光と色の解説ビデオ(英語)
YouTubeで光と色について包括的に解説したビデオを見つけました。
解説は英語ですが映像だけでも楽しめます。
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ガリレオ ガリレイ (著)、青木 靖三 (翻訳)
中古本です。これもなかなか入手しずらかったのですが、アマゾンのマーケットプレイスに出品されるようになりました。
天文対話はガリレオの1632年の著書です。天動説を信じるシンプリチオ、地動説を信じるサルビアーティ、そしてその2人の間を取り持つサグレドの3人の対話形式で、話が進んでいきます。科学書には対話形式の本がよくありますが、この本はそうした形式の本の草分け的存在と言えるでしょう。
内容紹介
コペルニクス体系の基礎を解明し、同時に新しい科学方法論を確立した不朽の名著。地動説論証のためにガリレオ(1564-1642)が直面しなければならなかった様々なスコラ学体系の難関・障壁と、それがいかにして突破されたかが如実に示されている。近代科学の黎明を告げる大著であり、科学革命の宣言書である。(全2冊)
内容 「BOOK」
コペルニクス体系の基礎を解明し、同時に新しい科学方法論を確立した不朽の名著。地動説論証のためにガリレイが直面しなければならなかったさまざまなスコラ学体系の難関・障壁と、それがいかにして突破されたかが如実に示されている。近代科学の黎明を告げる大著であり、科学革命の宣言書である。
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1880年代の後半、電磁波の研究をしていたドイツの物理学者ハインリヒ・ヘルツは、紫外線を電磁波の発信装置に当てると、電磁波が強くなる現象に気がつきました。この現象がきっかけとなり、彼は1887年に金属に紫外線を当てると、放電が起こりやすくなることを発見しました。その翌年の1888年、ドイツの物理学者ウィルヘルム・ハルバックスは帯電した金属に紫外線を当てると、帯電が失われることを発見しました。その後、これらの現象は、ドイツの物理学者フィリップ・レーナルトによって詳しく調べられました。そして、彼は金属に紫外線を当てると、金属から電子が飛び出してくることを見い出しました。
彼らが発見した現象を光電効果といいます。光電効果は金属に紫外線などの短い波長の光を当てると、金属内の電子が外へ飛び出す現象です。このとき、電子は光からエネルギーをもらい金属から飛び出してくるのですが、電子が金属の外へ飛び出すには、ある大きさのエネルギーが必要になります。
レナールトは光電効果について詳しく調べ、次のような興味深い現象を見つけました。
これらの現象は、それまで主流であった光の波動説では説明することができませんでした。
波動説の立場では、いかなる波長の光でも、明るさを強くするか、あるいは十分に時間をかければ、電子はエネルギーを蓄積して、金属の外へ飛び出してこなければなりません。ところが、現実は予想に反して1や2の現象を示しました。
また、波動説では、電子が飛び出す波長の光でも、光の明るさを強くすれば、光全体としてのエネルギーは大きくなるはずですから、飛び出す電子のエネルギーも大きくなるはずです。しかし、結果は3~5のようになりました。
これらの現象は光を波とすると説明がつかないのですが、その一方で波の性質を示す光に、多くの物理学者が頭を悩ませました。
光電効果の不思議な現象を正しく説明したのは、相対性理論で有名なアインシュタインです。彼は1905年に「光は振動数(波長)に比例したエネルギーをもつ粒子(光量子または光子)である」という光量子仮説を発表し、光の正体を解き明かしました。
彼は光が弾丸のような粒子だったら、光がぶつかったとたんに電子が飛び出るという1の現象が成り立つと考えました。また、彼は、光は振動数に応じたエネルギーをもつ粒子であるため、光の明るさを強くしても光子1個あたりのエネルギーは変わらないと考え、2、3、4の現象を説明しました。さらに光の明るさが強くなるということは、光子の数が増えることであると考え、5の現象を説明したのです。
アインシュタインが、光が粒子の性質と波の性質をあわせ持った光子であると見事に結論づけたことによって、光の波動説と粒子説の論争に終止符が打たれることになったのです。
アインシュタインは光量子仮説によって1921年にノーベル賞を受賞しています。 次の写真は彼のノーベル賞受賞の記念切手です。光電効果の仕組みが図で示されています。
下部の黒い横棒が金属の表面で、ここに様々な波長の光が当たっていることが、虹の色で示されています。そして、●が金属表面から飛び出してくる電子で、電子のエネルギーの大きさは矢印の長さで示されています。
赤色の光は波長が長くて(振動数が小さくて)エネルギーが低く、青色の光は波長が短くて(振動数が大きくて)エネルギー高いのですから、エネルギーの低い赤色の光では電子は飛び出してこない、青い色の方にいくほど、飛び出してくる電子のエネルギーが大きくなるということを示しています。
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科学技術振興機構が提供している日本の科学館の検索サービスです。分野別で検索したり、Google Mapで検索したり、最新のイベント情報から検索が可能です。なかなか便利ですし、どんな科学館があるのか探すのも楽しめます。
日本の科学館めぐり
日本全国約600館の科学館情報を集めたホームページ
http://museum-dir.jst.go.jp/
「日本の科学館めぐり」は、全国の科学館をはじめ科学技術に関する教育普及活動をおこなっている施設のうち、掲載の許可をいただいた施設の情報を集めたWebサイトです。現在、約660の施設をご紹介しています。たくさんの科学館の中から興味のあるところをみつけて、「日本の科学館めぐり」を楽しんでください。
