光学

2013年3月25日 (月)

図解入門レンズの基本と仕組み[第2版]-身近な現象と機器に学ぶ光学入門

図解入門よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第2版]

図解入門レンズの基本と仕組み[第2版]-身近な現象と機器に学ぶ光学入門

本書はレンズについて知りたいという人を対象に、光の性質から、レンズの基本的な仕組み、種類、収差や性能、眼鏡やカメラなど実際の機器でのレンズの使われ方を図表を使ってやさしく解説します。

【内容】

 カメラや天体望遠鏡には興味があるけど物理は苦手という人でも、レンズの基本について勉強できる本です。

 中学理科から高校物理で学ぶ光の基礎知識を取り上げながら、レンズについてわりやすく解説した本です。

単行本: 291ページ
出版社: 秀和システム; 第2版 (2013/03)
ISBN-10: 4798037354
ISBN-13: 978-4798037356
発売日: 2013/03

目次

はじめに

 21世紀の科学技術は「光の時代」と言われています。現在、光の先端技術を応用したものが、私たちの生活の中にたくさん入ってきています。

 光の技術があるところでは、必ずといってよいほどレンズが活躍しています。レンズはカメラや望遠鏡だけではなく、CD/DVDプレーヤーやコピー機、レーザープリンタをはじめとする、光を使った様々な製品に使われているのです。レンズは光技術の立役者であるといっても過言ではありません。

 本書の構成にあたっては、レンズの専門家ではない人や、物理は少し苦手と思っている人が、「レンズについて知りたい」「勉強したい」と思ったときに、どのような入門書があればよいのかを中心に考えました。

 レンズを勉強するためには、光の基本的な性質を理解しておく必要があります。なぜなら、光とレンズは切っても切れない間柄だからです。この本では、光の基本的な性質についても、ページをかなり割いて説明しました。本書で取り上げたものは、レンズを学ぶ上で必要となる知識です。そこで、本書1冊で光の基本からレンズの仕組みまでを理解できるように、あるいはレンズの専門書で行き詰まったとき、理解を助けるために読んで頂けるように心がけて、執筆を進めました。

 本書は2005年3月に第1版が発売されてから8年の歳月が経過し、ここに第2版を出版することになりました。改訂にあたっては、本書の基本的な主旨は踏襲し、読者の皆さんから頂いた質問や意見などを参考に、よりわかりやすい内容に仕上げることをめざしました。そのため、巻頭のカラー口絵のページや、新しい文章や図を加えて、第1版に比べて約50ページ増量しました。

読者の皆さんが、本書を手にすることによって、光とレンズに関する基本知識を身につけられ、本書がレンズ光学の専門書への橋渡しの役割を果たすことができたとしたならば、著者としてこれほど嬉しいことはありません。

 最後になりますが、本書の作成にあたっては、北海道理科サークルWisdom96の皆さんに、書き上げた文章を読んで意見を頂いたり、写真を提供して頂いたり、お世話になりました。この場を借りてお礼を申し上げます。

 そして、本書の編集作業を担当していただいた秀和システム第一出版編集部の皆さんにお礼を申し上げます。

第1章 レンズとは何か

  • 1-01 そもそもレンズとは?
  • 1-02 レンズの働きをするものを探してみよう
  • 1-03 レンズの歴史
  • コラム 世界最古のレンズ? ニムルドのレンズ
  • 1-04 望遠鏡と顕微鏡の歴史
  • 1-05 カメラの歴史
  • コラム 活動写真の発明

第2章 光の基本的な性質

  • 2-01 光はどのように進むのか① 光の直進性
  • コラム 鏡の歴史
  • 2-02 光はどのように進むのか② 光の反射と乱反射
  • 2-03 光はどのように進むのか③ 光の屈折と反射
  • コラム 光通信と光ファイバー
  • 2-04 光はどのように進むのか④ フェルマーの原理とスネルの法則
  • 2-05 光の分散
  • 2-06 光の回折と干渉
  • コラム シャボン玉でできる虹
  • 2-07 光が偏るとは?
  • 2-08 どうしてものが見えるのか
  • コラム 物体はどのようにして見えるのかを研究した人びと
  • 2-09 光と色の三原色
  • 2-10「光る」とはどのようなことか
  • 2-11 光の速度はどれぐらいか
  • コラム 光速の測定が光の波動説の完全勝利をもたらした
  • 2-12 光の正体は何か
  • 2-13 電磁波とは何か
  • 2-14 幾何光学と波動光学
  • コラム ナノテクノロジーとは

