マイケル・ファラデーによる電磁誘導の発見(2)
ソレノイドと電磁石の発見
アンペールは、あるとき導線をぐるぐる巻きにして電流を流してみました。すると、導線のまわりに、棒磁石のまわりにできる磁界と同じように磁界が生じることを発見しました。彼はこのぐるぐると巻いた導線のことをソレノイドと名付けました。ソレノイドはコイルのことです。
1825年、イギリスのウィリアム・スタージョンは、アンペールが発見したソレノイドの現象について実験していたときに、コイルの中に鉄の棒を入れてみたところ、磁界が強くなる現象を見つけました。
当時、絶縁した導線がなかったために、彼はニスで絶縁した鉄心を使いました。彼は、鉄心の両端の磁界がより強くなることに気がつき、馬蹄型に曲げた鉄心を使い、磁極が同じ側にくるようにしました。この鉄心に導線を18回巻き付けました。
この装置は約200グラムでしたが、コイルに電流を流してみたところ、4キログラムのおもりを持ち上げることができました。彼は、この装置を電磁石と名付けました。これが世界で初めての電磁石の発明となりました。
彼の電磁石はそれほど強いものではありませんでした。彼は、導線ではなく鉄心を絶縁したため、導線の巻き数がおのずと制限されたからです。
その後、アメリカのジョセフ・ヘンリーがスタージョンの電磁石の改良に取り組みました。1829年、彼は鉄心に絹で絶縁した導線を密に巻くことで、非常に強力な電磁石を作りました。
電磁誘導の発見
ファラデーはソレノイドや電磁石が発明された後に、電磁気の研究の仕事を再開しました。デービーがこの世を去ってから2年後の1831年、彼は、次の図のように、環状の鉄心(鉄の輪)に2つのコイルを巻き、一方のコイル(1次コイル:左側)を電池に、もう一方のコイル(2次コイル:右側)を検流計に接続しました。
彼が1次コイルの電池のスイッチをつなぐと、その瞬間に2次コイルに取り付けた検流計の針が触れて振動し、しばらくすると元の位置に戻りました。また、電池のスイッチを切った瞬間にも、検流計の針が振れ、やはり、しばらくすると元の位置に戻りました。これは、通電しないままの状態や、通電したままの状態では、電流は流れないが、通電した瞬間と遮断した瞬間に電流が流れることを意味しています。続いて、彼は中空のコイルの中で磁石を動かすと、コイルに電流が流れることを発見しました。
ファラデーが発見した現象を電磁誘導と言います。エルステッドは、電界を変化させることにより、磁界を変化させることに成功しましたが、ファラデーは磁界を変化させることにより、電界を変化させることに成功したのです。
ファラデーの電磁誘導の発見は世界で初めて発電機の発明でもありました。彼は電気を運動に変化させるモーターを発明し、そして運動を電気に変換する発電機を発明したのです。
こうして、電気と磁気の間に関係があることを突き止めたファラデーが次に取り組んだのは、光と電気の関係を突き止める研究でした。
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