 FNの高校物理は優れたサイトではありますが、光の三原色と色の三原色の解説ページとしては内容は適切ではないと考えます。このページをGoogleが検索順位1位や強調スニペットに表示していることについては色彩を学ぶ人たちに対して悪い影響を与えることを懸念しています。

 ※FNの高校物理は非常に秀逸なサイトですが更新は止まっているようです。最近ではドメインの有効期限切れで長らくサイトが消滅しており、管理者様への連絡もできない状態でした。幸いサイトは復活しましたがドメインの有効期限が10年先になっていました。誤りの指摘をできる可能性は低いと判断し、こちらで紹介させて頂くことにしました。

4.光の三原色RGBの比較表

光の三原色の波長:階層別(視細胞・生理学・CIE規格)比較データ一覧
分類 L錐体 M錐体 S錐体 解説・意味合い
1. 視細胞 560  nm 530  nm 430  nm 網膜の錐体細胞(フォトプシン)が物理的に最も強く吸収する波長
2. 等色条件 560  nm 540 nm 440 nm 脳内処理を経てヒトが赤・緑・青と知覚する波長
3. CIEの規格 700 nm 546.1 nm 435.8 nm 色彩計測の基準として水銀灯の輝線等を用いて定義された波長です。

【参考記事】

 光の三原色(RGB)と色の三原色(CMY)の原理と仕組み、色が見える仕組み、条件等色、光の三原色の波長が決まった経緯については次のページを参照してください。

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色彩の科学の基本について詳しく学びたい方には次の書籍をおすすめします。このページで指摘していることをより深く理解することができます。

Photonの書評

色彩の科学(岩波新書 44)

金子 隆芳 (著)(筑波大学名誉教授 専門:色彩心理学)

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2026年3月 3日 (火)

シアンのおはなし|単色光(波長)と複合光が存在する色

シアンとは

 「光の三原色」や「色の三原色」にシアンという名前の色が出てきます。シアンは日本語では藍紫色と言いますが、わかりやすく言うと水色に近い青緑色のことです。

 光の色としてのシアンは光の三原色の赤色光と青色光を均等に混ぜたときにできる色です。

(R,G,B)=(0,255,255)=#ff00ff

 物体の色としてのシアンについては、

 CMYKのプロセス印刷のCは次のような色になります。

(R,G,B)=(0, 174, 239)=#00aeef

 JIS慣用色名ではマンセル値で7.58B 6/10とされており、次のような色になります。これはCMYKのインクの色味とは異なります。

マンセル値 7.5B 6/10 (R,G,B)=(17,173,208)=#11add0

光の三原色と色の三原色の基本的知識について学びたい場合は次のページを参照してください。

 

シアンの由来

 シアンは古代ギリシア語の κύανος(kyanos、濃い青色)という単語に由来します。ただし、κύανος は天然石のラピスラズリの色(和名:瑠璃色)です。ラピスラズリが造られる顔料はウルトラマリンでシアンとは色合いが異なります。

ラピスラズリから造られた天然ウルトラマリン顔料
ラピスラズリから造られた天然ウルトラマリン顔料

 シアンの天然石として古くから知られていたのは貴重な宝石とされていたトルコ石です。トルコ石は古代の中国・アステカ・エジプトなどでシアンの装飾として使われました。トルコ石は貴重なため一般に顔料として使われることはありませんでした。

シアン色のトルコ石
トルコ石

 シアンの人工顔料は1704年にドイツの顔料・染料の製造業者ヨハン・ヤコブ・ディースバッハによって偶然に発明されました。コチニールを用いた赤い顔料を製造する際、使用した炭酸カリウムが窒素加工物を含む骨油(ディッペル油)で汚染されていたため青色を呈するようになったのです。この顔料は発明した地のプロイセンに由来してプルシアンブルーと名付けられました。当時非常に貴重だった青色の顔料に対し、安価で大量生産可能なプルシアンブルーが広く使われるようになりました。プルシアンブルーは粒子が非常に微細で濃淡を出しやすかったため幅広い青色を表現できるようになりました。シアンの顔料としても使われました。

