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2012年9月 7日 (金)

玉虫色とは何色?

玉虫色とは

 玉虫色とは、文字通り玉虫のような色のことです。タマムシはコウチュウ(甲虫目)タマムシ上科に属する昆虫の総称で、吉丁虫(キッチョウムシ)とも呼ばれることがあります。タマムシは次の映像のような色をした昆虫です。玉虫色とはタマムシの色に由来する言葉です。

タマムシ/構造色/jewel beetle/structural color

タマムシの玉虫色

玉虫色はどんな色?

 タマムシはこのような色をしていますと映像を見せられても、見る方向によって金属光沢のある緑から紫に変化して見え、虹のように色づいても見えるなど、一義的な色彩名を答えられない、なんとも言葉で説明しがたい色だと思います。

広辞苑では玉虫色は次のように説明されていますが、どれもタマムシの色に由来しています。

たまむし‐いろ【玉虫色】
  1. 玉虫の羽のように光線の具合で緑色や紫色に見えたりする染色または織色。世間胸算用(3)「―の羽織は」
  2. 襲(かさね)の色目。表は青、裏は紫。
  3. 見方によっていろいろに受け取られるような、あいまいな表現。「―の調停案」

玉虫色は構造色

 タマムシの体の表面は、薄い膜が何枚も積み重なった多層膜となっています。その多層膜に光が当たると、光は多層膜の中に入り、それぞれの膜で反射する光が干渉を起こします。その干渉した光の色がタマムシの色です。このような仕組みで生じる色を構造色といいます。仕組みは当ブログの「その色、どこから」の「シャボン玉や油膜の色はどこから」で説明しています。

アワビ貝の貝殻の内側が虹色に見えるのも同じ仕組みです。

アワビの貝殻の構造色

なお、構造色を観察するとき、偏光板を通して見ると、色が変化して面白いです。

玉虫色は美しい色

 上述の広辞苑の解説の1はまさにタマムシの色のような色ということです。

 2は襲の色目(かさねのいろめ)とは、女性の平安装束(へいあんしょうぞく)の十二単(じゅうにひとえ)などに使われる色の組み合わせのうち、特に表裏を重ねるもののことです。その中に表が青で、裏が紫という組み合わせがありますが、これを玉虫色と呼びます。なお、ここでの青は、どちらかというと緑色に近い色です。

 3は構造色が光の加減や見る方向によって異なるように見えることから、あいまいな態度などのことを玉虫色と表現します。

 ところで、3の意味で使われる玉虫色は政治などの局面で悪い意味で使われることから、玉虫色は灰色とか黄土色などと思っている人も少なくないようです。確かに、政治の玉虫色が構造色というのは綺麗すぎてなんだか納得いきません。コフキコガネのような色を想像してしまいます(^_^;)

玉虫色は英語では?

 タマムシは英語で「Buprestoidea」といいます。「jewel beetles」と呼ぶ場合もあるようです。これは虫の名前ですから、玉虫色の英語は別な単語になります。

 玉虫色の様子そのものを表す場合は「 iridescence」が良いでしょう。「虹色」「真珠光沢」という意味になります。「タマムシのような色」と訳しても良いと思います。玉虫色と訳すと、曖昧な玉虫色と混乱しそうです。

 あいまいな態度などを表す場合は「ambiguous」が良いでしょう。「2つ以上の意味がある」「あいまいな」「不明瞭な」という意味になります。また「equivocal」は「曖昧な」「両方の意味に取れる」という意味があります。

 「deliberate ambiguity」とすると「意図的に曖昧にする」という意味がありますが、これは答弁などで、しどろもどろになって玉虫色の発現になるのとはちょっと違うように思います。「Policy of deliberate ambiguity」とすると、国家的などの意図的に曖昧にする政策の意味になります。

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