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暗いところでは透明で、明るいところでは色がつくメガネを調光サングラスといいます。調光サングラスに使われているレンズを調光レンズといいますが、調光レンズはまわりの明るさによって色の濃さが変化するプラスチックやガラスでできたレンズです。ガラス製にしろ、プラスチック製にしろ、調光レンズの色の濃さが変わるのは紫外線の働きによるものですが、その仕組みは異なります。
ガラス製調光レンズは1964年に米国のガラス・セラミックス製品メーカーのコーニング社によって開発されました。コーニング社は1879年にトーマス・エジソンが発明した電球に用いるガラス容器を開発し、1915年に理科の実験器具用ガラスでおなじみの耐熱ガラスパイレックスを開発した会社です。
ガラス製調光レンズには銀と塩素などのハロゲン元素が加えられています。調光レンズの素材となるガラスを製造するときに、ガラスに酸化銀とハロゲン化アルカリ(アルカリ金属のハロゲン化物)を加えて熔融します。これを再加熱すると酸化銀とハロゲン化アルカリが反応し、ガラス内に均一にハロゲン化銀ができます。ハロゲン化銀は無色透明のため、レンズに色はつきません。ところが、レンズに紫外線が当たると、ハロゲン化銀が紫外線のエネルギーで銀とハロゲンに分解します。銀は可視光線を通さないのでレンズ全体が黒っぽくなります。
レンズの一部を覆って光を当てると、次の写真のように光を当てた部分だけが黒くなります。
紫外線を遮断すると、銀とハロゲンがガラス内で再び結合してハロゲン化銀となり、レンズは無色透明に戻ります。なお、ハロゲン化アルカリはガラスに混ぜられているため、特に度の強い近視用や遠視用の凹レンズや凸レンズでは、中心部と周辺部で厚さが異なるため色の濃さに差が生じます。
このように光のエネルギーによって起こる化学反応を光化学反応といいます。ガラス製調光レンズは、ハロゲン化銀が無色から黒色になり、そして無色に戻る光化学反応を利用しています。この光化学反応の速度は速くありません。ガラス製調光レンズに紫外線が当たって着色するまでには数分以上要します。また、退色してもとの無色透明になるまでに数分から数十分ほどかかります。また、この化学反応は温度の影響を受けます。温度が高いとハロゲン化銀の分解と、銀とハロゲンの結合の反応速度が速くなるため、冬よりも夏の方が色がついたり消えたりする時間が短くなります。
世界で初めて販売されたプラスチック製調光レンズは1982年に米国のアメリカン・オプティカル社が販売したPhotoliteという製品です。しかし、世界で最も有名なものは1991年に米国のトランジション・オプティカル社が開発、販売したTransitionsという製品です。
プラスチック製調光レンズにはハロゲン化アルカリは使われていませんが、やはり紫外線を当てると色が変化する感光物質が使われています。例えば、スピロオキサジンという感光物質は無色ですが、紫外線を当てるとメトロシアニンと呼ばれる構造に変化し、青色となります。紫外線を遮断すると、無色のスピロオキサジンに戻ります。
初期のプラスチック製調光レンズはプラスチック素材に感光物質が混ぜられていました。そのため、ガラス製調光レンズと同様に、特に度の強いレンズでは色の濃さにムラが出ました。現在は、レンズの表面に感光物質をコーティングする方法で作られています。この方法ではレンズの中心部と周辺部で色の濃度差は生じませんが、レンズの表面に深い傷がついたり、コーティングがはがれたりすると、その部分が発色しなくなります。
プラスチック製調光レンズの光化学反応は感光物質の構造変化によるもので、その反応速度は迅速です。紫外線を数十秒ほど当てると着色し、紫外線を遮断すると数分で退色します。また、この光化学反応は温度の影響を受けます。温度が低いほど速く着色し、退色に要する時間が長くなります。逆に温度が高いと、着色に要する時間が長くなり、退色に要する時間が短くなります。
ガラス製にしろ、プラスチック製にしろ調光レンズは紫外線で色が変わるのですから、日差しが強くても紫外線が届かないところでは着色しません。例えば、天気の良い日に自動車を運転する場合、サングラスを使うことがあると思いますが、このとき調光サングラスはあまり役に立たないかもしれません。最近の自動車の窓ガラスは紫外線を通さないガラスでできているからです。
調光レンズのことをフォトクロミックレンズともいいます。フォトクロミックは英語で「光で発色する」という意味です。そして、調光レンズのように光の作用によって物質の色が可逆的に変化する現象をフォトクロミズムといいます。このフォトクロミズムという現象は1867年にJ.フリッチェが報告しています。彼はテトラセン(ナフタセン)という淡黄色の芳香族化合物が光を照射すると無色になり、加熱するともとの色に戻ることを論文に報告しています。
その後、多くの分子がフォトクロミズムを起こすことがわかり、光で発色する物質の研究とその利用が進んでいます。
フォトクロミズムを生じる物質は、光で分子の構造を可逆的に変化させることができるため、光による分子のスイッチや、光ディスクなどの記憶媒体の利用の研究が盛んに行われています。
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カメラ・オブスキュラの時代 (ちくま学芸文庫)
中川 邦昭 著
先日、カメラ・オブスクラ年代記 (朝日選書)を紹介しましたが、この本もカメラの歴史について詳しく書かれた一冊です。
この本も既に中古品しか入手できません。ただし、年代記の方は高い値がついてしまっていますが、こちらはリーズナブルの価格がついていますので、興味のある人は購入しておくと良いと思います。
内容「BOOK」
ピンホールを通して外界の風景を捉える装置、「写真鏡(カメラ・オブスキュラ)」。カメラの前身になったといわれるこの機器を通すと、人間の視覚が捉える映像を、客観的に写しとることができる。ダ・ヴィンチやフェルメールなど西洋の画家たちはこの写真鏡を用いて下絵をトレースし、日本では洋風画の先駆者らが取り入れた。カメラマンでもある著者が、人間の目に映った映像がどのように絵画作品になっていったのか、写真鏡をとおして東西美術史を検討しなおす。