 19世紀に入ると銅化合物を含む青緑色の顔料が使われるようになりました。1928年にイギリスの染料工場でフタロシアニンの銅錯体である銅フタロシアニンブルーが偶然に合成されると、フタロシアニンブルーの合成方法が研究開発され、鮮明なシアン顔料を工業的に安価に大量に製造
できるようになりました。、フタロシアニンブルー(銅フタロシアニン)は現代のカラー印刷に使われる色の三原色(CMY)のシアンとして使われています。

マンセル値 10PB 2/10 など(R,G,B)=(0,15,137)=#000f89

シアンの光は2種類ある

 この記事の冒頭でシアンは色の三原色(CMY)の緑(G)と青(B)を均等に混色したときにできる色と説明しましたが、虹やプリズムで分散したスペクトルの中にはシアンの光が存在します。約490 nm(485~500 nm)の波長の単色光はシアンです。

太陽光の可視光線の連続スペクトル
太陽光の可視光線の連続スペクトル

 つまりシアンには490nm付近にピークを持つ「単色光としてのシアン」と、青(B)と緑(G)が加法混色したときに生じる「複合光としてのシアン」が存在します。この二つのシアンは含まれる光の成分が異なります。物理的に異なるエネルギー分布を持ちながら、ヒトの眼の網膜の錐体細胞のM錐体(緑錐体)とS錐体(青錐体)を刺激するため、ヒトの色覚ではシアンとして認識されます。どちらも生理的に認識されるシアンですが、単色光のシアンは物理的に存在するシアンなどと表現されることがあります。

単色光のシアンと複合光のシアンの違い

 2つのシアンを比べると、単色光のシアンの方が複合光のシアンより鮮やかな色をしています。これはヒトの錐体細胞のL錐体(赤錐体)が青色光の刺激を受ける特性があるからです。次の図はヒトの標準的な色覚を標準観測者として数値化した波長ごとの刺激値を表した CIE 1931 XYZ等色関数をグラフ化したものです。

CIE 1931 XYZ等色関数
CIE 1931 XYZ等色関数

 この図を見ると約490 nm(485~500 nm)の単色光は青錐体と緑錐体のみに刺激を与えることがわかります。一方、青色光と緑色を混色した複合光は青錐体と緑錐体だけではなく赤錐体にも刺激を与えることがわかります。赤錐体が刺激を受けるため複合光のシアンは鮮やかさが失われてしまうのです。単色光のシアンに赤色光を混ぜると複合光のシアンと同じ色にすることができますが、複合光のシアンを単色光のシアンと同じ色にすることはできないのです。このことは単色光と光の三原色の色合わせの実験(等色実験)から判明しました。単色光と複合光のシアンの違いについては次のページで解説している等色条件やグラスマンの法則を参照してください。

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2025年12月17日 (水)

【#おもしろ映像】雷のハイスピードカメラの映像

 雷の放電は大気の絶縁性のためいっきに地面に届きません。雷雲から小きざみな放電を繰り返し空気中に電気の通り道を作りながら地面へと近づきます。稲妻がジグザグに見えるのはこのためです。これを先駆放電といいます。稲妻が地面に届くと今度は逆に地面から雲に向かって放電が起こります。これを帰還雷撃といいます。このとき強い光と大きな音を出します。これが落雷です。

雷のハイスピードカメラの映像
雷のハイスピードカメラの映像

 実際には落雷しているのは先駆放電で帰還雷撃は地面から空へ向かいます。次の映像は稲妻をハイスピードカメラで撮影したものです。先駆放電と帰還放電の様子がよくわかります。

Slow Motion Lightning

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2025年11月26日 (水)

太陽の誕生|太陽光はどれぐらいの時間をかけて地球に届くか

宇宙のはじまりと元素の誕生

 地球にもっともたくさん降り注ぐ光は太陽光です。太陽はどのように生まれ、太陽でどのようにして光が生まれるのか考えてみましょう。

太陽の誕生

 宇宙が誕生したときにできた水素やヘリウムのガスは宇宙誕生から1~2億年後までには宇宙空間にほぼ均等に広がっていました。

銀河のもとが生まれる

 やがて、これらのガスは自身の質量によって集まりだし、宇宙空間に密度の高いところと低いところができました。密度の高いところは銀河のもとになり、宇宙空間にたくさんの銀河のもとが誕生しました。

