光化学反応

2014年1月 8日 (水)

炎色反応で紫の炎 ダイソーの魔界の炎  

ダイソーのパーティーグッズのコーナーに「魔界の炎」という紫の炎を出す玩具がありました。さっそく火をつけてみると、こんな感じの赤紫の火の玉ができあがりました。

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炎が赤紫になっているのは金属元素の炎色反応によるものです。炎色反応についての詳しい説明は、このブログの過去の記事「花火の色のしくみ」を参照してください。

商品のパッケージにはエチレングリコールが主成分としか書いてありませんが、それだけではこのような色にはならないと思いますので、金属化合物が入っているのでしょう。例えば、赤色の炎を出す炭酸ストロンチウムと青色炎を出す酸化銅を使うと紫の炎を作ることができます。

さて、この炎、空中にふらふら浮く火の玉のように見えますが、実際にはこんな感じになっています。

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2012年4月19日 (木)

紫外線で色の変わるビーズ

ブラックライトなどの紫外線を当てると色が変化するプラスチックビーズです。紫外線を当てるのをやめると、色がもとの白色に戻ります。

このプラスチックビーズには蛍光材料が含まれています。紫外線があたると、蛍光材料の電子エネルギーの状態が励起状態になりますが、すぐに基底状態に戻ります。紫外線が当たっている間はこの状態変化が繰り返し続きますが、励起状態から基底状態に戻ったときに、蛍光材料に特有な色の光が出てきます。紫外線を当てるのをやめると、状態変化が起こらなくなるので、光を出さなくなります。

太陽光で色が変わる様子の映像がYouTubeにアップされていました。

紫外線で色の変わる不思議なビーズ:直輸入直販

光と色の実験や工作で、いろいろと使い道がありそうです。

自作の紫外線チェッカー作りの映像です。

紫外線ビーズでストラップ作りに挑戦

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2012年2月 2日 (木)

科学捜査に光の目 ルミノール反応の仕組み

■ルミノール反応とは

 ルミノール反応は犯罪捜査で血痕の検査に使われています。血痕の色は新撰なときは赤色をしていますが、時間の経過とともに褐色、黄色と変化します。ですから、犯行現場で血痕らしきものが見つかったとしても、目視ではそれが血痕であるかどうかの判断はつきません。その判断に使われるのがルミノール反応です。

 ルミノール反応は1928年にドイツの化学者H.O.Albrechtによって偶然発見されました。彼はルミノールに過酸化水素水を加えると、青白い光を出すことを発見し、この反応を生じさせるためには銅や鉄などの触媒が必要であると述べています。

 1937年にドイツの法医科学者のWalter Spechtが、血液がこの触媒となることを見い出し、その後、犯罪捜査に用いられるようになりました。

Luminol demo HD

 血痕にルミノールと水酸化ナトリウムを混ぜたアルカリ溶液と過酸化水素水の混合液を吹きかけると、血痕が青白く光ります。この反応は血液が数万倍以上希釈されていても起こりますから、非常に感度の高い分析法です。

ルミノールと過酸化水素水の混合液はそのままでは反応しませんが、血液中のヘモグロビンに含まれるヘムという鉄原子をもつ物質が反応を促進させる触媒の役割をして反応が起きます。

まず触媒によって過酸化水素が分解し活性酸素ができます。活性酸素は非常に不安定で物質を酸化させる性質があります。活性酸素がルミノールと反応すると、次の図のような反応が起こります。

ルミノール反応の反応式

 反応で生じた物質はエネルギーが高い励起状態にあります。励起状態になった物質はすぐにエネルギーの低い基底状態に戻ります。そのときに、励起状態と基底状態の差分のエネルギーを光として放出します。差分のエネルギーの大きさは波長424 nmの青色光のエネルギーと等しいので、放出される光は青色光となります。

■光ったからといって直ちに血液とは判断できない

 このように化学反応で光が出る現象を化学発光(化学ルミネッセンス)と言います。ルミノール反応は酸化反応ですから、過酸化水素水でなくても市販の漂白剤などの酸化剤でも反応が起きます。

 また、ルミノール反応は血液中の鉄を含むヘムが触媒となって起こると説明しましたが、触媒となる物質はヘムだけではありません。鉄の他に銅やコバルトなどの金属元素を含む物質なども触媒となります。つまり、過酸化水素を分解する触媒であれば良いということになります。

