リニアモーターカーはどうやって走る?
リニアモーターカーとは
新幹線の「のぞみ号」の速度はおよそ時速270km。東京と新大阪の間なら2時間30分で着いてしまうスピードです。しかし、この新幹線が開通する2年前に、新幹線よりもっと速いスピードが出る超高速鉄道の実現をめざした研究がスタートしていました。その鉄道がリニアモーターカーです。普通の電車は鉄のレールの上を鉄の車輪を転がして走るため、速度が早くなると車輪が滑ってスピードを上げることができません。そこでリニアモーターカーでは車体を浮かせて走らせることが考えられました。そして、その基本的なアイデアとなったのが磁石の性質だったのです。
どんな磁石で車体を浮きあがせるのか
磁石はN極とS極を近づけるとくっつき、同じ極を近づけると反発します。リニアモーターカーの研究者たちは、この磁石の性質を使えば車体を持ち上げて走らせることことができると考えました。しかし、リニアモーターカーは車体を軽くする工夫はされていますが、普通の磁石で持ち上げることができる重さではありません。そのため電磁石を用いることが考えられました。 電磁石は鉄の棒に銅線を巻いたものです。この巻き線(コイル)に電流を流すとコイルが磁石になります。電流の向きを変えると電磁石のN極とS極が変わります。磁石の強さは電流を大きくするほど、コイルの巻き数を増やすほど大きくなります。ところが電熱線に電流を流すと発熱するように、コイルに大きな電流を流すと発熱してしまい、車体を浮かせるような強い磁石を得ることができません。そこで、大きな電流を流しても発熱しないコイルを使った超電導磁石という特殊な磁石が使われます。
リニアモーターカーのしくみ
リニアモーターカーはこの超電導磁石を使って地上から約10センチメートル浮いて走ります。 図1のように、リニアモーターカーにはレールがありません。ガイドウェイと呼ばれる通り道に、車体を浮上させるための浮上・案内コイル、車体を走らせるための推進コイルが取り付けられています。
コイルと磁石の間には、コイルのそばで磁石をすばやく動かすか、磁石のそばでコイルを動かすと電流が流れるという性質があります。
超電導磁石を取り付けた車体が高速でガイドウェイを移動すると、浮上・案内コイルに電流が流れ電磁石となります。このとき浮上・案内コイルと超電導磁石との間に、N極とS極が引き合って車体を引き上げる力と同じ極同士が反発して車体を押し上げる力が起きて車体が浮き上がります。
推進コイルに電流を流すとコイルが電磁石となり、コイルと車体の超電導磁石との間にN極とS極の引き合う力と、同じ極どうしが反発する力が起きて車体が進みます。
リニアモーターカーは最初は車輪で走り始め、時速200Kmになると磁石の力が大きくなって車体が浮き上がります。
リニアモーターカーは現在山梨県で実用化に向けて実験が繰り返されています。リニアモーターカーの最高速度は550Km、実現すれば東京-大阪間を約一時間で結ぶ夢の超特急になります。
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