光学機器

2013年3月25日 (月)

図解入門レンズの基本と仕組み[第2版]-身近な現象と機器に学ぶ光学入門

図解入門よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第2版]

図解入門レンズの基本と仕組み[第2版]-身近な現象と機器に学ぶ光学入門

本書はレンズについて知りたいという人を対象に、光の性質から、レンズの基本的な仕組み、種類、収差や性能、眼鏡やカメラなど実際の機器でのレンズの使われ方を図表を使ってやさしく解説します。

【内容】

 カメラや天体望遠鏡には興味があるけど物理は苦手という人でも、レンズの基本について勉強できる本です。

 中学理科から高校物理で学ぶ光の基礎知識を取り上げながら、レンズについてわりやすく解説した本です。

単行本: 291ページ
出版社: 秀和システム; 第2版 (2013/03)
ISBN-10: 4798037354
ISBN-13: 978-4798037356
発売日: 2013/03

目次

はじめに

 21世紀の科学技術は「光の時代」と言われています。現在、光の先端技術を応用したものが、私たちの生活の中にたくさん入ってきています。

 光の技術があるところでは、必ずといってよいほどレンズが活躍しています。レンズはカメラや望遠鏡だけではなく、CD/DVDプレーヤーやコピー機、レーザープリンタをはじめとする、光を使った様々な製品に使われているのです。レンズは光技術の立役者であるといっても過言ではありません。

 本書の構成にあたっては、レンズの専門家ではない人や、物理は少し苦手と思っている人が、「レンズについて知りたい」「勉強したい」と思ったときに、どのような入門書があればよいのかを中心に考えました。

 レンズを勉強するためには、光の基本的な性質を理解しておく必要があります。なぜなら、光とレンズは切っても切れない間柄だからです。この本では、光の基本的な性質についても、ページをかなり割いて説明しました。本書で取り上げたものは、レンズを学ぶ上で必要となる知識です。そこで、本書1冊で光の基本からレンズの仕組みまでを理解できるように、あるいはレンズの専門書で行き詰まったとき、理解を助けるために読んで頂けるように心がけて、執筆を進めました。

 本書は2005年3月に第1版が発売されてから8年の歳月が経過し、ここに第2版を出版することになりました。改訂にあたっては、本書の基本的な主旨は踏襲し、読者の皆さんから頂いた質問や意見などを参考に、よりわかりやすい内容に仕上げることをめざしました。そのため、巻頭のカラー口絵のページや、新しい文章や図を加えて、第1版に比べて約50ページ増量しました。

読者の皆さんが、本書を手にすることによって、光とレンズに関する基本知識を身につけられ、本書がレンズ光学の専門書への橋渡しの役割を果たすことができたとしたならば、著者としてこれほど嬉しいことはありません。

 最後になりますが、本書の作成にあたっては、北海道理科サークルWisdom96の皆さんに、書き上げた文章を読んで意見を頂いたり、写真を提供して頂いたり、お世話になりました。この場を借りてお礼を申し上げます。

 そして、本書の編集作業を担当していただいた秀和システム第一出版編集部の皆さんにお礼を申し上げます。

第1章 レンズとは何か

  • 1-01 そもそもレンズとは?
  • 1-02 レンズの働きをするものを探してみよう
  • 1-03 レンズの歴史
  • コラム 世界最古のレンズ? ニムルドのレンズ
  • 1-04 望遠鏡と顕微鏡の歴史
  • 1-05 カメラの歴史
  • コラム 活動写真の発明

第2章 光の基本的な性質

  • 2-01 光はどのように進むのか① 光の直進性
  • コラム 鏡の歴史
  • 2-02 光はどのように進むのか② 光の反射と乱反射
  • 2-03 光はどのように進むのか③ 光の屈折と反射
  • コラム 光通信と光ファイバー
  • 2-04 光はどのように進むのか④ フェルマーの原理とスネルの法則
  • 2-05 光の分散
  • 2-06 光の回折と干渉
  • コラム シャボン玉でできる虹
  • 2-07 光が偏るとは?
  • 2-08 どうしてものが見えるのか
  • コラム 物体はどのようにして見えるのかを研究した人びと
  • 2-09 光と色の三原色
  • 2-10「光る」とはどのようなことか
  • 2-11 光の速度はどれぐらいか
  • コラム 光速の測定が光の波動説の完全勝利をもたらした
  • 2-12 光の正体は何か
  • 2-13 電磁波とは何か
  • 2-14 幾何光学と波動光学
  • コラム ナノテクノロジーとは