文庫: 289ページ
出版社: 筑摩書房 (2001/08)
ISBN-10: 4480086552
ISBN-13: 978-4480086556
発売日: 2001/08
商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.2 cm
目次
序章 「映像」とは
第1章 「写真鏡」とは何か―西欧の写真鏡の通史
第2章 「写真鏡」の渡来
第3章 遠近法による視覚の変革―洋風画の胎動
第4章 遠近法の浸透―蘭学の隆盛と洋風画・銅版画の成立
第5章 日常化した遠近法―洋風画の消化
第6章 写真の発明―写真鏡から写真機へ
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カメラ・オブスクラ年代記 (朝日選書)
John H. Hammond (原著)、川島 昭夫 (翻訳)
カメラやレンズについて、いろいろと調べていると、カメラの歴史を知りたくなります。そのようなときに、是非一冊読んでおきたい本です。
自分はこの本を7年ぐらい前に定価(1,470円)で買ったのですが、現在は入手が困難になっています。アマゾンでも中古本で4,300円もします。
中古本屋さんで見かけたときには是非買って置くと良いでしょう。
内容
孔から洩れる外光が、室内に戸外の風景を映し出す。この原理を利用して、動く映像を楽しんだり絵を描くのに使われたカメラ・オブスクラは、写真の発明以降も見世物や遊びの世界で現役である。雑誌記事や広告を丹念にたどった年代記。
内容「BOOK」
フェルメールの風景画はこれで描かれた?画家たちのデッサンを助け、測量や製図に利用され、写真の発明にも深く関わった、知られざる光学器械の歴史。
内容「MARC」
画家達のデッサンを助け、測量や製図に利用され、写真の発明にも深く関わったにも関わらず、歴史に埋もれた知られざる光学器械。カメラ・オブスクラの発明と進化の道筋をたどる。
単行本: 285ページ
出版社: 朝日新聞社 (2000/05)
ISBN-10: 4022597518
ISBN-13: 978-4022597519
発売日: 2000/05
商品の寸法: 18.6 x 12.8 x 1.6 cm
目次
第1章 初期
第2章 13世紀から14世紀
第3章 15世紀
第4章 16世紀
第5章 17世紀
第6章 芸術におけるカメラ・オブスクラ
第7章 18世紀
第8章 19世紀
第9章 20世紀
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一般的に、平面鏡でできる像と言えば、虚像を意味することが多いのですが、平面鏡でも実像を作ることはできます。
太陽光を鏡で壁や天井に向けて反射させるとき、四角い鏡を使うと、天井や壁には四角い光が映ります。ところが、鏡から天井や壁までの距離が長くなると、映る光の形は四角ではなく円形になります。
次の写真は2つの電球がついた電灯です。この電灯の光を四角形の手持ち鏡で反射して、壁や天井に光を映してみました。
鏡から近くの壁に光を反射させてみたところ、壁に映る光は四角形となりました。
次に天井に映してみました。すると、ぼんやりとした四角形の2つの光が映りました。
鏡からさらに遠いところにある壁に光を映してみました。それぞれの光の形は円形をしています。
実はこの2つの円形の光は電灯の2つの電球の実像です。
なぜ平面鏡で実像ができるかというと、平面鏡がピンホールと同じ働きをするからです。
ピンホールは光を通過させてスクリーンに実像を作りますが、鏡は光を反射させてスクリーンに実像を作ります。
鏡の大きさはピンホールの大きさに相当します。鏡が大きいときには、実像は明るくなりますが、ぼやけます。鏡が小さいときは、はっきりとした実像ができますが、暗くなります。
大きな鏡でも、きれいな実像ができる例はあります。どのように映るかは、物体、鏡、スクリーンの位置関係で決まります。
次の写真は部分日食のときの太陽を比較的大きな鏡で遠くの壁に映した写真です。駆けた太陽の形をした実像が映っています。
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光のエネルギーの計算フォーム
光は電磁波の仲間ですから、光のエネルギーは電磁波のエネルギーになります。
電磁波のエネルギー E [ J ] は次の式で計算することができます。
E = hν = hc/λ [ J ]
h | : プランク定数 6.62607 ×10-34 [ Js ] |
ν | : 振動数(=c/λ )[Hz] |
c | : 真空中の光速 2.99792458×108 [ m/s ] |
λ | : 真空中の電磁波の波長 [m] |
電磁波のエネルギーはよく電子ボルト(エレクトロンボルト) [ eV ] で扱われます。
1 [ eV ]というのは、1 [ V ]で加速された電子1つのエネルギーです。
1 [ eV ] = 1.60218×10-19 [ J ]
ですから、
h = 4.13566×10-15 [ eVs ]
よって、
E = (4.13566×10-15)×(2.99792458×108)/λ [ eV ]
E = 1.23984 × 10-6 /λ [ eV ]
光の波長は通常は nm で扱われます。
1 [ nm ] = 10-9 [ m ]
ですから、
E = 1.23984 × 103 /λ [ eV ]
となります。
結果として、波長から光のエネルギーに変換する計算式は次の通りです。
E = 1240 /λ [ eV ] |
で光のエネルギーを求めることができます。また、次の式で光の振動数ν [Hz]を求めることができます。
ν = c/λ [ Hz ] |
可視光線のエネルギーと振動数は次の表のようになります。
波長 λ[ nm ] | エネルギーE [ eV ] |
振動数[Hz](ν=c/λ) |
---|---|---|
200 | 6.20 | 14.99×1014 |
250 | 4.96 | 11.99×1014 |
300 | 4.13 | 9.99×1014 |
