光速は有限か無限か 光速の測定(2) レーマー
■光速が有限であることを証明したレーマー
パリ天文台台長を務めていたイタリアの天文学者ジョバンニ・カッシーニは、木星の衛星や土星の衛星を観測し、天体観測で多大なる功績を残しました。その名高い天文学者のいるパリ天文台にやってきたのがデンマークの天文学者オーレ・レーマーです。
カッシーニ(左)とレーマー(右)
レーマーは木星の衛星イオを観測データを解析しているうちに、イオの食(イオが木星の裏側に隠れる現象)が始まる時刻が季節によって変動する現象に注目しました。地球と木星の距離は次の図のように季節によって変わります。彼はもし光速が無限大ならイオの食の始まる時刻のずれは生じないと考え、1676年に光速は有限であると結論づけました。
■光速を計算したのはホイヘンス
実はこの現象はカッシーニも気がついていましたが、カッシーニは光速は無限大と考えていたため、時刻のずれの原因を突き止めることはできませんでした。カッシーニはレーマーの結論を決して認めなかったようです。
さて、一般にレーマーが求めた光速は秒速約22万キロメートルとされています。実際には、レーマーの目的は光速が有限であることを証明することだったようで、光速の値を求めていません。レーマーの観測結果から、光速の値を求めたのは光の波動説を唱えたクリスティアーン・ホイヘンスです。
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