第3章 レンズの基本的な仕組みと働き

  • 3-01 影や像のできかた
  • 3-02 レンズの仕組みと働き
  • コラム 老眼鏡と近視眼鏡のレンズの種類を確かめる
  • 3-03 レンズの構成
  • 3-04 レンズを通る光の進みかた
  • 3-05 レンズでできる像
  • 3-06 レンズの式と倍率
  • 3-07 レンズの置き方
  • 3-08 2枚のレンズを通る光
  • 3-09 レンズの簡易な作図方法
  • コラム 平行光で凸レンズの焦点距離を求める
  • 3-10 凹面鏡と凸面鏡
  • コラム 凹面鏡を利用した太陽炉

第4章 レンズの分類

  • 4-01 レンズの基本的な分類のしかた
  • 4-02 表面で光を屈折するレンズ① 
  • 4-03 表面で光を屈折するレンズ② 
  • 4-04 表面屈折以外のレンズ
  • コラム 光を回折させてみよう
  • 4-05 レンズを作る材料
  • コラム ガラスはなぜ透明か
  • 4-06 光学ガラスの屈折率とアッベ数
  • 4-07 光学ガラスの分類
  • 4-08 ガラス以外の材料
  • 4-09 レンズのつくりかた
  • コラム 光学ガラスやレンズの製造工程を詳しく知りたい人は

第5章 レンズの収差と性能

  • 5-01 収差とは何か
  • 5-02 球面収差
  • 5-03 コマ収差と非点収差
  • 5-04 像面湾曲と歪曲収差
  • 5-05 軸上色収差と倍率色収差
  • 5-06 Fナンバー
  • 5-07 開口数NA
  • 5-08 絞りと瞳
  • 5-09 絞りの位置とテレセントリック
  • 5-10 焦点深度と被写界深度
  • 5-11 レンズの解像力と伝達関数MTF
  • コラム 偏心収差 レンズ製造やとりつけで生じる収差
  • 5-12 アッベの不変量とラグランジュの不変量
  • コラム レンズの設計

第6章 レンズを使った製品と技術

  • 6-01 光学系とは何か
  • 6-02 眼の働き
  • 6-03 眼鏡と眼の屈折異常① 
  • 6-04 眼鏡と眼の屈折異常② 
  • 6-05 コンタクトレンズの仕組み
  • コラム 昆虫の複眼の仕組み
  • 6-06 ルーペの仕組み
  • 6-07 顕微鏡の仕組み
  • 6-08 望遠鏡の仕組み
  • コラム 双眼鏡の仕組み
  • 6-09 カメラの仕組み
  • 6-10 CD-ROMとCD-ROMドライブの仕組み
  • 6-11 レーザープリンタの仕組み
  • 6-12 バーコードリーダーの仕組み
  • 6-13 半導体産業を支えるステッパーレンズ
  • 6-14 自然現象とレンズ

索引

参考文献

読者サポートサイト

http://lens.goryoukaku.com/

▼サンプルページ

巻頭口絵(抜粋)

Front

第1章 第1節 そもそもレンズとは

Page11

第2章 第3節 光はどのように進むのか③光の屈折と全反射

Page23

第3章 第4節 レンズを通る光の進みかた

Page34

第4章 第1節 レンズの基本的な分類のしかた

Page41

第5章 第2節 球面収差

Page52

第6章 第2節 目の働き

Page62

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2012年11月 2日 (金)

