木々の葉が黄色や赤色に色付く理由|紅葉の仕組み
紅葉する樹木は
秋が深まる頃、木々の葉が黄色や赤色に色づき、鮮やかな紅葉を楽しむことができます。紅葉とは樹木の葉が落葉の前に色が変わることですが、全ての全ての木が紅葉するわけではありません。紅葉するのはカエデやイチョウなどの落葉樹で、秋が深まると一斉に葉を落とします。一方、マツやスギなどの常葉樹は1年を通して深緑の葉を留めています。落葉樹のように一斉に葉を落とすことはありませんが、古くなった葉は落として、新しい葉に変えていきます。
葉はどうして緑色なのか
植物は光合成によって無機物である二酸化炭素と水からブドウ糖をつくり、それをもとにデンプンやタンパク質など生きていくために必要なエネルギー源や体を作る物質を合成しています。光合成は葉の細胞に含まれている葉緑体で行われます。植物の葉が緑色に見えるのは細胞内に葉緑体がたくさん存在しているからです。葉緑体にはクロロフィル(葉緑素)という色素が含まれています。
葉にはクロロフィル以外にもカロテノイドという黄、橙、赤色を示す色素が含まれています。しかし、光合成を盛んに行っている春や夏はクロロフィルの色素がたくさん存在するため、葉は全体としては緑色に見えます。
次の図はクロロフィルの吸収スペクトルです。クロロフィルは500 nm以下の青色光と600 nm以上の赤色光を吸収し、500 nmから600 nmの緑や黄色の光を吸収せずに反射します。その反射した光が緑色や黄緑色に見えるのです。
どうして紅葉するのか
木々の葉が色づくことをひとくちに紅葉と言いますが、紅葉には葉が赤色に変わる「紅葉」と黄色に変わる「黄葉」があります。落葉樹の葉の色が緑色から赤色や黄色に変わるのは、秋が深まって、気温が低下し、日照時間が短くなると、光合成が行われなくなるためです。光合成が行われなくなると、緑色の色素のクロロフィルが少なくなるため、それ以外の色素の色が現れてきます。
イチョウなどの「黄葉」する葉はクロロフィルの量が少なくなると葉の中に存在していたカロテノイドの色が現れてきます。
一方、カエデなどの「紅葉」する葉は紅葉の時期になると葉と枝の境に「離層」と呼ばれる細胞ができます。この細胞が葉と枝の間の物質の移動を遮断するため、光合成で作られていた糖分が葉の中に留まり、糖分の濃度が上がります。そこに日光が当たると、クロロフィルと糖分が反応してアントシアニンという赤色の色素が生じます。クロロフィルが少なくなり、アントシアニンの量が増えると、葉の表面が赤くなります。
植物がもつ色素はクロロフィル、カロテノイド、アントシアニン以外のものもあります。花がさまざな色を呈するのも色素によるものです。
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