蜃気楼の原理と仕組み|海上に現れる蛤の化け物
中国の古い言い伝えに、巨大なハマグリの化け物が妖気を吐いて楼閣を作るという話があります。
また、15~17世紀頃の大航海時代には、航海中に海上に突然化け物が現れたという目撃例がたくさんありました。
これらは空気と光のいたずらでできる蜃気楼という現象です。蜃気楼は、水平線付近の遠くの景色が上下に伸びて見えたり、空中に浮いて見えたりする現象です。
蜃気楼が起きるときには、温度の異なる空気の層が上下にできています。
次の図のように、海面近くの空気が冷たく、上方の空気が暖かいときには、光は冷たい空気と暖かい空気との境目であたかも反射したようにやってくるので、遠くにある建物が上に伸びたように見えます。この蜃気楼を上位蜃気楼といいます。
逆に次の図のように海面近くの空気が暖かく、その上方の空気が冷たいときには、水平線付近に見える建物が海面に映ったように見えます。本来、建物の下方が見えるはずの位置に、建物の上方や空が映って見えるため、建物が下に伸びたり、空中に浮いたりしているように見えるのです。このような蜃気楼を下位蜃気楼といいます。
下の写真は2004年の暮れに北海道白老町の海岸で撮影した下位蜃気楼です。実体の船の下に、ひっくり返った船の像を確認することができます。
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