 たとえば、大根にはパーオキシターゼ(peroxidase、ぺルオキシターゼとも呼ばれる)という酵素が含まれていますが、パーオキシターゼは過酸化水素を分解させ、物質の酸化反応を促進する触媒となる酵素です。パーオキシターゼは大根だけでなく、セイヨウワサビやキュウリをはじめとする植物に含まれており、食品添加物としても使用されています。ですから、ルミノールと過酸化水素水の混合溶液をパーオキシターゼを含む物質に触れさせると、ルミノール反応が起こり、青い光を発光します。

 ですから、科学捜査ではルミノール反応はあくまでも予備試験です。ルミノール反応で発光したとしても、ただちにそれが血痕と断定することはできません。それが血液なのかどうか、血液型は何かなどの検査が行われます。

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2012年1月23日 (月)

色の変わるサングラスの仕組み (調光レンズの仕組み)

■光で色の濃さが変わる調光サングラス

 暗いところでは透明で、明るいところでは色がつくメガネを調光サングラスといいます。調光サングラスに使われているレンズを調光レンズといいますが、調光レンズはまわりの明るさによって色の濃さが変化するプラスチックやガラスでできたレンズです。ガラス製にしろ、プラスチック製にしろ、調光レンズの色の濃さが変わるのは紫外線の働きによるものですが、その仕組みは異なります。

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■ガラス製調光レンズ

 ガラス製調光レンズは1964年に米国のガラス・セラミックス製品メーカーのコーニング社によって開発されました。コーニング社は1879年にトーマス・エジソンが発明した電球に用いるガラス容器を開発し、1915年に理科の実験器具用ガラスでおなじみの耐熱ガラスパイレックスを開発した会社です。

 ガラス製調光レンズには銀と塩素などのハロゲン元素が加えられています。調光レンズの素材となるガラスを製造するときに、ガラスに酸化銀とハロゲン化アルカリ(アルカリ金属のハロゲン化物)を加えて熔融します。これを再加熱すると酸化銀とハロゲン化アルカリが反応し、ガラス内に均一にハロゲン化銀ができます。ハロゲン化銀は無色透明のため、レンズに色はつきません。ところが、レンズに紫外線が当たると、ハロゲン化銀が紫外線のエネルギーで銀とハロゲンに分解します。銀は可視光線を通さないのでレンズ全体が黒っぽくなります。

紫外線
ハロゲン化銀(無色) → 銀(黒)+ハロゲン

 レンズの一部を覆って光を当てると、次の写真のように光を当てた部分だけが黒くなります。

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2_2 紫外線を遮断すると、銀とハロゲンがガラス内で再び結合してハロゲン化銀となり、レンズは無色透明に戻ります。なお、ハロゲン化アルカリはガラスに混ぜられているため、特に度の強い近視用や遠視用の凹レンズや凸レンズでは、中心部と周辺部で厚さが異なるため色の濃さに差が生じます。

 このように光のエネルギーによって起こる化学反応を光化学反応といいます。ガラス製調光レンズは、ハロゲン化銀が無色から黒色になり、そして無色に戻る光化学反応を利用しています。この光化学反応の速度は速くありません。ガラス製調光レンズに紫外線が当たって着色するまでには数分以上要します。また、退色してもとの無色透明になるまでに数分から数十分ほどかかります。また、この化学反応は温度の影響を受けます。温度が高いとハロゲン化銀の分解と、銀とハロゲンの結合の反応速度が速くなるため、冬よりも夏の方が色がついたり消えたりする時間が短くなります。

■プラスチック製調光レンズ

 世界で初めて販売されたプラスチック製調光レンズは1982年に米国のアメリカン・オプティカル社が販売したPhotoliteという製品です。しかし、世界で最も有名なものは1991年に米国のトランジション・オプティカル社が開発、販売したTransitionsという製品です。

 プラスチック製調光レンズにはハロゲン化アルカリは使われていませんが、やはり紫外線を当てると色が変化する感光物質が使われています。例えば、スピロオキサジンという感光物質は無色ですが、紫外線を当てるとメトロシアニンと呼ばれる構造に変化し、青色となります。紫外線を遮断すると、無色のスピロオキサジンに戻ります。

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 初期のプラスチック製調光レンズはプラスチック素材に感光物質が混ぜられていました。そのため、ガラス製調光レンズと同様に、特に度の強いレンズでは色の濃さにムラが出ました。現在は、レンズの表面に感光物質をコーティングする方法で作られています。この方法ではレンズの中心部と周辺部で色の濃度差は生じませんが、レンズの表面に深い傷がついたり、コーティングがはがれたりすると、その部分が発色しなくなります。

