加色法によるカラー写真の仕組み 写真の仕組み(5)
光の三原色フィルターで白黒ネガに色を記憶
1861年、イギリスの物理学者マクスウェルはR(Red、赤)、G(Green、緑)、B(Blue、青)の光の三原色を利用したカラー写真の原理を示す実験を行いました。
彼は被写体に色柄のタータンリボンを選び、カメラのレンズにRフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタを交換して取り付けながら、3枚の写真を撮影しました。
R、G、Bのフィルタはそれぞれ赤色、緑色、青色のセロハンのようなものです。Rフィルタは赤色光を透過、Gフィルタは緑色光を透過、Bフィルタは青色光を透過します。それぞれのフィルタを使って写真を撮影すると、感光板はフィルタを透過した色光で感光することになります。
このようにしてできた3枚の感光板は白黒ネガですが、ネガの濃淡はフィルタを透過してきた色光の濃淡に相当します。つまり、被写体からの光をR、G、Bのフィルタで光の三原色に分解することによって、被写体の色を3枚の白黒ネガに記録したのです。
白黒ネガからカラー画像を再現
マクスウェルは上述の方法で作成した3枚のネガから幻灯機用のポジスライドを3枚作りました。そして、それぞれのスライドを3台の幻灯機にかけました。このとき、それぞれの幻灯機には白黒ネガを作成するときに使った色のフィルタを取り付けました。
3台の幻灯機の像をスクリーンに映すとには、それぞれ赤色、緑色、青色の3つのリボンの像が映し出されました。そして、その像をぴったりと重なるように投影すると、スクリーンにリボンのカラー画像が映し出されたのです。
これがマクスウェルが撮影したタータンリボンの現存の写真です。
この方法ではスクリーンにできたカラー画像を写真として残すことはできません。しかしながら、光の三原色のフィルタを用いて被写体の色を記録するというアイデアは初期のカラー写真の原理となりました。この方法は色光の足し算で色を作ることから加色法と呼ばれます。
1903年、フランスのルミエール兄弟はオートクロームという世界で初めて商業的に成功した加色法の写真術を考案しました。これは白黒感光板に光の三原色に染色したデンプンを塗布したものです。この染色した3色のデンプンが赤、緑、青のフィルタの役割を果たしました。
オートクロームの写真を顕微鏡で拡大して見ると、テレビの画面をルーペで拡大して見たときと同じように光の三原色が見えます。
【関連記事】
| 固定リンク | 0
「色彩」カテゴリの記事
- フェラーリの赤色「ロッソ・コルサ」とフェラーリ 365 GTB 4 デイトナ(2024.03.15)
- 高齢者の色がシルバーの由来(2023.09.18)
- 「真っ赤な嘘」「赤の他人」の由来(2023.05.28)
- 水中で色はどのように見えるか?(2023.05.14)
- 太陽と雲と薄明光線(2023.05.11)
「光学機器」カテゴリの記事
- フォーカルプレーンシャッターの仕組み(2024.07.17)
- 一眼レフカメラとミラーレス1眼カメラの違い(2024.07.12)
- バーコードの原理と仕組み①(2022.10.06)
コメント