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ココログピックアップで紹介されました(2020年9月9日)

ココログピックアップ

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2021年1月20日 (水)

太陽と月が同じ大きさに見える理由

 太陽の平均直径は1,392,000 km、月の平均直径は3,474.8 kmです。直径で比較すると太陽は月の400倍です。太陽の直径は月が400個も並ぶ大きさです。ところが、地球から太陽と月を見たときには、ほとんど同じ大きさに見えます。次の写真は太陽と月を同じ倍率で撮影して、見かけの大きさを比較したものです。

太陽と月の見かけの大きさの比較
太陽と月の見かけの大きさの比較

 地球から見たときに太陽と月が同じ大きさに見えるのは「地球から太陽の距離」と「地球から月までの距離」に関係しています。景色を眺めているとき、遠いところにあるものが小さく見えることは、日常でも体験していることと思います。

遠くにある柱は小さく見える
同じ大きさの柱でも遠くにあるものは小さく見える

 次の図は近くの物体Aと遠くの物体Bを見たときの様子を示したもです。これら2つの物体は同じ大きさですが、それぞれの物体までの距離が異なるため、物体を出た光が眼に入ってくる角度が異なります。そのため、網膜にできる像が、それぞれA'とB'となり、結果として、遠いところにある物体Bは近いところにある物体Aよりも小さく見えるのです。また、物体Cは物体Aよりも大きいのですが、物体Aと同じ大きさに見えます。

物体の大きさの捉え方
物体の大きさの捉え方

 このように、私たちは物体の大きさを光がやってくる角度として捉えます。従って、この角度で物体の見かけの大きさを表すことができます。この角度は次の図のようにえると求めることができます。

物体の見かけの大きさの求め方
物体の見かけの大きさの求め方

 物体の大きさy、物体までの距離L、物体が見える角度θの間には次の関係があります。

tanθ = y/L または y = L・tanθ

 さて、冒頭で述べたように太陽の平均直径は1,392,000 km、月の平均直径は3,474.8 kmですが、地球と太陽の平均距離は149,597,870 km、 地球と月の平均距離は384,400km です。これを上式に当てはめると、

太陽の場合は、

tanθ = 1,392,200/149,597,870
θ = 0.53

月の場合は、

tanθ = 3,474.8/384,400
θ = 0.52

となり、どちらの角度も約0.5度になります。結果として、太陽と月の見かけの大きさ(視直径)はほとんど同じ大きさになります。

 地球と太陽は上図の物体Aと物体Cと同じような位置関係にあり、太陽と月の視直径は約0.5度で、地球からの見かけの大きさは同じと覚えておくと良いでしょう。

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2020年12月14日 (月)

木々の葉が黄色や赤色に色付く理由|紅葉の仕組み

紅葉する樹木は

 秋が深まる頃、木々の葉が黄色や赤色に色づき、鮮やかな紅葉を楽しむことができます。紅葉とは樹木の葉が落葉の前に色が変わることですが、全ての全ての木が紅葉するわけではありません。紅葉するのはカエデやイチョウなどの落葉樹で、秋が深まると一斉に葉を落とします。一方、マツやスギなどの常葉樹は1年を通して深緑の葉を留めています。落葉樹のように一斉に葉を落とすことはありませんが、古くなった葉は落として、新しい葉に変えていきます。

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葉はどうして緑色なのか

 植物は光合成によって無機物である二酸化炭素と水からブドウ糖をつくり、それをもとにデンプンやタンパク質など生きていくために必要なエネルギー源や体を作る物質を合成しています。光合成は葉の細胞に含まれている葉緑体で行われます。植物の葉が緑色に見えるのは細胞内に葉緑体がたくさん存在しているからです。葉緑体にはクロロフィル(葉緑素)という色素が含まれています。

光合成の仕組み
光合成の仕組み

 葉にはクロロフィル以外にもカロテノイドという黄、橙、赤色を示す色素が含まれています。しかし、光合成を盛んに行っている春や夏はクロロフィルの色素がたくさん存在するため、葉は全体としては緑色に見えます。

 次の図はクロロフィルの吸収スペクトルです。クロロフィルは500 nm以下の青色光と600 nm以上の赤色光を吸収し、500 nmから600 nmの緑や黄色の光を吸収せずに反射します。その反射した光が緑色や黄緑色に見えるのです。

