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2010年4月30日 (金)

水は水色

海や湖を描くとき、海面や湖面を水色に塗ることが多いと思います。また、コップに入った水を水色に塗ったイラストをたくさん見つけることができるでしょう。

水色は色の定義からいうと、アクアか、アクアブルーに該当する色です。

さて、コップ一杯の実際の水は無色透明で、とても水色には見えません。しかしながら、水の色は水色という先入観から、水色に塗られたコップ一杯の水のイラストを見ても、違和感がない人が多いのではないでしょうか。

以前、ハワイに遊びにいったときに、潜水艦にのったことがあります。潜水艦でワイキキの沖の水中を見学するツァーがあります。

潜水艦の窓からのぞいた水中は水色の世界でした。

潜水艦の窓から入ってくる光も青色で、キャビンの中も水色に染まりました。

このように青くなる様子は水族館でも体験することができます。

やっぱり水は水色なのではないでしょうか。

コップ1杯の水は無色透明に見えますが、水も太陽光をわずかに吸収しています。そして、水は太陽光のうち赤色系の光を他の色の光より多く吸収する性質があります。

この性質は分光光度計という分析装置を使うと調べることができます。分光光度計を用いると、物質がどの波長の光をよく吸収しているのかがわかります。一般に、横軸に光の波長、縦軸に光の強度(吸収や反射の割合)をプロットしたグラフをスペクトルといいます。次の図は分光光度計で測定した水の吸収スペクトルです。

水が可視光線の長波長側の赤色系の光を吸収していることがわかります。

4

R. M. Pope and E. S. Fry, "Absorption spectrum (380-700nm) of pure water. II. Integrating cavity measurements," Appl.Opt., 36, 8710-8723,(1997).

水が吸収する光はほんのわずかなのでコップ1杯の水では色の変化は分かりません。しかし、水の厚さが数mにもなると、赤色系の光がずいぶん失われ、残った青色系の光によって、水が水色に見えるようになります。水が水色なのは水の本来の性質なのです。

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