360度パノラマカメラのF1走行動画

360度パノラマの表示というとGoogle Street Viewを思い出しますが、これを視点操作が可能な動画のシステムとして実現したのが次の影像です。

この 映像はノルウェーのMaking View社が開発したシステムで作成されたものです。カメラシステムをF1 のセバスチャン・ブエミ選手が運転するレッド・ブルのマシンに搭載し、F1カーがコースを走る様子を360度パノラマで撮影してあります。

すごいのは、動画上でマウスやキーを操作すると、視点がスムーズに切り替わることです。

実際にためしてみてください。なお、こういう動画をマウスやキーで操作すると、自動車を操縦しているような錯覚に陥りますが、操作できるのはステアリングではなくて、カメラです。

でも、視点が変わるので運転しているような感覚にもなります。

ただし、視点とハンドル操作は逆だということに気が付くでしょう(笑)

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2012年10月26日 (金)

ピンホールで像ができる仕組み

 次の図のように厚紙に1センチメートルほどの星型の穴を開けて、天井の蛍光灯で厚紙の影を作ると、どのような影ができるでしょうか。穴の部分が明るい星型をした厚紙の影ができるでしょうか。

3031

 実際にやってみると、影の穴の部分は星型をしておらず、そこに蛍光管の姿が映し出されます。穴の形が円形でも三角形でも四角形でも、穴の形に関係なく蛍光管の姿が映ります。

 もし、蛍光管が円形のタイプのものなら、ドーナツ状の蛍光管の姿が映し出されます。このように映し出された物体の姿を像といいます。この像は鏡の中に見える物体の虚像とは異なり、そこに実際にやってきた光で作られる実像です。
 光源や物体の1点から出る光は四方八方に広がって進みます。次の図は物体の1点から出た光がピンホールに入る様子を示したものです。物体の1点から出て広がって進む光のほとんどは遮断されますが、ピンホールを通り抜けることができた光がスクリーンに物体の像を作ります。

3032

 ピンホールでできる像は元の物体と上下左右が反転した倒立像となります。これは光が直進するからです。次の図のように物体のABXYから出てピンホールに向かう光は、ピンホールを通過した後、A’B’X’Y’に向かって進みます。つまり、ピンホールで光が交差するため上下左右が反転した像ができるのです。ピンホール現象を利用したカメラが第1章で説明したカメラ・オブスクラ、つまりピンホールカメラです。

30321

 ピンホールと同様に鏡でスクリーンに像を作ることもできます。太陽光を鏡で反射させスクリーンに当てたとき、鏡とスクリーンの距離が短いと鏡の形をした明るい光が映るだけですが、距離が長くなると次の写真のように太陽の像が映ります。ピンホールは光を通過させて像を作りますが、鏡は光の進む向きを反転させて像を作ります。

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2012年7月 3日 (火)

透明なプラスチック(1)

 一昔前までは透明な材料と言えばガラスが代表格でした。しかし、現在では、優れた透明性をもつプラスチックが開発され、ガラスの代わりに使われるようになってきました。プラスチック材料として透明性をを重視した素材といえば、ポリカーボナートとアクリル樹脂が代表格です。

 ポリカーボナートもアクリル樹脂も透明性の高いプラスチックですが、透明性だけで比較すると、アクリル樹脂の方がポリカーボナートよりも優れています。アクリル樹脂は眼鏡や光ファイバーの材料として使われます。もちろん、その透明性は石英ガラスには及びませんが、プラスチックの中では特に透明性が高い材料です。

 しかしながら、アクリル樹脂には割れやすいという欠点があります。そこで、アクリル樹脂までの透明性は必要ないが、割れにくいなどの耐久性を重視する場合にはポリカーボナートが使われます。

 たとえば、CDやDVDのディスクは、データを読むための光がディスクの板の厚み方向を往復するだけで良いので、アクリル樹脂ほど透明性がなくても支障はありません。そこで、CDやDVDのディスクの素材にはポリカーボナートが使われています。

