純鉄の製造を求めて|量子力学の幕開け(1)
それは溶鉱炉の温度制御から始まった
「現在の大問題は演説や多数決ではなく、鉄と血でこそ解決される」。これは1862年にプロイセン王国のオットー・フォン・ビスマルク首相が行った熱血演説の言葉です。 この言葉の意味するところは、ドイツ統一を果たす手段は大砲と兵士、 つまり軍事力しかないということです。
1871年、普仏戦争に勝利したプロイセン王国は、フランス北東部のアルザス・ロレーヌ地域を獲得しました。この地域は資源が豊富で、鉄鉱石と石炭を採掘できました。優れた大砲を手に入れるには、高純度の鉄を作ることができる製鉄技術を確立する必要がありました。プロイセン王国はここで製鉄業を興し、鉄の製造に力を入れました。
製鉄は、鉄鉱石を溶鉱炉にいれ、高温で熔融します。高純度の鉄を作るためには、溶鉱炉の温度を正確に管理しなければなりません。しかし、鉄が溶融する数千度の温度を測れる温度計はありません。そこで、職人が溶融した鉄の色を見て、暗赤色だから温度が低い、白っぽいから温度が高いというように、長年の経験から温度を見極めました。
当時、温度によって、物体から出てくる光の色が異なることは知られていましたが、その詳しい関係はよくわかっていませんでした。そこで、溶鉱炉の温度を正確に知るため、物体の温度と光の色の関係注を解明する研究が盛んに行われるようになりました。
【関連記事】
| 固定リンク | 0
「量子力学」カテゴリの記事
- 飛び飛びのエネルギー|量子力学の幕開け(3)(2020.12.04)
- 高温の物体から出る光を調べる|量子力学の幕開け(2)(2020.11.27)
- 純鉄の製造を求めて|量子力学の幕開け(1)(2020.11.26)
- 光は蓄えることができるか(1)ー光は光のままで蓄えることが可能か(2020.04.25)
- ニールス・ボーアの生誕127周年(2012.10.07)
コメント
『雷の正体見たり静電気 雷の仕組み』のページにある、雷がおきる仕組みの雲の図に、間違いがあるのではないでしょうか。雲の上方の+に帯電した粒が「大きい粒」、下方の-に帯電した粒が「小さい粒」とありますが、逆ではないかと思います。どうでしょうか。
投稿: アm | 2021年1月30日 (土) 13時48分
ご指摘ありがとうございます。修正させていただきます。
投稿: photon | 2021年2月 2日 (火) 17時07分