違う光なのに同じ色に見える 色が見える仕組み(6)
白色光はどんな光
白色光はよく「可視光領域の波長の光をすべて含んだ光」「無色の光」などと説明されます。物理的にはすべての波長の電磁波を同じ強さで含む光と定義されることもあります。しかし、物体の色について考える場合、昼間の太陽光とほぼ同じように物体の色を再現できる光が白色光と言えるでしょう。
そういう意味で太陽光は理想的な白色光ですが、実際には黄色い光をたくさん出しています。白熱電灯も黄色い光をたくさん含む白色光を出しています。三波長式蛍光灯は赤・緑・青の光を混合した白色光を出しています。一般的な白色LEDは、青色の光を蛍光物質に当てることによって黄色い光を発光させ、青色と黄色の光を混合した白色光を出しています。
こうした光は、さまざまな波長の可視光線を均等に含んだ光ではありませんし、含まれる光の波長の成分は光源によって異なります。しかし、物体の色を再現するという点においては、私たちが日常使う電灯が出している光は白色光と呼んで差し支えありません。
違う光なのに同じ色に見える
私たちは可視光線のうち黄色い波長の光を黄色と認識します。また、私たちは赤い波長の光と緑の波長の光を混ぜた光を黄色と認識します。さらに、冒頭で説明したバナナのように、青色系の光を吸収する物体に白色光を当てると、その反射光は黄色に見えます。この3つの光は、物理的には光の成分がまったく異なりますが、私たちは黄色と認識します。このように物理的に異なる光が、人間の眼で見たときに同じ色に見える現象を条件等色と言います。
条件等色が起きるのは、私たちが光や物体の色を赤(R)・緑(G)・青(B)の光を主に感じる3つの錐体細胞で見ているからです。つまり、眼に入る光の成分が違っても、光が視細胞に与える刺激が同じなら、同じ色に見えるのです。ですから、光と色の3原色でさまざまな色を作り出すことができるのです。
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