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2021年1月20日 (水)

太陽と月が同じ大きさに見える理由

 太陽の平均直径は1,392,000 km、月の平均直径は3,474.8 kmです。直径で比較すると太陽は月の400倍です。太陽の直径は月が400個も並ぶ大きさです。ところが、地球から太陽と月を見たときには、ほとんど同じ大きさに見えます。次の写真は太陽と月を同じ倍率で撮影して、見かけの大きさを比較したものです。

太陽と月の見かけの大きさの比較
太陽と月の見かけの大きさの比較

 地球から見たときに太陽と月が同じ大きさに見えるのは「地球から太陽の距離」と「地球から月までの距離」に関係しています。景色を眺めているとき、遠いところにあるものが小さく見えることは、日常でも体験していることと思います。

遠くにある柱は小さく見える
同じ大きさの柱でも遠くにあるものは小さく見える

 次の図は近くの物体Aと遠くの物体Bを見たときの様子を示したもです。これら2つの物体は同じ大きさですが、それぞれの物体までの距離が異なるため、物体を出た光が眼に入ってくる角度が異なります。そのため、網膜にできる像が、それぞれA'とB'となり、結果として、遠いところにある物体Bは近いところにある物体Aよりも小さく見えるのです。また、物体Cは物体Aよりも大きいのですが、物体Aと同じ大きさに見えます。

物体の大きさの捉え方
物体の大きさの捉え方

 このように、私たちは物体の大きさを光がやってくる角度として捉えます。従って、この角度で物体の見かけの大きさを表すことができます。この角度は次の図のようにえると求めることができます。

物体の見かけの大きさの求め方
物体の見かけの大きさの求め方

 物体の大きさy、物体までの距離L、物体が見える角度θの間には次の関係があります。

tanθ = y/L または y = L・tanθ

 さて、冒頭で述べたように太陽の平均直径は1,392,000 km、月の平均直径は3,474.8 kmですが、地球と太陽の平均距離は149,597,870 km、 地球と月の平均距離は384,400km です。これを上式に当てはめると、

太陽の場合は、

tanθ = 1,392,200/149,597,870
θ = 0.53

月の場合は、

tanθ = 3,474.8/384,400
θ = 0.52

となり、どちらの角度も約0.5度になります。結果として、太陽と月の見かけの大きさ(視直径)はほとんど同じ大きさになります。

 地球と太陽は上図の物体Aと物体Cと同じような位置関係にあり、太陽と月の視直径は約0.5度で、地球からの見かけの大きさは同じと覚えておくと良いでしょう。

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