光は蓄えることができるか(4)ー光を蓄える人工物質
1987年に米国のベル通信研究所のヤブロノビッチ博士(現在カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授)は屈折率が異なる物質を周期的に配列した微細な構造体を使えば光を自由に制御することができるという論文を発表しました。
この構造体のことをフォトニック結晶と言います。フォトニック結晶は、私たちの身の回りにある物質の結晶とは異なります。周期的な構造をもつ特殊な微細な物体と考えたほうが理解しやすいでしょう。フォトニック結晶の構造の周期は光の波長の半分程度(可視光線では200 nm~300 nmぐらい)のナノオーダーです。フォトニック結晶は非常にに微細な構造体です。
フォトニック結晶は光の透過・反射・屈折・回折・散乱・干渉といった光の振る舞いを制御する目的で使用することができます。光がフォトニック結晶に入ったときに、光の振る舞いは光の波の波長(振動数)とフォトミック結晶の周期性のある構造との相互作用で決まります。
光を蓄えるという点では、フォトニック結晶中には光が存在できるところと、光が存在できないところがあります。フォトニック結晶の構造を変えてやると、光が集中して存在する部分ができたり、結晶中の光の通り道を制御したりすることができます。
このため、フォトニック結晶を通る光は通常の光の振る舞いと異なります。例えば、屈折率が負になったり、わずかな波長の違いで屈折率が大きく変わったりするなどの従来の物質では起こりえなかった現象を作りだすことができます。
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