 

恒星の誕生

 銀河のもとの中でガスは雲のように集まっていました。この雲はガスの質量によって収縮し、塊のようになっていきました。ガスがどんどん圧縮して密度が高くなると、塊の中心温度もどんどん上昇していきました。すると、ガスの塊の中で高温によって原子が電離し、質量の軽い電子がはじき飛ばされ電子と原子核が分離しました。原子核と電子はバラバラになり、質量の大きい原子核だけが残りました。この原子核の塊はさらに温度を上げ、やがて核融合を起こすようになりました。原子核の塊は核融合によって光を放つようになり恒星として輝き始めましたこのようにして宇宙にたくさんの銀河と恒星が生まれました。

太陽の誕生

 宇宙が誕生してから90億年ほどたった頃、銀河系のどこかでひとつの恒星がその一生を終えて超新星爆発しました。爆発した恒星は宇宙空間にたくさんの元素を放出しました。放出された元素は宇宙に存在していたガスやチリと一緒に集まりだし、やがて新しい塊となりました。この塊が太陽のもと、すなわち原始太陽系星雲です。太陽のもとができるプロセスは上述の恒星ができるプロセスと同じです。太陽はやがて核融合を引き起こし恒星となりました。

原始太陽
原始太陽

太陽光の放出と地球への到達

 太陽光は太陽の中心で生じている核融合で生み出されます。太陽の中心で生まれた光は太陽の内部を通って太陽の表面から出てきます。この過程で光は太陽内部に存在するたくさんの電子と相互作用しますが電子は光を吸収したり、再放出したりします。

 太陽の中心で生まれた光は、すぐに外へ出られるわけではありません。たくさんの電子が光の吸収・再放出を繰り返しながら、光を太陽の中心から表面の方へ受け渡していきますが、電子が光子を放出する方向はバラバラなため、光はさまざまな方向へランダムウォークするように太陽内部を進みます。

 そのため、太陽の中心で生まれた光が太陽の表面から出て来るまでには数十万年から数百万年かかります。そしてようやく太陽表面に到達した光は約8分で地球に届きます。いま私たちの地球に降り注いでいる太陽光は人類の祖先がアフリカで登場するよりもずっと昔に太陽の中心で生まれたものです。

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2025年11月 2日 (日)

虹彩釉のぐい呑み

 虹彩釉(こうさいゆう)は焼き物の表面に虹のような色彩を生み出すことができる釉薬のことでラスター釉とも呼ばれます。金属や金属酸化物を調合した釉薬です。虹彩釉で焼成した焼き物の表面には窯の温度、焼成時の還元雰囲気、冷却速度などの複雑な条件が絡み合って微細な金属の薄膜や結晶が析出します。光の干渉が起こるため光を当てる角度によって見え方が変化する構造色が生じます。再現が難しいため同じ釉薬でも作品ごとに異なる出来映えになります。

 次の写真は虹彩釉のぐい呑みです。

虹彩釉のぐい呑み
虹彩釉のぐい呑み

 器の内側にも虹色が見えます。ここに日本酒を注ぐと虹色が揺らめき幻想的に見えます。

虹彩釉のぐい呑み
虹彩釉のぐい呑み

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2025年10月17日 (金)

【#おもしろ映像】光学迷彩で見えない透明な自動車

 2012年の自動車のCMの動画です。この自動車は光学迷彩を施したメルセデス・ベンツだそうです。

【#おもしろ映像】光学迷彩で見えない透明な自動車
【#おもしろ映像】光学迷彩で見えない透明な自動車

 こちら側から見える面にLEDディスプレイを貼り付け、反対側に取り付けたデジタルカメラで撮影した映像をリアルタイムに表示する光学迷彩によって透明な自動車を実現しています。この自動車はプロモーション用に作られ1週間でドイツ国内を駆け巡ったそうです。

Mercedes-Benz. The Invisible Drive. | Ridgeway Mercedes-Benz

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2025年3月 9日 (日)

色素|物体に色を与える成分

 

