ニュートンの思考実験「万有引力の法則」
イギリスの物理学者アイザック・ニュートンの伝記に「リンゴが木から落ちるのを見て、万有引力を発見した」という有名な話があります。この話が本当かどうかは別にして、ニュートンは地球上の物体が落下する現象から月がなぜ落ちてこないのかを考えました。
糸に物体をつなげて振り回すと物体は円運動します。このとき物体には遠心力が働いているため、糸を手から放すと物体は飛んでいってしまいます。月は地球のまわりを公転していますが、月と地球は糸でつながれているわけではありません。ニュートンは月が地球から離れずに同じ距離を保っているのは、月に働く遠心力と地球が月をつなぎとめる力がつり合っているからではないかと考えました。そして、地球が月をつなぎとめる力は、落下するリンゴに働く力と同じではないかと考えたのです。その力は重力のことです。もちろん、ガリレイが落下実験をやってみせたことからもわかるとおり、ニュートンが重力を発見したわけではありません。
ココログ 光と色と「ガリレオの思考実験「重いものほど速く落下するのか」」
ニュートンが次に考えたのは、地球だけが重力で月をつなぎとめているのかということでした。地球に重力があるのであれば、月にも重力があるはずではないか。すなわち月と地球はお互いをつなぎとめるように引っ張り合っているのではないかと考えました。そして、ニュートンは質量をもつ物体の間にはお互いに引き合う力が働いていると考え「万有引力の法則」を導き出しました。リンゴが落下する現象と天体の運動は同じ原理に基づいているという結論に達したのです。
宇宙で実験することはできません。ニュートンは身の回りの現象をヒントに宇宙でどのようなことが起こるかを天体観測の結果に照らし合わせながら思考実験で考えたのです。
【関連記事】
| 固定リンク | 0
「思考実験」カテゴリの記事
- アインシュタインの光速度不変の思考実験(2021.08.28)
- ニュートンの思考実験「万有引力の法則」(2021.08.16)
- ガリレオの思考実験「重いものほど速く落下するのか」(2021.06.25)
- √2が開いた科学の扉(2021.04.08)
- 無限の猿定理とは(2021.03.30)
「科学&テクノロジー」カテゴリの記事
- 可視領域の単色光の水中における屈折率と光速(2024.08.10)
- 水中で色はどのように見えるか?(2023.05.14)
- 太陽と雲と薄明光線(2023.05.11)
- バーコードの原理と仕組み①(2022.10.06)
- 非常口の緑色と白色のおはなし(2022.04.08)
コメント
ブログ拝見しました。
思考実験について纏めている
視点が興味深いと思います。
また後程拝見したいので私の
ブログからリンクを張らせて下さい。
宜しくお願い致します。
投稿: コウジ | 2021年8月22日 (日) 09時30分
ありがとうございます。
リンクもありがとうございます。
別館でも記事を配信しております。
光と色と TNE NEXT
https://opticaltale.blogspot.com/
本館ともども、よろしくお願いいたします。
投稿: photon | 2021年8月27日 (金) 02時36分