 プラスチック製調光レンズの光化学反応は感光物質の構造変化によるもので、その反応速度は迅速です。紫外線を数十秒ほど当てると着色し、紫外線を遮断すると数分で退色します。また、この光化学反応は温度の影響を受けます。温度が低いほど速く着色し、退色に要する時間が長くなります。逆に温度が高いと、着色に要する時間が長くなり、退色に要する時間が短くなります。

 ガラス製にしろ、プラスチック製にしろ調光レンズは紫外線で色が変わるのですから、日差しが強くても紫外線が届かないところでは着色しません。例えば、天気の良い日に自動車を運転する場合、サングラスを使うことがあると思いますが、このとき調光サングラスはあまり役に立たないかもしれません。最近の自動車の窓ガラスは紫外線を通さないガラスでできているからです。

■調光レンズはフォトクロミズム

 調光レンズのことをフォトクロミックレンズともいいます。フォトクロミックは英語で「光で発色する」という意味です。そして、調光レンズのように光の作用によって物質の色が可逆的に変化する現象をフォトクロミズムといいます。このフォトクロミズムという現象は1867年にJ.フリッチェが報告しています。彼はテトラセン(ナフタセン)という淡黄色の芳香族化合物が光を照射すると無色になり、加熱するともとの色に戻ることを論文に報告しています。

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 その後、多くの分子がフォトクロミズムを起こすことがわかり、光で発色する物質の研究とその利用が進んでいます。

 フォトクロミズムを生じる物質は、光で分子の構造を可逆的に変化させることができるため、光による分子のスイッチや、光ディスクなどの記憶媒体の利用の研究が盛んに行われています。

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2011年12月27日 (火)

日焼けの仕組みと日焼け止めクリームの仕組み

■日焼けの原因となる紫外線

 日焼けは皮膚の細胞内に存在する物質が化学変化することで生じます。物質が化学変化を起こすにはエネルギーが必要ですが、日焼けを起こす化学反応のエネルギー源は太陽光に含まれる紫外線です。紫外線より波長の長い可視光線や赤外線では日焼けは起こりません。可視光線や赤外線は日焼けに必要な化学反応を起こすほどのエネルギーをもっていないからです。可視光線や赤外線より波長が短い、つまり振動数が大きくて高いエネルギーをもつ紫外線が日焼けを起こします。紫外線は波長の長さで次の図のようにUV-A、UV-B、UV-Cに分類されます。

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 この分類で、波長の短いUV-Cと、UV-Bの短波長側の一部の紫外線はエネルギーが高く危険です。この範囲の紫外線は皮膚の細胞組織を破壊し、免疫力低下、白内障、皮膚ガンなどを引き起こし、人体に悪影響を与えます。しかしながら、これらの紫外線は大気中のオゾン層で吸収されるため地表には届きません。ですから、日常生活では心配する必要はありません。地表に届いて日焼けの原因となる紫外線はUV-AとUV-Bの長波長側の紫外線です。

■日焼けが生じるしくみ 

 UV-Aは皮膚の奥まで届き、メラノサイト(色素細胞)を刺激します。メラノサイトにはチロシンというアミノ酸が存在します。これは日焼けのもととなるメラニンの原料です。紫外線でメラノサイトの活動が活発になると、チロシンに酸化酵素のチロシナーゼが働いてドーパという物質ができます。チロシナーゼはさらにドーパに働いて、ドーパキノンという物質を作ります。ドーパキノンは反応性が高く、いくつかの物質を経て複雑な構造を持つ褐色のメラニンとなります。

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 日焼けすると肌の色が黒くなるのはメラニンが増えるからです。メラニン色素は紫外線を吸収し、紫外線が皮膚にダメージを与えるのを防ぎます。ですから、紫外線量に対してメラニン色素が適度に生成されているうちは肌が黒くなるだけで、これは健康的な日焼け(サンタン)です。しかし、UV-Aは皮膚の深部組織に影響を与えるため、色素沈着やしわやたるみなどを引き起こします。 

 UV-Bの長波長側の紫外線は皮膚の奥まで届きUV-Aと同じ作用をしますが、そのほとんどは皮膚の表面に近いところまでしか届きません。日焼けによって皮膚が赤くなったり、腫れたり、水ぶくれができるのはUV-Aよりエネルギーが高いUV-Bによるもので、これは病的な日焼け(サンバーン)です。また、UV-Bは皮膚ガンを引き起こすことも知られています。

■日焼け止めクリームのしくみ

 日焼けを避けるには衣服、帽子、日傘などで紫外線を皮膚から物理的に遮断するのが最も良い方法です。しかし、顔や腕を紫外線から完全に遮断するのは困難です。また、海水浴の時は衣服を着ていませんから紫外線に対して無防備になります。このような場合には日焼け止めクリーム(UVカットクリーム)などを使うと良いでしょう。

