ピンホールで像ができる仕組み
次の図のように厚紙に1センチメートルほどの星型の穴を開けて、天井の蛍光灯で厚紙の影を作ると、どのような影ができるでしょうか。穴の部分が明るい星型をした厚紙の影ができるでしょうか。
実際にやってみると、影の穴の部分は星型をしておらず、そこに蛍光管の姿が映し出されます。穴の形が円形でも三角形でも四角形でも、穴の形に関係なく蛍光管の姿が映ります。
もし、蛍光管が円形のタイプのものなら、ドーナツ状の蛍光管の姿が映し出されます。このように映し出された物体の姿を像といいます。この像は鏡の中に見える物体の虚像とは異なり、そこに実際にやってきた光で作られる実像です。
光源や物体の1点から出る光は四方八方に広がって進みます。次の図は物体の1点から出た光がピンホールに入る様子を示したものです。物体の1点から出て広がって進む光のほとんどは遮断されますが、ピンホールを通り抜けることができた光がスクリーンに物体の像を作ります。
ピンホールでできる像は元の物体と上下左右が反転した倒立像となります。これは光が直進するからです。次の図のように物体のABXYから出てピンホールに向かう光は、ピンホールを通過した後、A’B’X’Y’に向かって進みます。つまり、ピンホールで光が交差するため上下左右が反転した像ができるのです。ピンホール現象を利用したカメラが第1章で説明したカメラ・オブスクラ、つまりピンホールカメラです。
ピンホールと同様に鏡でスクリーンに像を作ることもできます。太陽光を鏡で反射させスクリーンに当てたとき、鏡とスクリーンの距離が短いと鏡の形をした明るい光が映るだけですが、距離が長くなると次の写真のように太陽の像が映ります。ピンホールは光を通過させて像を作りますが、鏡は光の進む向きを反転させて像を作ります。
| 固定リンク | 0
「光のおはなし」カテゴリの記事
- 有機ELの仕組み(2021.02.09)
- 白いアジサイ「アナベル」はなぜ白いのか?(2020.06.29)
- レンチキュラーレンズで光学迷彩?(3) ものが消えて見える原理と仕組み(2020.06.16)
- 雷の正体見たり静電気 雷の仕組み(2020.05.16)
「レンズ」カテゴリの記事
- 古代エジプトにレンズは存在していたのか(2021.04.27)
- 屈折率とアッベ数|光学ガラスの原理と仕組み(2)(2021.04.23)
- 光学ガラスとは|光学ガラスの原理と仕組み(1)(2021.04.19)
- 凹レンズの公式の導出-虚像(2020.09.29)
- 光の反射の実験で半円レンズが使われる理由(2020.09.18)
「実験」カテゴリの記事
- 安価なスタンド付き三角プリズム(2020.10.05)
- 光の反射の実験で半円レンズが使われる理由(2020.09.18)
- 光学ガラス製のガラス玉(2020.06.06)
- ニュートンのプリズム分光実験が1666年である根拠(2014.05.06)
- ピンホールで像ができる仕組み(2012.10.26)
「光学機器」カテゴリの記事
- バーコードの原理と仕組み①(2022.10.06)
- 光学ガラスとは|光学ガラスの原理と仕組み(1)(2021.04.19)
- 有機ELの仕組み(2021.02.09)
コメント