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2021年8月

2021年8月28日 (土)

アインシュタインの光速度不変の思考実験

 相対性理論を導いたドイツの物理学者アルベルト・アインシュタインは手鏡に自分の顔を映しながら光速と同じ速さで走ったら鏡に自分の顔が映らなくなるのだろうかと考えました。

アインシュタインの思考実験 光速で移動したら鏡に自分の顔は映るか
アインシュタインの思考実験
光速で移動したら鏡に自分の顔は映るか

 当時、光は空間を満たすエーテルという仮想の媒質を伝わると考えられていました。つまり、光速とは光がエーテルを伝わる速さと考えられていたのです。アインシュタインは自分も手鏡もエーテルの中を光速で進んでいるのだから鏡には自分の顔が映らなくなるだろうと考えてみましたが、このことが当時知られていた物理の法則に矛盾することに気がつきました。

 次の図のようにまっすぐな高速道路を同じ方向に時速80キロメートルで走る自動車Aと時速100キロメートルで走る自動車Bを考えてみましょう。AからBを見ると、Bは時速20キロメートルで進行方向に遠ざかって行くように見えます。逆にBからAを見ると、Aは時速20キロメートルで進行方向と逆の方向に遠ざかって行くように見えます。この見かけの速度のことを相対速度といいます。もし、AとBの速度が同じであれば、AからBBを見ても、BからAを見ても、相対速度は0で動いていないように見えます。これがガリレオの相対原理です。

ガリレオの相対原理
ガリレオの相対原理

 ニュートンがガリレイの相対原理から導いた「慣性の法則」(運動の第1法則)によれば、私たちは一定の速度で動いているとき、どれぐらいの速さで、どの方向に動いているのかわかりません。そもそも動いているかどうかさえわからないのです。これをさきほどの自動車の例にあてはめてみると、AとBはそれぞれ一定の速さで動いているのですから、まわりの景色や相手が見えなければ自分が動いていることに気がつかないはずです。また、AとBの速さが同じであれば、お互いにある一定の距離を置いて静止しているように見えます。相手が見えていてもまわりの景色が見えなければ自分が動いていることに気がつかないはずです。

 さて、手鏡に顔を映しながら、光速と同じ速さで走ったとき、手鏡も自分も同じ速度で動いているわけですから、自分が動いていることに気がつくことはできないはずです。このとき、自分も手鏡も光もエーテルの中を光速で進むわけですから、自分の顔から出た光は鏡にたどりつくことができません。顔から出た光が鏡に届かなければ、その光が鏡で反射することもないので、鏡には顔が映らなくなります。

 鏡に顔が映らなくなるということは、自分が動いていることがわかるということです。アインシュタインは光速で走ったときにだけ、自分が動いていることがわかるというのはおかしいと考えました。そして、エーテルの存在を否定し、光にはガリレオの相対原理は通用しない、つまり光速は観測者によらず、いつも同じ大きさであると考えました。

 このようにアインシュタインは思考実験で光速度不変の原理にたどり着いたのです。やがて、エーテルが存在しないことや、光速度が不変であることが実験で確かめられ、アインシュタインの考えが正しいことが証明されたのです。

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2021年8月16日 (月)

ニュートンの思考実験「万有引力の法則」

 イギリスの物理学者アイザック・ニュートンの伝記に「リンゴが木から落ちるのを見て、万有引力を発見した」という有名な話があります。この話が本当かどうかは別にして、ニュートンは地球上の物体が落下する現象から月がなぜ落ちてこないのかを考えました。

ニュートンは月と落下するリンゴを見て万有引力を発見
ニュートンは月と落下するリンゴを見て万有引力を発見

 糸に物体をつなげて振り回すと物体は円運動します。このとき物体には遠心力が働いているため、糸を手から放すと物体は飛んでいってしまいます。月は地球のまわりを公転していますが、月と地球は糸でつながれているわけではありません。ニュートンは月が地球から離れずに同じ距離を保っているのは、月に働く遠心力と地球が月をつなぎとめる力がつり合っているからではないかと考えました。そして、地球が月をつなぎとめる力は、落下するリンゴに働く力と同じではないかと考えたのです。その力は重力のことです。もちろん、ガリレイが落下実験をやってみせたことからもわかるとおり、ニュートンが重力を発見したわけではありません。

 ココログ 光と色と「ガリレオの思考実験「重いものほど速く落下するのか」

 ニュートンが次に考えたのは、地球だけが重力で月をつなぎとめているのかということでした。地球に重力があるのであれば、月にも重力があるはずではないか。すなわち月と地球はお互いをつなぎとめるように引っ張り合っているのではないかと考えました。そして、ニュートンは質量をもつ物体の間にはお互いに引き合う力が働いていると考え「万有引力の法則」を導き出しました。リンゴが落下する現象と天体の運動は同じ原理に基づいているという結論に達したのです。

 宇宙で実験することはできません。ニュートンは身の回りの現象をヒントに宇宙でどのようなことが起こるかを天体観測の結果に照らし合わせながら思考実験で考えたのです。

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