クロロフィルの吸収スペクトル
クロロフィルの吸収スペクトル

どうして紅葉するのか

 木々の葉が色づくことをひとくちに紅葉と言いますが、紅葉には葉が赤色に変わる「紅葉」と黄色に変わる「黄葉」があります。落葉樹の葉の色が緑色から赤色や黄色に変わるのは、秋が深まって、気温が低下し、日照時間が短くなると、光合成が行われなくなるためです。光合成が行われなくなると、緑色の色素のクロロフィルが少なくなるため、それ以外の色素の色が現れてきます。

 イチョウなどの「黄葉」する葉はクロロフィルの量が少なくなると葉の中に存在していたカロテノイドの色が現れてきます。

 一方、カエデなどの「紅葉」する葉は紅葉の時期になると葉と枝の境に「離層」と呼ばれる細胞ができます。この細胞が葉と枝の間の物質の移動を遮断するため、光合成で作られていた糖分が葉の中に留まり、糖分の濃度が上がります。そこに日光が当たると、クロロフィルと糖分が反応してアントシアニンという赤色の色素が生じます。クロロフィルが少なくなり、アントシアニンの量が増えると、葉の表面が赤くなります。

カエデとイチョウ
カエデとイチョウ

 植物がもつ色素はクロロフィル、カロテノイド、アントシアニン以外のものもあります。花がさまざな色を呈するのも色素によるものです。

花の色と色素
花の色と色素

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2020年12月 4日 (金)

飛び飛びのエネルギー|量子力学の幕開け(3)

プランクのエネルギー量子仮説

 ドイツの物理学者マックス・プランクはレイリー・ジーンズの式とヴィーンの式を組み合わせると黒体放射スペクトルをより正確に再現できると考え、試行錯誤の末、1900年にプランクの法則を導き出しました。

 プランクは光のエネルギーは波のように連続的に変化するのではなく、1個、2個と数えられる粒子のように飛び飛びに変化すると考えました。そして、ある振動数の光が担うことのできるエネルギーは、光の振動数にある定数をかけた値を最小単位として、その整数倍になるというエネルギー量子仮説を提唱しました。この定数は後にプランク定数と呼ばれるようになります。プランク定数に振動数をかけたhνをエネルギー量子と呼びます。こうしてプランクは黒体放射スペクトルに極大値が現れる理由を説明しました。

プランクの量子仮説
プランクの量子仮説

 エネルギー量子仮説によると、光はhν単位でしかエネルギーをやり取りできません。ここで、図6に示すように、ある大きさのエネルギーEをさまざまな振動数の光に分配することを考えてみましょう。振動数が大きくなると、hν単位も大きくなりますから、振動数の小さい光の方がより多くのhν単位でEを担うことになります。Eの分配が進んで、残りのエネルギーがhνより小さくなると、光はエネルギーを担えなくなります。また、hνがEより大きい光は、最初からエネルギーを担うことができません。このように、さまざまな振動数の光にEを分配しようとすると、ある振動数から分配できなくなるのです。また、Eの大きさによって、効率的にエネルギーを担える振動数が異なります。そのため、黒体放射スペクトルに極大値が現れることになるのです。

光のエネルギーの分配
光のエネルギーの分配


 当時の物理学-古典物理学-によれば、光の波のエネルギーは連続的に変化するという考え方が常識でした。ですから、エネルギーが飛び飛びに変化するプランクのエネルギー量子仮説は古典物理学の常識を根底から覆す発見だったのです。プランクが見い出した仮説は後年アインシュタインやニールス・ボーアなどによって確立されていく量子力学の基礎となりました。この発見が量子論の幕開けとされ、プランクは量子論の父と呼ばれました。しかし、プランク自身は古典物理学を信じて疑うことはなく、自ら導いた仮説に直ちに納得していませんでした。古典物理学とエネルギー量子仮説を結びつける何らかの理論が見つかるだろうと信じて研究を進めたのです。

マックス・プランク
マックス・プランク

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2020年11月27日 (金)

高温の物体から出る光を調べる|量子力学の幕開け(2)

