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2009年11月11日 (水)

大気差の仕組み|見えている月がそこにはない

 夜空に輝く月が水平線や地平線に沈んでいくとき、月は本当はすでに地平線に沈んでいると言われたら、あなたは信じることができるでしょうか。

 夜空に輝く星の光は地球の大気で屈折しています。この屈折の度合いは天頂ではゼロですが、星の高さが低くなればなるほど大きくなります。そのため高度の低い星は実際に星がある位置よりも浮き上がって見えています。この現象を大気差といいます。

大気差の仕組み
大気差の仕組み

 空気の屈折率は真空と同様に1とすることが多いのですが、非常に厚い大気の層ではわずかな屈折率の差は無視することができず、光は屈折してしまうのです。

 このずれは水平線(地平線)近くの星では角度にして約0.6度もあります。24時間で360度移動すると考えると、1度あたり移動するのにかかる時間は24×60/360 = 4 minです。

 見かけの月の直径は角度にすると約0.5度ですから、月は最下部が地平線にかかってから約2分で地平に沈むことになります。

 月と地球の距離は約38万4千キロメートルで、月で反射した光は約1.28秒で地球にやってきます。ですから、月がまさに地平線に沈むとき、月の実体はすでに地平線に沈んでいることになります。

 これは太陽でも同じことです。しかし、太陽から地球までの距離が約1億5千万キロメートルで光がやってくるのに8分19秒かかりますので、地平線に沈んでいく太陽の場合は大気差を持ち出すまでもなく既に沈んでいることになります。

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