350 | 3.54 | 8.57×1014 |
400 | 3.10 | 7.49×1014 |
450 | 2.76 | 6.66×1014 |
500 | 2.48 | 6.00×1014 |
550 | 2.25 | 5.45×1014 |
600 | 2.07 | 5.00×1014 |
650 | 1.91 | 4.61×1014 |
700 | 1.77 | 4.28×1014 |
光のエネルギーから波長に変換する計算式は次の通りです。
λ = 1240 /E [ nm ] |
光のエネルギーから振動数に変換する計算式は次の通りです。
ν = c・E /1240 [ Hz ] |
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■地球上で光速の測定
地球上の測定可能な距離を使って初めて光速を測定しようと試みたのはフランスのアルマン・フィゾーとレオン・フーコーです。
アルマン・フィゾー(左)とレオン・フーコー(右)
2人は共同でフランソワ・アラゴが考案した回転鏡を使って光速を測定する装置を開発していましたが、やがて意見の対立から共同研究を中止し、それぞれ独自に研究を進めるようになりました。
1849年、フィゾーは次の図のような光源と鏡の間に歯車を置いた装置で光速を測定しました。フィゾーとフーコーが共同開発していた装置は歯車の部分が回転鏡でしたが、フィゾーは回転鏡を使わなかったのです。
フィゾーはこの装置の歯車までを自宅に置き、鏡を自宅から約8.6キロメートル離れた丘の上に置いて、この間で光を往復させました。歯車を回転すると、光は歯車の歯で遮られたり、歯と歯の隙間を通り抜けたりします。フィゾーは歯車の回転数と歯数から、光が往復する時間を測定し、光速を秒速約31万3千キロメートルと求めました。
1850年、フーコーは回転鏡を使った装置で光速を測定することに成功しました。この装置は約18メートルの距離で光速を測定することができました。フーコーはこの装置の改良を進め、1862年に光速を秒速約29万8千キロメートルと求めました。
また、この装置は光速を短い距離で測定できるため、水中の光速を測定することもできました。
当時、光が粒子なのか、波動なのか議論がありました。粒子説では空気中から水中に入る光が水面で折れ曲がるのは、光の粒子が力を受けて速くなるからだと考えられていました。一方、波動説では空気中から水中に入る光の速さは遅くなると考えれていました。
当時、すでに光が回折や干渉することが知られていて、波動説がかなり有力になっていましたが、フランソワ・アラゴは水中の光速の測定結果が光の波動説を決定づけるものになるだろうと考えていました。
フーコーは、水中の光速が空気中の光速より遅くなることを確かめ、光は波動であることが証明されたのです。
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■年周視差と光行差
イギリスのグリニッジ天文台台長を務めた天文学者ジェームス・ブラッドリーは恒星の年周視差を観測しているうちに、光行差を発見し、光速を求めました。
年周視差は、地球の公転により、季節によって、地球から遠くにある恒星より、近くにある恒星の方が、見える位置がより大きくずれる現象で、地球と恒星と太陽をなす角度のことです。
年周視差を求めるには、恒星の位置を測定し、半年後に再び恒星の位置を測定します。
恒星の年周視差の値は非常に小さいため、その測定は困難を極めるものでした。たとえば、16世紀には、デンマークの天文学者ティコ・ブラーエが望遠鏡で年周視差が認められないことから、コペルニクスの地動説を否定し、天動説を支持しました。
年周視差の測定に初めて成功したのはドイツの天文学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセルです。彼は1838年にはくちょう座61番星の年周視差を0.314秒と求めました。
ブラッドリーが年周視差について調べていたのは、ベッセルが年収視差を求めた100年以上前のことです。彼は恒星の年周収差を調べているうちに、恒星の見かけの位置が地球の公転によってずれる現象を発見しました。当初、彼はこの現象こそが年周視差と考えましたが、恒星の位置が予想よりも大きくずれることに気がつきました。
彼はこの現象の理解に悩みましたが、1728年秋にテムズ河のヨット遊びに参加したときに、あることに気がつきます。彼の乗っていたヨットのマストには風向き計がついていました。彼は、ヨットが進む向きを変えると、風向き計の指し示す向きが変わることに気がつきました。つまり、ヨットが進む向きを変えると、風向きが変わるように見えたのです。彼がこの現象について水夫に聞くと、水夫は、風向きは変わっておらず、風向き計の指し示す方向が変わるのは、ヨットが向きを変えたからであると答えました。
彼はこの現象から、恒星の位置がずれるのは、光速と地球の公転速度によるものであることを直ちに理解しました。観測者が移動すると、恒星の位置が移動方向にずれて見えることを発見したのです。この現象を光行差といいます。
光行差は、垂直に降る雨の中を自動車に乗って移動したとき、自動車内から雨がどのように見えるかという現象と同じです。自動車が止まっているとき、雨は真上から降ってきますが、自動車が走り出すと、自動車内の人からは、雨が斜め前方から降ってきたように見えます。このとき、雨がどのぐらい傾いて見えるかは、自動車の速さによって変わります。
これを地球と恒星の関係にすると、地球が自動車、恒星からやってくる光が雨、自動車内の人が観測者になります。地球は動いていますから、恒星からやってくる光は、地球にいる人にとっては、地球の速さ分だけ、斜め前方からやってくるように見えます。
ブラッドリーはりゅう座のガンマ星の観測データから、恒星のずれる角度を求め、その値から、太陽から地球まで光がやってくるのに要する時間は8分12秒と計算しました。
ブラッドリーは実際には光速は求めていません。それは、地球の公転速度や公転半径が正確にわかっていなかったからと考えられています。