 ただし、ポリカーボナートを光学用途に使うには複屈折(参考記事:方解石による複屈折)が大きいという問題があります。

 ポリカーボナートのポリマーを引き伸ばして成型する場合、ポリマーは成形の時に流れた方向に引き伸ばされた構造になります。このとき、ポリマーの鎖の方向と、鎖と垂直な方向との屈折率が異なるため、複屈折が生じます。

Photo

 複屈折が生じると、材料の縦方向と横方向で焦点距離が変わってしまうため、光でデータを読み取るのが難しくなります。そこで、これを解消するために、分子量を小さくしたり成形方法を工夫したりして複屈折をなるべく小さくするような工夫がなされています。

 一見、透明に見える材料も、力のかかり具合によって、屈折率がバラツキ複屈折を生じます。これを光弾性といいます。たとえば、プラスチック製のスプーンを偏光フィルタを通して観察してみると、歪んだ部分が色づいて見えます。

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【参考】

「機能性プラスチック」のキホン

桑嶋 幹 (著), 久保 敬次 (著)

欲しい性能を付与できる進化した有機材料の世界

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2012年6月19日 (火)

高エネルギー可視光線 - 用語

最近、パソコンの使用時に透明なメガネをかけている人が多くなってきました。

パソコンのディスプレイがCRTだった頃、静電気で飛沫する微粒子から眼を守るために、メガネをかけましょうというのがありましたが、LCDが主流になってからは、眼を守るためにメガネをかけるということはなくなりました。

どうして、最近になって、メガネをかける必要が出てきたかというと、LCDのバックライトがハ白色LEDに変わったからです。白色LEDは青色LEDと、その青色LEDの光で励起されると黄色い光を出す蛍光体を組み合わせたものです。ですから、白色LEDが出す光には波長が短くてエネルギーの高い青色光がたくさん含まれています。

眼科の分野では、可視光線のうち波長380 nmから530 nmまでの光のことを、高エネルギー可視光線(HEV light, High-Energy Visible light)と呼び、青色光網膜障害の原因となるとされています。最近では、白色LEDが使われる例が増えていますので、眼が長時間青色光にさらされる機会が増えています。

パソコンのLCDディスプレイは、眼から近い位置で使うことが多く、また、画面を凝視する時間が長いので、眼が青色光に長時間暴露されます。そこで、眼を守るために、高エネルギー可視光線の波長領域の光をカットするメガネが使われるようになっているのです。

Bluelight

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2012年5月26日 (土)

Micrographia by Robert Hooke / Project Gutenberg

昨日紹介したProject Gutenbergで、ロバート・フックのミクログラフィアの電子書籍をダウンロードすることができます。単純なhtmlで書かれたWebページも参照することが可能です。

Micrographia by Robert Hooke
http://www.gutenberg.org/ebooks/15491

顕微鏡は1590年頃にオランダのヤンセン親子によって発明されましたが、その発展は顕微鏡に比べ大きく遅れました。ものを拡大して見る道具としては、凸レンズ1枚のルーペで十分だったからと考えられます。

 イギリスのロバート・フックは拡大率が数十倍の凸レンズを2枚使った複式顕微鏡を作り、さまざまな動植物の観察を行いました。下図はフックが作った顕微鏡のスケッチです。

Roberthookmicroscope1

 フックはコルクに無数の小さな部屋があることを発見し、その部屋のことをcella(ラテン語で細胞という意味、英語ではcell)と名付けました。1665年に出版されたミクログラフィアに、フックが観察したたくさんの動植物のスケッチが掲載されています。これらのスケッチは上記のサイトで参照することができます。

Roberthookmicroscope2

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2012年5月23日 (水)

減色法によるカラー写真の仕組み 写真の仕組み(6)

色の三原色によるカラー写真の実現

 1869年、フランスのオーロンはC(Cyan、シアン)、M(Magenta、マゼンタ)、Y(Yellow、イエロー)の色の三原色を利用した写真術を考案しました。彼が考案した方法は、色光を混ぜて色を作るマクスウェルの加色法に対し、光の吸収体である色材を混ぜて色を作ることから減色法といいます。加色法は光の三原色のフィルタと白黒感光剤で色を作りますが、減色法は光で感光剤そのものを色の三原色に発色させて色を作ります。現在の銀塩カラー写真の原理は全て減色法です。

