光ファイバーの原理と仕組み|信号を光にのせて届ける
光ファイバーが光を伝える仕組み
光通信に使われる光ファイバーには、光を減衰させることなく遠くまで伝送できるように、非常に透明度の高いガラスやプラスチックが使われています。
光ファイバーは、光が屈折率の違う物質の境界面で全反射するという性質を利用しています。。光ファイバーは屈折率が異なる2つのガラスやプラスチックを使って二重構造になっており、光がファイバの中を反射を繰り返しながら進むようになっています。このため光を弱めることなく遠くまで伝えることができます。
光ファイバーの仕組み
ガラス製光ファイバー
ガラス製の光ファイバーには高純度の石英(水晶)が使われます。普通のガラスは次のように数センチの厚さで光の強さが弱くなってしまいます。厚さが1メートルにもなると真っ暗になり向こう側が見えなくなります。
ガラスの厚さと透明度(左側の厚さ3 cm、右側の厚さ1.5 cm)
一方、高純度の石英は光を弱めることなく何十キロメートル先まで届けることができます。そのため、石英の光ファイバーは長距離用として使われます。しかしながら石英は非常に高価です。また、重くて扱いが面倒で硬くて折れやすいため、加工が難しく自由に曲げることができません。光ファイバー同士ををつなぐにも高度な技術を必要とします。
プラスチック製光ファイバー
光ファイバーに使われる透明なプラスチックは石英ほど透明ではありませんが、普通のガラスより透明度が高く、石英よりずっと安価です。また、軽くて扱いやすく、柔らかくて、折れにくいため、加工しやすく、自由に曲げることができます。さらに、融かすことによって、光ファイバー同士を簡単につなぐことができます。
光ファイバーの材料として広く使われているプラスチックは透明度の高いポリメタクリル酸メチル(PMMA)です。透明度が高いと言ってもPMMA製の光ファイバーは数十メートルしか光を届けることができません。しかし、装置の中、屋内、車内などで使うには十分な透明度です。そのため、プラスチックの光ファイバーは短距離用として使われます。
プラスチック製の光ファイバーの伝送距離を伸ばすには、PMMAよりも透明度の高いプラスチックを使う必要があります。現在、PMMAの分子中の水素を重水素やフッ素に置き換えたプラスチックが開発されています。非常に高価で透明度も石英に及びませがプラスチックの特性を活かすことができるという理由で使われるようになってきました。
光で信号を送る仕組み
単純な光通信は単一波長光通信システムといわれ、ひとつの波長のレーザー光に情報を乗せて一本の光ファイバで伝送します。
最近では、複数の異なる波長のレーザー光にそれぞれ情報を乗せて、光を混合してから一本の光ファイバーに伝送するという波長多重通信システムが主流になっています。こちらは受信するときには、送られてきた光をそれぞれの波長の光に分光して、各波長の光ごとに情報を読み取ります。一本の光ファイバーで、よりたくさんの情報が伝送できるようになっています。これはレーザー光が単一波長の光であることと、それぞれの波長の光を混合しても、分光することによって、波長ごとの光をもと通り取り出すことができるという光の性質をうまく利用したものです。
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