 物体に色が生じる原理には1リンゴやバナナのように光の吸収反射によるもの、虹やプリズムで生じる光の屈折分散によるもの、シャボン玉やCDの裏面などのように光の反射回折干渉によるものがあります。

 【参考】その色、どこから

 それらの原理のうち色素が関係しているものは光の吸収と反射によるものです。色素は光が作用すると特定の波長の可視光を吸収したり放出したりして発色する物質です。つまり物質の色の元になっている物質です。

色素|物体に色を与える成分

 物質が光を吸収したり放出したりする現象は物質にあたる光と物質中の電子の相互作用で生じます。多くの物質は紫外領域や赤外領域の光と相互作用するため色は生じませんが、色素は可視領域の光を吸収したり放出したりするため色を生じます。また色を発する同様な構造を持った物質でも光との相互作用が弱ければ色を呈しませんので色素とは呼びません。

 物質中の電子のエネルギーは通常は安定した状態にあります。物質に光があたると電子は特定の波長の光のエネルギーを受けて高エネルギー状態になります。電子は直ちにもとの安定した状態に戻りますが、このとき受け取った光のエネルギーを熱として放出します。これによって特定の波長の光が消失します。これがいわゆる光の吸収です。電子が吸収しなかった波長の光のエネルギーは電子から再放出されます。これが反射になります。このため物質は吸収した光以外の光を反射することになります。

 リンゴの色素は青緑系の光を吸収しそれ以外の光を反射しています。その反射した光が赤色に見えます。バナナの色素は青色系の光を吸収しそれ以外の光を反射します。反射した光は黄色に見えます。

リンゴとバナナの光の吸収と反射
リンゴとバナナの光の吸収と反射

 物質が光の吸収と反射によって色を呈する場合、物質の状態によっては散乱、透過、屈折、回折、干渉などの現象が加わることがあります。その場合は必ずしも物質が呈する色と見た目の色は一致しません。

 かつては色を呈する物質を色素として利用してきましたが、最近は物質が色を呈する理論が明らかになってきたため特定の構造を持たせて特定の色を呈する物質を作ることができるようになっています。

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2025年1月 6日 (月)

夕焼け空に炎ゆる雲

 遠くの山に太陽が沈んでいき西の空が真っ赤に染まります。その山の上には雲があります。

  【参考】空の色はどうして青色?|焼け空はどうして赤色に染まるのか

 山の上の方は気流も激しいので夕日に照らされた雲の端がゆらゆらと揺れています。

夕焼けと雲
夕焼けと雲

 そのゆらゆらと揺れる部分をよく見るとまるで雲が燃えて炎が出ているようでした。

夕焼け空に炎ゆる雲
夕焼け空に炎ゆる雲

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2023年9月29日 (金)

シロクマの毛は透明で肌は黒い

 シロクマの正式名称はホッキョクグマ(北極熊)で哺乳綱食肉目クマ科クマ属の食肉類です。

ホッキョクグマ(北極熊)
ホッキョクグマ(北極熊)

 ホッキョクグマは全身を覆う毛で身体が白く見えるためシロクマ(白熊)と呼ばれます。北極の環境下では雪や氷と同化し得物に気が付かれにくくなる効果があります。しかしシロクマの毛は本当は白色ではありません。シロクマの毛は中空でストローのような構造をしています。この透明の毛が密集して生えているため、光が当たると乱反射して白く見えます。

 またホッキョクグマの地肌は黒色をしています。光の熱をよく吸収する黒い地肌に透明な毛が太陽光を送ります。これによってホッキョクグマの体温が上がります。さらに毛も太陽光に温められ、毛に含まれている空気が保温効果を生み出します。厳寒の北極の環境で冷たい外気を遮断しているわけです。その他、分厚い脂肪や短い足も寒冷地への適応です。ホッキョクグマは北極での生活のために身体を適応させて進化させたと言って良いでしょう。

 余談ですがホッキョクグマが日本に初めてやって来たのは明治35年です。恩賜上野動物園で飼育・展示されることになりましたが、このとき和名をシロクマと名付けることができずホッキョクグマと名付けられました。その理由は当時、恩賜上野動物園でアルビノのツキノワグマが飼育・展示されておりシロクマの愛称で呼ばれていたからです。

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