青色光より短波長の光はなぜ紫色なのか|青紫と赤紫の違い
虹やプリズムでできた光の色の帯を見ると青色光より短波長側に紫色光が見えます。紫色は青色に赤味が加わった色ですが、どうして青色光より短波長側に長波長側の赤色が混ざった紫色光が見えるのでしょうか。
青色光より短波長側に紫色光が見えるのはヒトの色覚に関係しています。「視覚が生じる仕組み 色が見える仕組み(3)」で説明した通り、ヒトの網膜には赤・緑・青の光を感じる錐体細胞があります。次の図はヒトの平均的な色覚の応答を図で表したものです。R(赤色光)、G(緑色光)、B(青色光)のグラフは光の波長に対してそれぞれの色を感じる色覚の刺激の割合を示したものでG(緑色光)の最大の刺激値を1として標準化したものです。
この図を見ると青色と緑色に対する色覚はそれぞれ450 nm付近と550 nm付近を中心とする光に応答することがわかります。一方、赤色に対する色覚は主に600 nm付近を中心とする赤色光に応答しますが450 nm付近を中心とする青色光にも応答することがわかります。
たとえば波長450 nm付近の光に対しては青色と赤色の色覚が応答しますが、青色と赤色の刺激値の差が大きいため青色と認識します。波長450 nmより短い波長の光に対しては青色と赤色の刺激値の差が小さいため青色に赤色が加わった紫色と認識することになるのです。この紫は青色の応答が多いので青紫色の光となります。
さて光の三原色の混色では赤色光と青色光を混ぜるとマゼンタ(赤紫色)の光になります。赤色と青色の色覚がそれぞれ十分に応答するため赤紫色の光となります。マゼンタの光は前述の青紫色の光と異なり虹の中には存在しない色の光、つまり相当する波長の単色光がない光になります。ピンク色の単色光が存在しないのも同じ理由です。
マゼンタについては「マゼンタのおはなし|単色光(波長)が存在しない色」に詳しく説明してあります。
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