太陽から地球まで光がやってくるのに要する時間は8分19秒です。この値とブラッドリーが求めた8分12秒から、ブラッドリーが求めた光速を単純に求めてみると、
(480+19)/(480+12)×2.998×108=3.04×108 m/sec
と考えることができるでしょう。
■補足 ブラッドリーの計算と疑問点
ブラッドリーの観測結果では、りゅう座のガンマ星がずれる角度θは20.2秒でした。
天球の半径rを1とした円を考え、円周角20.2秒の弧の長さを求めてみましょう。
1秒は1/3600度ですから、20.2秒は20.2/3600度になります。また、1度は円周の1/360に相当しますから、20.2秒は円周の20.2/3600×1/360になります。
円周の長さは2πrですから、半径r=1で、円周角20.2秒の円弧は、
2π×20.2/3600 × 1/360 = 9.79324×10-5
となります。先ほどの図で光速をc、公転速度をvとすると、次の図のようになります。
上図より、
c:v=r:20.2秒の円弧の長さ
の関係がありますから、
c:v=1:9.79324×10-5
c=v/9.79324×10-5 ①式
となります。
太陽から地球までの距離をLとすると、太陽から地球まで光がやってくるのに要する時間tは、
t=L/c
になります。よって、
t=L/(v/9.79324×10-5 )
t=1/9.79324×10-5×L/v ②式
となります。
一方、地球の公転周期Tは、公転距離/公転速度ですから
T=2πL/v
となります。これをLでとくと、
L=vT/2π ③式
③式を②式に代入すると、
t=1/9.79324×10-5×T/2π
となります。
T=365日×24日×60分
を代入すると、
t=8.19分=8分11.5秒=8分12秒
となります。
このことは下記の論文の646ページあたりから書いてあり、653ページの上から7行目に結論として、太陽から地球まで8分12秒かかると書いてあります。
A Letter from the Reverend Mr.James Bradley Savilian Professor of Astronomy
http://atomlaser.anu.edu.au/bradley1727_28philtrans_v35.pdf
書籍やインターネットで調べてみると、ブラッドリーの測定した光速は301,000 km/sと書いてあるものが多く見つかります。
地球の公転速度は29.8キロメートルですから、この値を①式に代入すると、
c = 29.8/9.79324×10-5 = 304291 km/s = 3.04 ×10-8 m/s
となります。これは、上で求めた
(480+19)/(480+12)×2.998×108=3.04×108 m/s
の値と一致します。
なお、レーマーの実験結果に基づいてホイヘンスが光速を求めたとき、ホイヘンスは地球の公転の直径を29億9120万キロメートルとしています。地球から太陽までの距離をこの値の半分とし、かかった時間が8分12秒(492秒)とすると、
c = 2991200000*0.5/492 = 30398 km/s = 3.04 ×10-8 m/s
となります。
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■宇宙の誕生
この宇宙はおよそ137億年前に誕生したと考えられています。生まれたばかりの宇宙は超高温・超高密度の極めて小さな空間でしたが、すぐに膨張を始めました。この宇宙の初期状態のことをビッグバンと言います。初期の宇宙では、物理法則も現在私たちが知っているものとは異なっていたと考えられています。
宇宙が誕生すると光子を含む素粒子が生まれました。そして、クオークと呼ばれる素粒子が集まり、陽子や中性子ができました。この陽子と中性子が集まって水素やヘリウムの原子核ができました。
宇宙空間は極めて高温であり、大量の電子が宇宙空間を自由に飛び回っていました。光子は電子に強く散乱され、宇宙空間をまっすぐに進むことができない状態でした。
別の言い方をすると光子が宇宙空間を透過することができない状態、つまり宇宙は不透明だったのです。このときの光子の振る舞いは私たちがよく知っている光の振る舞いとはだいぶ違っていたと考えられます。
■光が生まれる
宇宙が誕生して約38万年後、宇宙の温度が低下すると、電子が原子核に捉えられ原子となりました。これによって光子が宇宙空間をまっすぐに進むことができるようになりました。つまり、光が宇宙空間を長距離進むことができるようになり、宇宙が透明になったのです。これを宇宙の晴れ上がりと言います。私たちが日常体験の中でよく知っている光は宇宙の晴れ上がりのときに生まれたと考えて良いでしょう。
宇宙の晴れ上がりで自由になった光子は現在も観測することができます。この光を宇宙マイクロ波背景放射(宇宙背景放射)と言います。宇宙マイクロ波背景放射は宇宙の全方向から等しくやってくる電磁波です。
この電磁波のスペクトルは2.725 Kの黒体放射のスペクトルによく一致しており、この光を調べることによって、宇宙の誕生や生い立ちを調べたり、推測したりすることができます。宇宙マイクロ波背景放射は私たちが出合うことができるもっとも古い光です。
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新科学対話 上 (岩波文庫 青 906-3)
新科学対話 下 (岩波文庫 青 906-4)
なかなか入手が難しかったのですが、だいぶマーケットプレイスにも出品されるようになりました。
新しい科学者、古い哲学者および市民階級を代表する3人のイタリア市民が、機械学や運動の理論について論じあう形式をかりて、ガリレイはアリストテレスの自然哲学等を批判する。近代科学の基礎概念がどのようにして生まれ、どのように発展してゆくかが生きいきと描かれている科学史上の貴重な著作です。