第3章 レンズの基本的な仕組みと働き

  • 3-01 影や像のできかた
  • 3-02 レンズの仕組みと働き
  • コラム 老眼鏡と近視眼鏡のレンズの種類を確かめる
  • 3-03 レンズの構成
  • 3-04 レンズを通る光の進みかた
  • 3-05 レンズでできる像
  • 3-06 レンズの式と倍率
  • 3-07 レンズの置き方
  • 3-08 2枚のレンズを通る光
  • 3-09 レンズの簡易な作図方法
  • コラム 平行光で凸レンズの焦点距離を求める
  • 3-10 凹面鏡と凸面鏡
  • コラム 凹面鏡を利用した太陽炉

第4章 レンズの分類

  • 4-01 レンズの基本的な分類のしかた
  • 4-02 表面で光を屈折するレンズ① 
  • 4-03 表面で光を屈折するレンズ② 
  • 4-04 表面屈折以外のレンズ
  • コラム 光を回折させてみよう
  • 4-05 レンズを作る材料
  • コラム ガラスはなぜ透明か
  • 4-06 光学ガラスの屈折率とアッベ数
  • 4-07 光学ガラスの分類
  • 4-08 ガラス以外の材料
  • 4-09 レンズのつくりかた
  • コラム 光学ガラスやレンズの製造工程を詳しく知りたい人は

第5章 レンズの収差と性能

  • 5-01 収差とは何か
  • 5-02 球面収差
  • 5-03 コマ収差と非点収差
  • 5-04 像面湾曲と歪曲収差
  • 5-05 軸上色収差と倍率色収差
  • 5-06 Fナンバー
  • 5-07 開口数NA
  • 5-08 絞りと瞳
  • 5-09 絞りの位置とテレセントリック
  • 5-10 焦点深度と被写界深度
  • 5-11 レンズの解像力と伝達関数MTF
  • コラム 偏心収差 レンズ製造やとりつけで生じる収差
  • 5-12 アッベの不変量とラグランジュの不変量
  • コラム レンズの設計

第6章 レンズを使った製品と技術

  • 6-01 光学系とは何か
  • 6-02 眼の働き
  • 6-03 眼鏡と眼の屈折異常① 
  • 6-04 眼鏡と眼の屈折異常② 
  • 6-05 コンタクトレンズの仕組み
  • コラム 昆虫の複眼の仕組み
  • 6-06 ルーペの仕組み
  • 6-07 顕微鏡の仕組み
  • 6-08 望遠鏡の仕組み
  • コラム 双眼鏡の仕組み
  • 6-09 カメラの仕組み
  • 6-10 CD-ROMとCD-ROMドライブの仕組み
  • 6-11 レーザープリンタの仕組み
  • 6-12 バーコードリーダーの仕組み
  • 6-13 半導体産業を支えるステッパーレンズ
  • 6-14 自然現象とレンズ

索引

参考文献

読者サポートサイト

http://lens.goryoukaku.com/

▼サンプルページ

巻頭口絵(抜粋)

Front

第1章 第1節 そもそもレンズとは

Page11

第2章 第3節 光はどのように進むのか③光の屈折と全反射

Page23

第3章 第4節 レンズを通る光の進みかた

Page34

第4章 第1節 レンズの基本的な分類のしかた

Page41

第5章 第2節 球面収差

Page52

第6章 第2節 目の働き

Page62

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2013年3月13日 (水)

環水平アーク

 雲が色づいて見える環水平アークという現象があります。これは大気中に浮遊した氷の粒で、太陽光が屈折し、水平な虹が見える現象です。

 写真の環水平アークは、2004年5月の連休に白神に登山に行ったときに撮影したものです。JR東日本五能線の白神岳登山口で仲間と合流したのですが、そのときに空に出ていました。

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2013年2月 3日 (日)

シリンドリカルレンズの原理と仕組み

 牛乳びんは円筒のような形をしていますが、水を入れると光を屈折します。次の写真のように、牛乳びんを縦置きにして文字を見ると、文字が左右がひっくり返って見えます。牛乳びんを横置きにして文字を見ると、文字の上下がひっくり返って見えます。