 日焼け止めクリームには紫外線防止剤が含まれています。紫外線防止剤には、金属酸化物などの微粒子で紫外線を物理的に遮断する紫外線散乱剤と、紫外線を吸収して熱などのエネルギーとして放出する紫外線吸収剤があります。

 紫外線散乱剤には二酸化チタン、酸化亜鉛などの化合物が使われます。これらの微粒子を皮膚に塗ると、紫外線が皮膚に届く前に散乱・反射されるので、皮膚を紫外線から守ることができます。

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 紫外線吸収剤には多くの化合物が使われていますが、代表的なものとしてはオキシベンゾンやメトキシケイヒ酸オクチルなどです。これらの化合物はその構造中にベンゼン環や二重結合を持っており、紫外線をよく吸収します。4

 これらの化合物が紫外線を吸収すると、分子中の電子状態がエネルギーの低い安定した基底状態からエネルギーの高い不安定な励起状態になります。電子状態はすぐに不安定な励起状態から安定した基底状態に戻りますが、このときに差分のエネルギーを熱エネルギーとして放出します。この繰り返しで紫外線から皮膚を守ります。

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 化合物によって吸収する紫外線の波長領域が異なるため、紫外線吸収剤には複数の化合物が配合されています。使用しているうちに化合物そのものが化学変化を起こして、かゆみや肌荒れを起こす場合もあるので、肌が弱い人は注意が必要です。

■紫外線防止剤の効果を示すSPFやPAとは

 紫外線防止剤の効果はSPF(Sun Protection Factor)やPA(Protection Grade of UV-A)という数値で表されます。SPFは主にUV-Bによるサンバーンを防ぐ効果を示す数値で、紫外線で皮膚に赤い斑点が現れるまでの時間を何倍に長くできるかを表したものです。例えば、SPF15の日焼け止めクリームは紫外線で赤い斑点ができるまでに20分かかる人では、20×15=300分、すなわち5時間日焼け止めの効果を得られるということです。

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 PAは皮膚の黒化をSPFと同じ方法で測定したPFA(Sun Protection Factor of UV-A)という数値から求められます。日本化粧品工業連合会では下記の3段階に定めています。

PA+ PFA2以上4未満・UV-A防御効果がある
PA++ PFA4以上8未満・UV-A防御効果がかなりある
PA+++ PFA8以上・UV-A防御効果が非常にある

 SPFやPAが高いということは紫外線防止効果が高いということですが、その分だけ皮膚への負担が大きくなります。日常の生活で使う日焼け止めは数値が低いものを選び、数値が高いものは海水浴、レジャー、屋外でスポーツをするときなどに使うようにすると良いでしよう。日本化粧品工業連合会のサイトにPAとSPFによる紫外線防止用化粧品の選び方の解説がありますので参考にすると良いでしょう。

「日やけ止め化粧品」の選び方
http://www.jcia.org/consumer/spf_main.htm

■日焼けクリームとは

 日焼けクリームは紫外線の悪影響を避けてわざと日焼けをするためのものと、日光に浴びずに皮膚が日焼けしたような色にするものがあります。

前者は紫外線の悪影響を避けるためのものですから、これは日焼け止めクリームのことです。日焼けをするのが目的ですから、サンバーンの原因となるUV-Bを選択的にカットするように作られており、UV-Aによるサンタンで体を焼いていくことができます。

後者はサンレスタンニングと呼ばれ、薬品で皮膚の角質層のタンパク質を変質させて皮膚の色を日焼けしたような黒い色にするものです。メラニン色素の少ない白人が多い欧米では、肌を黒くするために日光浴をしたり、日焼けサロンを利用したりすることは皮膚に障害を与えるので好ましくありません。そこで、紫外線を使うことなく肌を黒くすることができる薬品が使われるようになりました。代表的なサンレスタンニング剤はグリセリンから作られるジヒドロキシアセトンという単糖です。

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 ジヒドロキシアセトンを皮膚に塗ると、角質層のタンパク質をつくるアミノ酸と反応し、タンパク質が変質します。この変質したタンパク質が黄色や茶色になります。着色した皮膚は洗ったり、こすったりしても色は落ちませんが、数日から1週間ほどで肌の色が元に戻ります。ジヒドロキシアセトン自身は無害であり、紫外線による日焼けで生じるダメージを皮膚に与えることなく皮膚の色を日焼けしたような色にすることができます。

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