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2009年11月15日 (日)

大空のキャンパスに描かれた光と色の芸術 虹の仕組み(1)

虹の仕組みの解説は別館「光と色と THE NEXT」でリニューアルしました。


 雨上がりの空にかかる虹はとても綺麗です。虹は自然が作り出す光と色の芸術といえるでしょう。大空のキャンパスにあの美しい色の帯はどのように描かれるのでしょうか。虹ができる仕組みについて考えてみましょう。

虹

プリズムでできる光の色の帯

 イギリスの物理学者アイザック・ニュートンは1672年に「New Theory About Light and Colour(光と色についての新理論)※」という論文をまとめました。ニュートンはこの論文の中で、太陽光をプリズムに通すと、赤から紫まで連続して変化する光の色の帯が現れる現象について述べています。ニュートンは太陽光には色がついていないが、太陽の光は7色の光が混ざったものであることを示しました。

※論文によると、ニュートンがこの実験を行ったのは1666年です(ニュートンのプリズム分光実験が1666年である根拠)。ニュートンは、その5年後の1672年にこの実験結果をこの論文で報告しています。また、1704年に「Optics(光学)」という本を出版し、改めてこの実験についてまとめています。

Prism

 この現象を光の分散といい、光の色の帯のことをスペクトルといいます。プリズムで光が分散するのは、光がプリズムで屈折するからです。光の色は、光の波長(振動数)の違いであり、波長が短い方から長い方に従って紫から赤へと変化します。プリズムで光を分散させたとき、もっとも大きく屈折するのは波長の短い紫色の光です。

 プリズムで取り出したそれ以上分散させることができない単一の波長の光を単色光といいます。太陽や電灯の光はたくさんの単色光が集まった白色光です。プリズムでできるスペクトルが、私たち人間が見ることができる光であり、この範囲の光を可視光線と言います。白色光をプリズムで分散させた光を凸レンズで集めると、もとの白色光になります。このことについては、このブログの光があるところに色があるで解説しましたので、興味のある方はごらんください。

虹ができるしくみ

 雨が降ったあとの空には、たくさんの小さな水滴が浮かんでいます。このたくさんの小さな水滴に太陽の光が当たると、水滴がプリズムと同じような働きをして虹を作ります。もちろん、球形の水滴の中での光の道筋は三角形のプリズムとは異なりますし、虹ができる仕組みはプリズムで光の色の帯ができる仕組みよりも複雑です。

 太陽の光が水滴に当たると、光は水滴の表面で屈折して水滴の中に入っていきます。その光は、水滴の内側で反射し、再び水滴の表面で屈折して外へ出てきます。この外へ出てくる光は、光の色によって特定の角度で強くなります。この角度が、赤い色の光では約42度、紫色の光では約40度になります。これが普段、私たちが虹と呼んでいる明るい光の帯ができる仕組みです。 この虹を主虹といいます。

 また、主虹の上に、もう一つぼんやりとした虹が見えることがあります。この虹を副虹といいますが、副虹は水滴の中で2回反射して出てくる光によってできる虹です。赤い色の光は約51度、紫色の光は約53度になります。

 理論的には水滴の中で光が3回以上反射する副虹もできるのですが、反射回数が多くなると光が弱くなるため、それらの虹は見ることができません。

主虹と副虹における水滴中の光の屈折

これを虹と並べて描いてみると、次の図ようになります。

虹が見えるのは太陽と反対側の空に見えます。つまり太陽を背にしたときに見えるわけです。

また、水滴の形が歪んでいる場合、たくさんの水滴から光が違う方向に出てきて散乱するため、虹はできません。

主虹と副虹 虹の仕組み

 主虹と副虹の間の空や景色は、主虹の下側や、副虹の上側に比べて暗くなります。この部分をアレキサンダーの暗帯といいます。なぜ、この部分が暗くなるかというと、水滴から出て来る光が、虹が見える方向にやってこないからです。

 次の写真は主虹(下側)と副虹(上側)を撮影したものです。主虹と副虹の色の順番が逆転していることがわかります。また、主虹と副虹の間の空が暗くなっていることがわかります。

 主虹は副虹は暗いため見る機会は少ないかもしれませんが、虹がでたときには副虹が見えていないかよく確認してみましょう。

主虹と副虹の写真

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