減色法は手順が煩雑なため1930年代中頃にコダック社が実用的なフィルムの販売を開始するまではほとんど普及せず、加色法が主流でした。

カラーフィルムの仕組み

  カラーフィルムの構造は大雑把に光の三原色で発色する青色感光層、緑色感光層、赤色感光層と、緑色感光層と赤色感光層に青色光が入るのを防ぐイエローフィルタ層の4つの層からなります。

 カメラのシャッターを切ると、フィルムの各感光層が特定の色の光で感光します。このとき、白黒写真と同じように臭化銀が銀に変化して潜像ができます。

 フィルムを現像すると、現像液の成分が各感光層にできた銀と結びつくことによって潜像が明瞭になります。同時に各感光層はそれぞれが感じ取る光の色の補色を発色します。青色感光層はイエロー、緑色感光層はマゼンタ、赤色感光層はシアンに変化します。このように補色に変化することを一般に色の反転といいます。

Photo

 例えば被写体からの赤色光は次の図のように赤色感光層を感光します。赤色感光層は現像によって赤色の補色であるシアンを発色します。

5

生成した銀が残ると発色した色が黒ずんでしまいます。そこで、定着時に生成した銀をフィルム上に残った臭化銀と一緒に漂白します。

プリントの仕組み

 次にカラー写真のプリントについて考えてみましょう。カラーの印画紙にもフィルムと同様に3種類の感光剤が塗ってあります。

 ネガフィルムに光を当て引き伸ばしを行って印画紙上に像を作ると、この像の光によって印画紙の感光層が感光します。印画紙を現像すると、ネガの色と反転した色ができ、被写体の色が印画紙に再現されます。例えばシアンの光は、次の図のように緑色感光層と青色感光層を感光させます。この印画紙を現像すると、緑色感光層はマゼンタ、青色感光層はイエローを発色します。マゼンタとイエローは混ぜると赤色になりますので、印画紙上で被写体の赤色を再現することができます。

6

カラー写真と光と色の三原色の関係

次の図は光と色の三原色を示したものです。また、被写体の色、現像時のフィルムの色、プリント時の印画紙の色の関係を表にまとめました。表をじっくり見ると、カラー写真でどのように色が再現されているのかがわかると思います。

Photo

光の三原色と色の三原色の足し算と引き算

W=R+G+B C=G+B M=R+B Y=R+G
K=Y+M+C R=Y+M G=Y+C B=M+C

補色

R=W-C  G=W-M  B=W-Y
Y=W-B  M=W-G  C=W-R

フィルムの現像とプリントによる発色

  被写体の色
(反射光)
W K R G B C M Y
フィルム 青色感光層 Y Y Y Y
緑色感光層 M M M M
赤色感光層 C C C C
ネガ K W C M Y R G B
プリント 赤色感光層 C C C C
緑色感光層 M M M M
青色感光層 Y Y Y Y
印画紙 W K R G B C M Y

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2012年5月16日 (水)

加色法によるカラー写真の仕組み 写真の仕組み(5)

光の三原色フィルターで白黒ネガに色を記憶

1861年、イギリスの物理学者マクスウェルはR(Red、赤)、G(Green、緑)、B(Blue、青)の光の三原色を利用したカラー写真の原理を示す実験を行いました。

 彼は被写体に色柄のタータンリボンを選び、カメラのレンズにRフィルタ、Gフィルタ、Bフィルタを交換して取り付けながら、3枚の写真を撮影しました。

 R、G、Bのフィルタはそれぞれ赤色、緑色、青色のセロハンのようなものです。Rフィルタは赤色光を透過、Gフィルタは緑色光を透過、Bフィルタは青色光を透過します。それぞれのフィルタを使って写真を撮影すると、感光板はフィルタを透過した色光で感光することになります。