熱い鉄箱から出る光の不思議な現象

 高温の物体から出る光を調べるためには、色のついた物体を使うことはできません。なぜなら、色のついた物体は、その色に対応する光を放射するからです。そこで、黒い物体が放射する光、黒体放射が研究の対象となりました。ところが、さまざまな波長の光を放射したり、吸収したりする理想的な黒体は実在しません。

 プロセインの物理学者グスタフ・キルヒホッフは、内部が空洞の鉄箱に小さな穴を開けた装置を考案しました。この穴から光を入れると、光は内部で反射を繰り返し、やがて吸収されてしまいます。逆に、この箱を熱すると、光が穴から出てきます。彼は、この鉄箱が理想的な黒体放射をすると考え、箱を高温にしたときに穴から出てくる光のエネルギーを調べました。この空洞からの熱の放射を空洞放射といいます。

キルヒホッフと空洞放射
キルヒホッフ(左)と空洞放射(右)

 この実験で得られた黒体放射スペクトルは次の図のようになりました。どの温度でも、光のエネルギーは、光の振動数が小さいうちは、振動数の増加に伴い大きくなりますが、ある振動数を超えると小さくなります。光のエネルギーが極大となる振動数は、温度が高いほど大きくなります。このスペクトルの形状は当時の物理学者たちの予想に反していました。彼らは、波である光は振動数が大きいほど大きなエネルギーをもつことができると考えていました。理論的な予想では、スペクトルは右肩あがりになるはずで、光のエネルギーがある振動数で急に小さくなるはずがないと考えました。

黒体放射のスペクトル
黒体放射のスペクトル

 イギリスの物理学者レイリー卿ことジョン・ウィリアム・ストラットとジェームズ・ジーンズ、ドイツの物理学者ヴィルヘルム・ヴィーンはそれぞれ黒体放射スペクトルの近似式を導くことを試み始めました。

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レイリー卿(左)とジーンズ(中)とヴィーン(右)

 彼らはそれぞれ次の図に示すスペクトルを求める数式を作りました。しかし、レイリー・ジーンズの式は振動数が大きくなると実測値と合わず、ヴィーンの式は振動数が小さくなると実測値と合わなかったのです。

レイリー・ジーンズの式とヴィーンの式の近似値と実測値
レイリー・ジーンズの式とヴィーンの式の近似値と実測値

 レイリー・ジーンズの式とヴィーンの式を参考に近似値と実測値がよく合致する式を導いたのはドイツの物理学者マックス・プランクでした。

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2020年11月26日 (木)

純鉄の製造を求めて|量子力学の幕開け(1)

それは溶鉱炉の温度制御から始まった

「現在の大問題は演説や多数決ではなく、鉄と血でこそ解決される」。これは1862年にプロイセン王国のオットー・フォン・ビスマルク首相が行った熱血演説の言葉です。 この言葉の意味するところは、ドイツ統一を果たす手段は大砲と兵士、 つまり軍事力しかないということです。

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オットー・フォン・ビスマルク

 1871年、普仏戦争に勝利したプロイセン王国は、フランス北東部のアルザス・ロレーヌ地域を獲得しました。この地域は資源が豊富で、鉄鉱石と石炭を採掘できました。優れた大砲を手に入れるには、高純度の鉄を作ることができる製鉄技術を確立する必要がありました。プロイセン王国はここで製鉄業を興し、鉄の製造に力を入れました。

アルザス・ロレーヌ地域
アルザス・ロレーヌ地域

 製鉄は、鉄鉱石を溶鉱炉にいれ、高温で熔融します。高純度の鉄を作るためには、溶鉱炉の温度を正確に管理しなければなりません。しかし、鉄が溶融する数千度の温度を測れる温度計はありません。そこで、職人が溶融した鉄の色を見て、暗赤色だから温度が低い、白っぽいから温度が高いというように、長年の経験から温度を見極めました。

溶融鉄
溶融鉄

 当時、温度によって、物体から出てくる光の色が異なることは知られていましたが、その詳しい関係はよくわかっていませんでした。そこで、溶鉱炉の温度を正確に知るため、物体の温度と光の色の関係を解明する研究が盛んに行われるようになりました。


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