ガリレイは1937年に失明しています。この著作は大気圧の研究で有名な弟子のエヴァンジェリスタ・トリチェリが筆記を行いました。 地動説による宗教裁判のため、ガリレイの著作はイタリアで出版することはできなかったのですが、この著作はオランダで出版されました。ガリレイの原稿が勝手に持ち出されたということにして出版したようです。
【上巻】
文庫: 209ページ
出版社: 岩波書店 (1995/10)
ISBN-10: 4003390636
ISBN-13: 978-4003390634
発売日: 1995/10
商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
【下巻】
文庫: 224ページ
出版社: 岩波書店 (1995/10)
ISBN-10: 4003390644
ISBN-13: 978-4003390641
発売日: 1995/10
商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
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■光速が有限であることを証明したレーマー
パリ天文台台長を務めていたイタリアの天文学者ジョバンニ・カッシーニは、木星の衛星や土星の衛星を観測し、天体観測で多大なる功績を残しました。その名高い天文学者のいるパリ天文台にやってきたのがデンマークの天文学者オーレ・レーマーです。
カッシーニ(左)とレーマー(右)
レーマーは木星の衛星イオを観測データを解析しているうちに、イオの食(イオが木星の裏側に隠れる現象)が始まる時刻が季節によって変動する現象に注目しました。地球と木星の距離は次の図のように季節によって変わります。彼はもし光速が無限大ならイオの食の始まる時刻のずれは生じないと考え、1676年に光速は有限であると結論づけました。
■光速を計算したのはホイヘンス
実はこの現象はカッシーニも気がついていましたが、カッシーニは光速は無限大と考えていたため、時刻のずれの原因を突き止めることはできませんでした。カッシーニはレーマーの結論を決して認めなかったようです。
さて、一般にレーマーが求めた光速は秒速約22万キロメートルとされています。実際には、レーマーの目的は光速が有限であることを証明することだったようで、光速の値を求めていません。レーマーの観測結果から、光速の値を求めたのは光の波動説を唱えたクリスティアーン・ホイヘンスです。
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■光速は無限と考えられていた
真っ暗な部屋で電灯をつけると、一瞬で光が部屋に満ちあふれて明るくなります。また、懐中電灯で離れたところを照らすと、照らした場所が一瞬で明るくなります。このように、私たちは日常経験から光が一瞬で伝わることを知っています。
光が一瞬にして伝わることは、古代の人たちも知っていました。古代ギリシャの時代には、光速が有限であると主張した哲学者もいましたが、多くの科学者たちは光速は無限大と考えていたようです。
近世においても、光の屈折について考察し、虹ができる基本的な仕組みを解き明かしたフランスのルネ・デカルトや、天体の運動を考察し「ケプラーの法則」を導いたドイツのヨハネス・ケプラーも、光は一瞬にして伝わると考えていました。
■光速は無限にまったをかけたガリレオ
イタリアのガリレオ・ガリレイは空に稲妻が輝くとき、稲光の始点と終点を確認できることから、光速は無限大ではないと考えました。稲光の速さは放電の速さですから、この現象から光速が有限か無限かはわからないのですが、彼は鋭い観察力で光速は有限であると考え、世界で初めて光速を測定する方法を考えました。
ガリレイは1638年に出版した「新科学対話」で、光速が有限であるという考えを示し、その測定方法を提案しています。
この著書の中で、彼は遠くの大砲が発射したとき、閃光一瞬で目に届くのに対し、音が遅れて耳に届く現象に着目しています。そして、この日常よく経験する現象からわかることは、音が光より時間を要して伝わるということだけであり、光が空間を一瞬にして伝わるのか、非常に速いにしてもある時間を要して伝わるのかはわからないと記しています。
ガリレイは光速を測定する実験として、次の図のように遠く離れた2つの山の頂にそれぞれ人を立たせ、一方が光を送ったら、他方がすぐに光を送り返すという方法を示しました。光速が有限であるならば、2人の間の距離を長くしていくと、光が往復する時間も長くなるので、光速を求めることができると考えたのです。
しかし、ガリレイは、光があまりにも速すぎて、とてもこの方法では光速を測定することはできなかったと結論づけています。
人間の感覚に頼ったガリレイの方法は原始的でしたが、光速を測定するためには、光を往復させて距離を長くする必要があるという点では的を射ていたと言えるでしょう。
【参考】
ふしぎな思考実験の世界~科学の大発見の秘密を解きあかす
第3章 光の正体を探る -光の粒子説vs 波動説-
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ニュートンの今月号は光や色に興味のある人にお勧めです。
眼でものが見えるのはどうしてか?という疑問から始まり、眼の機能や仕組みを解説しています。眼病の原因から治療まで、また、最先端の人工網膜についても紹介しています。
それからオリオン座の1等星ベテルギウスの超新星爆発に関する記事があります。ベテルギウスが爆発すると、満月ぐらいの明るさとなり、しばらくすると空からその姿を消します。その結果、オリオン座は星がひとつ欠けることになります。
超新星爆発が起こると、ニュートリノがたくさん飛んできます。また、X線などの放射線もやってきます。人類が超新星爆発の観測を経験するのは400年振りです。400年前と異なり、現代においては科学・技術の進歩により、多くの観測ができるでしょう。
出版社: ニュートンプレス; 月刊版 (2011/12/26)
ASIN: B006ITKX9K
発売日: 2011/12/26
商品の寸法: 27 x 20.2 x 0.8 cm
目次
◎FOCUS/Astronomy
木星の衛星,エウロパの氷の中に湖?
