光速は有限か無限か 光速の測定(1) ガリレオ・ガリレイ
■光速は無限と考えられていた
真っ暗な部屋で電灯をつけると、一瞬で光が部屋に満ちあふれて明るくなります。また、懐中電灯で離れたところを照らすと、照らした場所が一瞬で明るくなります。このように、私たちは日常経験から光が一瞬で伝わることを知っています。
光が一瞬にして伝わることは、古代の人たちも知っていました。古代ギリシャの時代には、光速が有限であると主張した哲学者もいましたが、多くの科学者たちは光速は無限大と考えていたようです。
近世においても、光の屈折について考察し、虹ができる基本的な仕組みを解き明かしたフランスのルネ・デカルトや、天体の運動を考察し「ケプラーの法則」を導いたドイツのヨハネス・ケプラーも、光は一瞬にして伝わると考えていました。
■光速は無限にまったをかけたガリレオ
イタリアのガリレオ・ガリレイは空に稲妻が輝くとき、稲光の始点と終点を確認できることから、光速は無限大ではないと考えました。稲光の速さは放電の速さですから、この現象から光速が有限か無限かはわからないのですが、彼は鋭い観察力で光速は有限であると考え、世界で初めて光速を測定する方法を考えました。
ガリレイは1638年に出版した「新科学対話」で、光速が有限であるという考えを示し、その測定方法を提案しています。
この著書の中で、彼は遠くの大砲が発射したとき、閃光一瞬で目に届くのに対し、音が遅れて耳に届く現象に着目しています。そして、この日常よく経験する現象からわかることは、音が光より時間を要して伝わるということだけであり、光が空間を一瞬にして伝わるのか、非常に速いにしてもある時間を要して伝わるのかはわからないと記しています。
ガリレイは光速を測定する実験として、次の図のように遠く離れた2つの山の頂にそれぞれ人を立たせ、一方が光を送ったら、他方がすぐに光を送り返すという方法を示しました。光速が有限であるならば、2人の間の距離を長くしていくと、光が往復する時間も長くなるので、光速を求めることができると考えたのです。
しかし、ガリレイは、光があまりにも速すぎて、とてもこの方法では光速を測定することはできなかったと結論づけています。
人間の感覚に頼ったガリレイの方法は原始的でしたが、光速を測定するためには、光を往復させて距離を長くする必要があるという点では的を射ていたと言えるでしょう。
【参考】
ふしぎな思考実験の世界~科学の大発見の秘密を解きあかす
第3章 光の正体を探る -光の粒子説vs 波動説-
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