色とはなんだろう 色が見える仕組み(4)
光源の色と物体の色
私たちが色を見ることができるのは、光源を見るときか、光で照らし出された物体を見るときです。
光源を見ているときは、光源から出た光が直接眼に入りますから、光源から出る光が決まれば、眼で見える色が決まります。例えば、波長660 nmの光を出す光源は赤色に見えます。
一方、物体の色は太陽などの光源から物体に届いた光のうち、物体が吸収せずに反射した光の色です。
透明な物質の色は、物体が吸収せずに透過した光の色に反射光が加わった色になります。
光源が太陽の場合、赤いリンゴは太陽光のうち青緑系の波長の色の光を吸収し、太陽光から青緑系の光を欠いた光を反射します。その反射した光が私たちに赤く見えるのです。赤いリンゴに青緑系の光のみを当てると、反射する光がありませんからリンゴは黒っぽく見えます。
黄色いバナナは太陽光のうち青系の波長の光を吸収し、太陽光から青系の光を欠いた光を反射します。黄色いバナナに青色系の光のみを当てると、黒っぽく見えます。
このように、私たちが見ている物体の色は「光源の光」と「物体が吸収・反射する光」で決まります。赤いリンゴや黄色いバナナは、昼間の太陽光のもとでは赤色や黄色ですが、光源が変われば見える色も変わります。私たちは普段何も気にすることなく「リンゴは赤色」「バナナは黄色」と考えていますが、私たちが考えている物体の色は暗黙の了解で光源が昼間の太陽になっているのです。
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