◎FOCUS/Astronomy
超モンスター銀河を発見か!?
◎FOCUS/Geoscience
宇宙から津波の監視が可能に?
◎FOCUS/Brain Science
意識は脳内のどこで生まれる?
◎SUPER VISION
火星へ出発したキュリオシティ
◎Newton第2特集
宇宙に果てはあるか?
気になる! 知りたい! 現代物理学の解答とは
◎Cosmic Wonder
地球を飛びだす日に向けて
地球上の多様な環境を利用し,有人宇宙探査に向けた訓練が行われている
◎Nature View
世界の巨樹を巡る
バリエーション豊かな樹木の姿
◎Nature View
こんなにちがう雌雄の姿
オスとメスの差から性の進化をさぐる
◎Topic
よごれと掃除のサイエンス
家中のよごれの正体と,その除き方を徹底紹介
◎Topic
爆発せまるベテルギウス
爆発後は昼でもみえる!
4年後にはオリオン座が欠ける
◎シリーズ. 乗り物の最新テクノロジー
第3回(終) 世界に誇る日本の新幹線
はやぶさは最高時速320キロへ!
快適な乗り心地のひみつとは?
◎テクノロジー・イラストレイティッド
不正な解錠を防ぐ ロータリーシリンダー錠
◎パレオントグラフィ
水中世界を制した脊椎動物
魚類 ─5億3000万年の軌跡─
◎身近な“?”の科学
お肉
◎STAR-WATCHING
ぎょしゃ座
◎特報 第1弾 ヒッグス粒子
物理学者たちが追い求めてきた「ヒッグス粒子」に肉迫!
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知っておきたい物理の疑問55―物理の基本知識を問う「疑問中の疑問」 (ブルーバックス)
日本物理学会編
現在は中古本しか入手できませんが、身の回りの自然現象などについて、比較的簡単な疑問から専門家でも回答に窮する疑問をまとめた本です。
内容説明
高校生から寄せられた物理の疑問には物理の世界を理解する法則やエッセンスが溢れている。空が青く、夕日が赤いのはなぜ? といった、だれもが抱く疑問から、宇宙がはじまる前には何があったの? といった、専門家でもまだわからない疑問まで結論にいたる方法に重きをおいて解説した物理の基本知識の集大成。ノーベル賞物理学者 益川敏英先生推薦 「物理の面白さが凝縮された一冊だ」
内容(「BOOK」データベースより)
答えられそうで答えに窮する極上の疑問集。高校生から寄せられた物理の疑問には物理の世界を理解する法則やエッセンスが溢れている。空が青く、夕日が赤いのはなぜ?といった、だれもが抱く疑問から、宇宙がはじまる前には何があったの?といった、専門家でもまだわからない疑問まで結論にいたる方法に重きをおいて解説した物理の基本知識の集大成。
新書: 208ページ
出版社: 講談社 (2011/12/21)
言語 日本語
ISBN-10: 406257750X
ISBN-13: 978-4062577502
発売日: 2011/12/21
商品の寸法: 17.6 x 11.6 x 1.6 cm
目次
第1章 身近な疑問
第2章 考えるとやはり不思議
第3章 地球から宇宙空間
第4章 太陽からブラックホールまで
第5章 宇宙は時空
●鉛筆で紙に字が書けるのはなぜ(質問1)
●方位磁石が北を指すのはなぜ(質問9)
●ダイヤモンドが金属より硬いのはなぜ(質問20)
●水に入るとき光が曲がるのはなぜ(質問25)
●光を止めることはできるのですか(質問35)
●光速を超える粒子は存在するのですか(コラム5)
●ブラックホールは何でできているのですか(質問46)
●ホワイトホールって何ですか(質問49)
●宇宙には果てがあるのですか(質問53)
●宇宙は何からできているのですか(質問54)
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■茶碗の中の箸が折れ曲がって見えるのはなぜ?