2

 このようにしてできた3枚の感光板は白黒ネガですが、ネガの濃淡はフィルタを透過してきた色光の濃淡に相当します。つまり、被写体からの光をR、G、Bのフィルタで光の三原色に分解することによって、被写体の色を3枚の白黒ネガに記録したのです。

白黒ネガからカラー画像を再現

 マクスウェルは上述の方法で作成した3枚のネガから幻灯機用のポジスライドを3枚作りました。そして、それぞれのスライドを3台の幻灯機にかけました。このとき、それぞれの幻灯機には白黒ネガを作成するときに使った色のフィルタを取り付けました。

 3台の幻灯機の像をスクリーンに映すとには、それぞれ赤色、緑色、青色の3つのリボンの像が映し出されました。そして、その像をぴったりと重なるように投影すると、スクリーンにリボンのカラー画像が映し出されたのです。

3

これがマクスウェルが撮影したタータンリボンの現存の写真です。

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 この方法ではスクリーンにできたカラー画像を写真として残すことはできません。しかしながら、光の三原色のフィルタを用いて被写体の色を記録するというアイデアは初期のカラー写真の原理となりました。この方法は色光の足し算で色を作ることから加色法と呼ばれます。

Lumrast_1 1903年、フランスのルミエール兄弟はオートクロームという世界で初めて商業的に成功した加色法の写真術を考案しました。これは白黒感光板に光の三原色に染色したデンプンを塗布したものです。この染色した3色のデンプンが赤、緑、青のフィルタの役割を果たしました。

 オートクロームの写真を顕微鏡で拡大して見ると、テレビの画面をルーペで拡大して見たときと同じように光の三原色が見えます。

マクスウェルの実験、原理は正しいが、結果は偶然だった?
この時代の感光剤は青色光には感光しましたが、緑色光や赤色光には感光しませんでした。緑や赤の感光板はフィルタを透過してきた青色光や紫外線で感光したと考えられています。

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2012年5月15日 (火)

カラー写真の始まり 写真の仕組み(4)

カラー写真の始まり

 カラー写真の発明以前は、職人が色材を使って白黒写真を手で着色していました。もともとカメラ・オブスクラは絵を描く道具として使われていたこともあって、当時の職人たちにとって白黒写真への着色は必ずしも面倒な作業ではなかったようです。それでも白黒写真が発明された1820年代には既にカラー写真の研究が行われていました。写真技術の目標は初めからカメラ・オブスクラの像を色の情報を含めてそのまま記録することだったに違いないからでしょう。

 実際のところ白黒写真を着色する方法は実用的なカラー写真術が開発されてからも行われていました。次の写真は1930年に写真家がモスクワを訪問したときに撮影した白黒写真を着色したものです。

8

Coloured Pictures of Old Moscow, Part II | English Russia
http://englishrussia.com/2011/05/27/atmospheric-pictures-of-old-moscow/

 世界で初めてカメラ・オブスクラの像を白黒写真として残すことに成功したニエプスと、ニエプスに協力して後にダゲレオタイプと呼ばれる実用的な写真術を開発したダゲールもカラー写真の研究を行っていたようです。

 彼らが研究していたのは実用的なカラー写真が発明される100年も前のことです。ニエプスが残した手紙によれば、彼らは光で変色する化学物質の開発を行い、プリズムでできる光の色を全てではないにしろ何とか記録することに成功したようです。彼らがどのような方法でカラー写真を実現しようとしたのか詳しい記録は残っていませんが、彼らの試みはその後のカラー写真の研究開発の大きな励みとなったようです。

カラー写真を初めて撮影したのは

 1840年、フランスの物理学者アレクサンドル・エドモン・ベクレルは、本質的意は赤色光や黄色光に対して感応しない銀のハロゲン化物が、青色光、紫色光、そして紫外線への露光時間に応じて感応するようになることを発見しました。強い赤色光と黄色光を露光することによる銀塩写真が実現できるようになりました。しかし、この技術は使われることはほとんどありませんでした。彼は、1848年にカラー写真の作成に成功していますが、露光時間が非常に長い上に、定着することができなかったため、写真として残すことができませんでした。なお、放射線を発見したアンリ・ベクレルは彼の息子です。

