光を物体の前に回り込ませる 透明人間になるおはなし(4)
次の図のように物体の背後からやってくる光を物体の前に回り込ませ、かつ物体からの光が目に届かないようにすると物体を見えなくすることが可能となります。このように光を曲げる素材で物体を包み込むことができれば物体の姿を消し去ることができます。
実は最近になってメタマテリアルという人工物質が開発されました。メタマテリアルは物質といっても食塩や鉄の塊のような物質ではなく、微小な構造単位を繰り返し配列させた人工的な構造物です。ただし、光に対しては均質な物質として振る舞うように工夫されています。
普通の物質は光を次の図の①のように屈折しますが、メタマテリアルは②のように屈折させることができます。メタマテリアルは負の屈折率をもち、光の道筋を自由に制御できる物質としてその利用が注目されています。
もし、メタマテリアルで作った素材で物体を包み込むと、次の図のように光を物体の前に回り込ませることができるので、物体は見えなくなります。こちらの方法の方が、先に紹介した再帰性反射材による方法よりも、透明マントのイメージに近いと思います。
- 透明人間現る 透明人間になるおはなし(1)
- まわりの景色と同化する 透明人間になるおはなし(2)
- 物体の表面に背景を投影する 透明人間になるおはなし(3)
- 光を物体の前に回り込ませる 透明人間になるおはなし(4)
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