雲の色は何色?
雲の色はいろいろ
晴れた日の真っ白な雲、曇り空の灰色の雲、今にも大粒の雨が降り出しそうな不気味なほど真っ黒な雲、朝焼け空や夕焼け空のオレンジ色の雲など、空を流れる雲を見ていると、雲の色は実に変化に富んでいることがわかります。
雲の正体はなにか?
空に浮かぶ雲の正体は細かい水滴や氷の粒です。これらの水滴や氷の粒は、もともとは地上や海上で蒸発した水です。空気は温度が高いほど水蒸気をたくさん含むことができます。暖かい空気は軽いので上空へ昇っていきますが、上空は気圧が低いので膨張します。このとき、空気は外部から熱を与えられない状態で膨張します。空気自身が持つ熱が膨張に使われるので、空気の温度が下がります。空気に含まれる水蒸気は冷やされると気体のままでは存在できなくなり、凝結して細かい水滴や氷の粒になります。これが雲の正体です。
白色や黒色の雲があるのはどうしてか?
光は水滴や氷の粒に当たると散乱します。例えば、細かな水滴でできた湯気や細かく砕いた氷粒に、太陽や電灯の光などの白色光が当たると白く見えます。これは白色光が水滴や氷の粒で散乱し、四方八方に乱反射するからです。
雲が白く見えるのも光が雲の中の水滴や氷で散乱するからです。私たちが普段見ている雲の見え方は、次の図のように2通りあります。雲に当たった光はまず雲で散乱します。その散乱した光は、そのまま雲の中を透過したり、雲の外側に反射したりして私たちの眼に届きます。
まず、雲の中を透過してくる光について考えてみましょう。この場合、雲の中を透過して目に届く光の量によって、雲の色が白く見えたり、黒ずんで見えたりします。空の高いところにできる絹雲などの薄い雲は光を良く通すので白く見えます。一方、雨雲は水や氷の粒が大きく、また雲も分厚いので、雲を透過する光の量が少なくなり黒ずんで見えます。空全体を覆う雲がどんよりとした灰色や黒色になるのは雲を透過してくる光が少ないからです。次に雲の表面で反射してくる光について考えてみましょう。雲の色は、雲に当たる光の量で決まります。例えば、晴れた日は雲に十分に光が当たるため雲は白く見えます。また、晴れた日でも雲が黒ずんで見えることがあります。これは別の雲で太陽光が遮られて雲に当たる光の量が少なくなるためです。
このように、雲に当たる光の量が少なくなると、雲を透過したり、反射したりする光の量も少なくなるため、雲の色が黒ずんで見えます。雲の色は雲の厚さだけでなく、太陽の方向、他の雲との位置関係によって変わります。そのため、雲の色は明るさの異なる白色と黒色が組み合わさった複雑な色合いとなるのです。
朝焼け空や夕焼け空の雲の色
朝焼け空や夕焼け空の雲は赤く染まります。日の出や日の入りは太陽の高度が低いため、太陽光が大気中を通る距離が昼間より長くなります。すると、太陽光に含まれる青色系の光が大気中で散乱し、赤色系の光が青色系の光よりもたくさん届くようになります。
そのため、朝焼けや夕焼けの空に浮かぶ雲は赤く染まって見えるのです。また、空に青空が残っている時間帯では、次の写真のように、赤く染まった雲に空の青色がかぶって幻想的な色合いになります。
虹のように色づいた雲
次の写真のように雲が虹のように色づいて見えることがあります。これは彩雲(さいうん)と呼ばれる現象で、雲の中の水滴によって光が回折・干渉することによって、雲が虹のように色づいて見えます。CD-ROMでできる虹と同じ原理で色づきます。
次の写真は彩雲とよく似ていますが、これは環水平(かんすいへい)アークと呼ばれる現象で、太陽と地表の間にできる水平の虹です。大気中の氷粒がプリズムと同じような働きをして、太陽光を屈折・分散させるために空に虹が生じます。彩雲と似ていますが別の現象です。
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