茶碗の中に箸を入れて、水をそそぐと、写真のように箸が水面で折れ曲がって見えます。もちろん、箸そのものが曲がってしまったわけではありません。箸が折れ曲がって見えるのは光の屈折によるものですが、その仕組みについて考えてみましょう。
次の図はカップに箸をまっすぐに立てて、カップに水を入れた場合の様子を示したものです。カップの底にある箸の先P点から出た光のうち、水面上のO点に向かって直進する光を考えてみましょう。もし、光がO点から空気中に出たあと、点線のようにそのまま直進してQ点に届けば、箸はまっすぐ見えるはずです。しかし、光はO点で折れ曲がり、実線のように進んでQ’点に届きます。私たちは光がO点で折れ曲がったことを判断することができませんから、箸の先が光が曲がったO点の延長線OP’上にあるように見えてしまいます。そのため、箸が短くなったように見えるのです。
■茶碗の底のコインが浮き上がって見えるのはなぜ?
次の写真(A)のようにカップの底にコインを置き、カップのふちでコインがほどんど見えなくなる位置に目線を合わせます。このカップに水を入れると、(B)のようにカップの底のコインが見えるようになります。
カップに水が入っていない状態では、次の図(A)のように、コインの中心P点から出た光は矢印のように進むため、カップの縁に遮られて眼に届きません。そのため、コインの中心を見ることができません。ところが、カップに水が入った状態では、、(B)のように、コインから出た光が水面上のO点で折れ曲がるため眼に届くようになります。このとき、眼から光線を逆に辿った直線OP’上にコインが浮き上がって見えます。カップの底から出る光も水面で屈折するため、コインだけでなくカップの底ごと浮き上がって見えます。
■光は物質の境界面で屈折する
光が空気中から水中に進むとき、光は空気と水の境界面(水面)で、反射したり、水の中に入ったりします。水面に垂直に入った光はそのまま直進しますが、斜めに入った光は、次の図(A)のように進む向きを変えます。この現象を光の屈折といい、光が屈折する角度を屈折角といいます。光が水中から空気中に進むときも、(B)のように空気と水の境界面で屈折します。このように、光は同じ物質中を進むときは直進し、ある物質から異なる物質に入るときに境界面で屈折します。
水中の魚をモリで突こうとして失敗したことはないでしょうか。光の屈折のため、魚は水上から見える位置よりも、深いところにいます。そのため、魚に狙いを定めたつもりでもモリが外れてしまうのです。また、川や池で遊んでいるときに底が見えるから安心と思っても、思ったより深いことがありますから注意しましょう。
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スプーンのへこんでいる内側をのぞくと上下が逆さまになった顔が映ります。よく見ると左右も逆さまに映っています。ためしに、スプーンに上下逆さまに顔を映したまま、右目をウィンクしてみましょう。普通の平らな鏡(平面鏡)では鏡の右側に映っている目がウィンクしますが、スプーンの内側では左側に映っている目がウィンクします。どうして、スプーンの内側をのぞくと顔が上下左右が逆さまに映るのでしょうか。
1枚の平面鏡に自分の顔を映すと、頭は鏡の上側に、あごは鏡の下側に、左目は鏡の左側に、右目は鏡の右側に映ります。それでは、次の図のように2枚の平面鏡を直角につなげた合わせ鏡をのぞきこんでみましょう。
図の状態で合わせ鏡をのぞくと鏡の中に映る頭とあごの位置はそのままですが、左目は鏡の右側に、右目は鏡の左側に映り、左右が逆に映ります。これは顔の左側が鏡の右側に、顔の右側が鏡の左側に映るからです。この合わせ鏡を90度向きを変えて顔に対して上下に折り曲げるようにすると今度は上下が逆さまになった顔が映ります。
スプーンの内側はへこんでいるため、合わせ鏡と同じような働きをします。ただし、スプーンの内側の表面は上下方向にも左右方向にも曲がっています。そのため、スプーンの内側をのぞきこむと、頭はスプーンの下側に、あごはスプーンの上側に映り、左目はスプーンの右側に、右目はスプーンの左側に映ります。
表面が球面をした鏡を球面鏡といいます。表面が(A)のようにへこんでいる球面鏡を凹面鏡、(B)のようにふくらんでいる球面鏡を凸面鏡といいます。
凹面鏡に平行に当たる光は(A)のように1点に集まるように反射します。この点を凹面鏡の焦点といいます。このように凹面鏡には光を集める働きがあります。凸レンズで日光を集めて黒い紙を燃やす実験がありますが、凹面鏡を使っても紙を燃やすことができます。
凹面鏡で物体が上下左右逆さまに映るのは、目と物体を置く位置が凹面鏡の焦点の外側(図Aで焦点の左側)にあるときです。このとき、目を置く位置が焦点の内側(図Aで焦点の右側)にあるときには、物体を置く位置に関わらず、上下左右は逆さまになりません。
スプーンの内側に顔を映し、まゆげと目が映るように、顔をスプーンに近づけていきましょう。最初は顔が上下反対に映っていますが、顔が焦点の内側に入ると、まゆげが上になった目が映ります。また、凹面鏡に物体を映すとき、目を置く位置が焦点の外側にあっても、物体が焦点の内側にあるときは、物体は上下左右逆さまに映りません。
凸面鏡に平行に入射する光は(B)のように広がるように反射します。凸面鏡は物体を小さく映す働きがあり、平面鏡より広い範囲を映すことができます。目をどこに置いても、物体をどこに置いても、凹面鏡のように物体が上下左右逆さまに映ることはありません。
凸面鏡は自動車のバックミラーや見通しの悪い交差点やカーブなどで使われています。反射の法則を利用して、こちらから見えないところを鏡で見えるようするのと同時に、より幅広い範囲を映すために凸面鏡が使われているのです。
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