« 2025年1月 | トップページ

2025年3月

2025年3月 9日 (日)

色素|物体に色を与える成分

 

 物体に色が生じる原理には1リンゴやバナナのように光の吸収反射によるもの、虹やプリズムで生じる光の屈折分散によるもの、シャボン玉やCDの裏面などのように光の反射回折干渉によるものがあります。

 【参考】その色、どこから

 それらの原理のうち色素が関係しているものは光の吸収と反射によるものです。色素は光が作用すると特定の波長の可視光を吸収したり放出したりして発色する物質です。

色素|物体に色を与える成分

 物質が光を吸収したり放出したりする現象は物質にあたる光と物質中の電子の相互作用で生じます。多くの物質は紫外領域や赤外領域の光と相互作用するため色は生じませんが、色素は可視領域の光を吸収したり放出したりするため色を生じます。また色を発する同様な構造を持った物質でも光との相互作用が弱ければ色を呈しませんので色素とは呼びません。

 物質中の電子のエネルギーは通常は安定した状態にあります。物質に光があたると電子は特定の波長の光のエネルギーを受けて高エネルギー状態になります。電子は直ちにもとの安定した状態に戻りますが、このとき受け取った光のエネルギーを熱として放出します。これによって特定の波長の光が消失します。これがいわゆる光の吸収です。電子が吸収しなかった波長の光のエネルギーは電子から再放出されます。これが反射になります。このため物質は吸収した光以外の光を反射することになります。

 リンゴの色素は青緑系の光を吸収しそれ以外の光を反射しています。その反射した光が赤色に見えます。バナナの色素は青色系の光を吸収しそれ以外の光を反射します。反射した光は黄色に見えます。

リンゴとバナナの光の吸収と反射
リンゴとバナナの光の吸収と反射

 物質が光の吸収と反射によって色を呈する場合、物質の状態によっては散乱、透過、屈折、回折、干渉などの現象が加わることがあります。その場合は必ずしも物質が呈する色と見た目の色は一致しません。

 かつては色を呈する物質を色素として利用してきましたが、最近は物質が色を呈する理論が明らかになってきたため特定の構造を持たせて特定の色を呈する物質を作ることができるようになっています。

【関連記事】

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

人気ブログランキングへ

| | | コメント (0)

« 2025年1月 | トップページ