123a

 次の図のように円柱の側面の一部を切り出した形をしたレンズをシリンドリカルレンズといいます。シリンドリカルは「円柱状の」という意味です。普通の球面レンズはどこを切り出しても断面に曲面がありますが、シリンドリカルレンズは曲面をもつ断面と、曲面を持たない断面があります。

Photo

 球面レンズに入る光軸と平行な光はレンズのどの部分を通っても次の図の(A)のように焦点に集光しますが、シリンドリカルレンズの円柱面に入る光軸と平行な光は直線上に集光します。

Photo_2

 シリンドリカルレンズを使うと、次の写真のように直線上に並んだ細かい文字などを拡大して読み取ることができます。

131

 シリンドリカルレンズはレーザープリンター、コピー機、バーコードのスキャニング、ホログラフィー装置、レーザー投影機などに使われています。

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2012年8月30日 (木)

スペクトルとはなにか(1)

 1666年、イギリスの物理学者アイザック・ニュートンは太陽光をプリズムに通すと虹のような連続した光の色の帯が現れる現象を発見しました。このような現象が起こるのは、太陽光に含まれる可視光線がプリズムで屈折して、さまざまな色の光に分かれるからです。ニュートンはこの連続した光の色の帯のことをスペクトルと名付けました。

Prismnewton

 一般的に、スペクトルとは光の成分を波長の順に並べたもののことをいいます。光は波長によって分類することができますが、スペクトルも光の波長範囲によって可視スペクトル、赤外スペクトル、紫外スペクトル、X線スペクトルなどに分類されます。

ニュートンが発見した太陽光の光の色の帯は、太陽光に含まれる可視光線のスペクトルです。

Vislight

太陽光から出る光のスペクトルは次の図のようになります。これは、横軸を波長、縦軸を光の強度で表したスペクトルです。

Prismnewton

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2012年2月11日 (土)

乱視 眼の仕組み(5)

乱視と乱視の矯正

 乱視はものが二重に見えたり、方向によって見え方が違ったりします。乱視は角膜の縦方向と横方向で屈折力が違うために起こる屈折異常です。この乱視を正乱視といいます。

 正乱視では次の図のように像が2カ所で結ばれます。これはレンズの収差の非点収差と同じ現象です。乱視を矯正するには角膜の縦方向と横方向で屈折力を合わせる必要があります。そこで方向によって屈折力が異なるシリンドリカルレンズ(トロイダルレンズ)を使い、縦方向と横方向の像のできる位置をそろえます。

乱視と乱視の矯正

 乱視には角膜表面の凸凹によって起こる不正乱視があります。不正乱視はメガネで矯正できないため、コンタクトレンズを使います。コンタクトレンズと角膜の間に涙が入り込んで凸凹が解消され、乱視が矯正されます。

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2012年2月10日 (金)

老視 眼の仕組み(4)

老視と老視の矯正

 老視(老眼)で近くのものが見にくくなるのは、老化によって水晶体の調整能力が低下し、近点が遠くなるからです。このため老視の人が老眼鏡を使わずに本を読むときには、本を正視の近点より離さなければなりません。一方、老視では遠点は変わることがなく無限遠にありますから、遠くのものは裸眼でも良く見えます。近視と遠視は遠点が変わる眼の屈折異常ですが、老視は近点が変わる眼の屈折異常です。

 老視は水晶体の調整能力が低下しているため、次の図のように像が網膜の後側に結ばれてしまいます。そのため、老視の矯正には光を集める働きのある凸レンズを使います。どれぐらいの焦点距離の凸レンズが必要になるかは、老視の度数によって決まります。

老視と老視の矯正

遠近両用眼鏡の仕組み

 老眼鏡をかけると近点が近づきますが、同時に遠点も近づくため遠くが見えにくくなります。そのため、普通の単焦点レンズの老眼鏡は近くのものを見るときにだけ使います。遠近両用眼鏡はレンズの上側と下側で屈折率が違います。遠くを見るときはレンズの上側を使い、近くを見るときは視線を下げてレンズ下側を使ってものを見ます。遠近両用眼鏡には境目のある二重焦点レンズと境目のない累進屈折レンズがあります。