 1850年、米国の牧師レヴィ・ヒルは当時としては鮮明なカラー写真を撮影することに成功しました。彼はこの写真術をヘリオクロミーと名付けましたが、その方法を十分に明らかにしないまま死亡してしまいました。

Hillotype

 ヒルの残した写真には顔料で着色したものがあったため、ヘリオクロミーは非常に懐疑的な技術であると考えられました。しかし、その後の研究では、ヘリオクロミーで鮮明ではないにしろ、色を生じさせることができることがわかりました。1860年頃にニエプスの甥がヒルと同様な方法でカラー写真を撮影することに成功しています。

 彼らのカラー写真術を直接カラー法と呼びます。ある色の光が当たると、その色を発色する感光剤を使ったものでした。写真を定着することができなかったため、実用的なカラー写真術にはなりませんでした。

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2012年5月11日 (金)

白黒写真の仕組み 写真の仕組み(3)

白黒写真の現像の仕組み

 白黒フィルムは薄い膜に臭化銀(AgBr)の細かい粒子(直径0.0001~0.001 mm)を含んだゼラチンを塗ったものです。カメラのシャッターが切られ、光がフィルムにあたると、光のエネルギーで次のような光化学反応が起こり、臭化銀が分解して銀の黒い粒子ができます。

 
   臭化銀  → 銀 + 臭素

Neopan
 フィルムにあたる光はわずかなため、生成する銀もわずかです。そのため、フィルムには目で認識できるようなはっきりした像はできません。 この写真の元となる像を潜像といいます。

 この潜像を印画紙にプリントできるように明瞭に浮かび上がらせる作業が現像です。像を明瞭にするには、生成した銀のまわりの未反応の臭化銀をさらに分解して、銀の量を100万~1000万倍に増やします。

 現像はアルカリ性溶液中でハイドロキノンなどの還元剤を使います。この反応は次のようになります。

臭化銀 + ハイドロキノン → 銀 + p-ベンゾキノン+臭化水素

Photo

 この反応では銀が反応を促進する働きをします。
Photo2
そのため、光によって分解した銀がたくさんある部分は反応が速く進みます。結果として、光がたくさん当たって、銀がたくさんできていた部分ほど、銀が増えて黒くなります 。

この反応を長時間行うと、光によって銀が生じていない部分の臭化銀も分解されていくので、放置するとフィルムが真っ黒になってしまいます。そこで現像が適度に進んだところで酢酸溶液を加え中和して反応を停止します。

 また、光が当たらなかった部分には臭化銀が残っています。また、光が当たったところにも未反応の臭化銀が残っています。臭化銀に光が当たると分解して銀ができ、フィルムが真っ黒になってしまいます。そこで残っている臭化銀をチオ硫酸ナトリウム(通称ハイポ)で溶かして除去します。これが定着です。

 定着が済んだフィルムは水洗し乾燥します。現像から定着までは暗室で行いますが、定着が終わるとフィルムを明るいところに持ち出すことができるようになります。

 フィルム上で光が強く当たったところは、銀がたくさん存在し黒くなっているため光が通りません。また、光が当たらなかったところは透明となります。これがネガフィルムです。

9

Episode 20, how to develop black and white film

■白黒写真のプリントの仕組み

 ネガフィルムを映写機のような装置に装着してフィルムの像を印画紙上に拡大し、その像を印画紙に焼き付けることにより写真ができます。この作業を引き伸ばしといいます。

10

 印画紙にもフィルムと同様に臭化銀が塗られています。印画紙は光がたくさん当たったところが黒くなり、光が当たらなかったところが白くなります。ですから、ネガフィルムで引き伸ばしを行ったとき、ネガフィルムの黒い部分が印画紙上で白くなり、ネガフィルムの透明な部分が印画紙上で黒くなります。こうしてネガフィルムと反転した像が印画紙にできます。印画紙もフィルムの現像と同じように、現像、停止、定着、水洗、乾燥という作業が必要です。これで写真ができあがります。

Darkroom In Use

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