 一般に正視の人の遠近両用眼鏡は、レンズの上部には度が入っておらず、下部が凸レンズになっています。

二重焦点レンズと累進屈折レンズ

近視の人が老視になるとどうなるか

 一般的な近視の眼は水晶体が厚くなっているわけですから、眼の屈折力が正視の眼よりも強くなっています。ですから、近視の眼は近いところが良く見える眼といっても良いでしょう。

 近視の眼は近いところが見える分、遠いところが見えないので、眼鏡をかけて眼の屈折力を弱くする必要があるのですが、矯正された近視の眼の屈折力は正視の眼と同じようになります。

 ですから、眼鏡をかけた分、近点は遠くになりますので、裸眼よりも近くのものは見えにくくなります。このことは、新聞などを眼に近づけていき、どこまで文字が読めるかで確かめることができます。眼鏡をかけているときより、かけていないときの方が、新聞を眼に近づけることができます。もっとも、日常生活においては、眼の水晶体の厚さの調整がうまくできているうちは、眼鏡をかけていれば遠くのものも、近くのものも良く見えます。

 近視の人が老視になると、やはり近くのものが見えなくなります。しかし、近視はもととも近くのものが見えやすい眼なので、近くのものが見えにくくなるのがわかるのは、眼鏡をかけているときです。裸眼の状態では近くのものが良く見えるはずです。

 ですから、近視の人は近いところを見るだけならば、老眼鏡を必要としません。近くのものを見るときには、眼鏡を外せば良いのです。よく、眼鏡をおでこにあげて、新聞などを読んでいる人がいますが、近視の人は、それだけで近いところの文字が読めるようになるのです。

Image2_2

遠くも、近くも見えるようにしたいときには、遠近両用眼鏡をかけます。一般に近視の人の遠近両用眼鏡は上部が凹レンズで、レンズの下部には度が入っていません。

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2012年2月 9日 (木)

近視と遠視 眼の仕組み(3)

近視と近視の矯正

 近視は近くのものは良く見えますが、遠くのものがよく見えません。これは近視の遠点が無限遠になく眼の間近にあるからです。

 近視は次の図のように水晶体が最も薄い無調整の状態で、遠点より遠くからやってくる光を網膜の手前で結びます。そのため、網膜上で光が広がってしまうため、ものがぼやけて見えます。

 像を網膜に結ぶようにするためには、眼の屈折力を弱める必要があります。そこで、近視の矯正には、光を広げる働きをもつ凹レンズを使います。どれぐらいの焦点距離の凹レンズが必要になるかは、近視の度数によって決まります。

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遠視と遠視の矯正

 遠視は水晶体の厚さが無調整の状態でものがはっきりと見える遠点がありません。つまり、遠視は無限遠のものを見るときにも毛様体を緊張させ水晶体を厚くします。近くを見るときと同じように遠くを見るのが遠視です。たえず毛様体を緊張させているため、非常に疲れやすい眼です。

 遠視は次の図のように水晶体が最も薄い無調整の状態で、無限遠からやってくる光が網膜の後側で結ぶように進みます。そのため、ものがぼやけて見えません。

 像を網膜に結ぶようにするためには角膜と水晶体の屈折力を強めてやる必要があります。そこで光を集める働きをもつ凸レンズを使います。どれぐらいの焦点距離の凸レンズが必要になるかは、遠視の度数によって決まります。

5032

 近視には次の図の左側のように角膜と水晶体の屈折力が強すぎるために起こる屈折性近視と、眼の奥行き(眼軸)が長すぎるために起こる軸性近視があります。一般的には、軸性近視は遺伝によるもので、近視の多くは環境への適用による屈折性近視と考えられています。普段から近いところばかりを見ていると毛様体が緊張した状態が続き、水晶体が厚い状態から元の薄い状態に戻りにくくなり、やがて屈折性近視になると考えられています。また、成長の過程で眼球の大きさも変わりますが、近視が眼球の大きさの変化に関係するため、屈折性近視と軸性近視が併発するとも考えれています。

遠視にも角膜や水晶体の屈折力が不足しているために起こる屈折性遠視と眼の目の奥行き(眼軸)が短いために起こる軸性遠視があります。生まれたばかりの赤ちゃんは軸性遠視で、成長につれて眼球が大きくなり、やがて正視になります。遠視の多くは遺伝性の軸性遠視と言われています。

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2012年2月 8日 (水)

正常な眼の働き 眼の仕組み(2)

眼でピントが合う範囲

 眼でピントを合わせることができる最も近い点を近点、最も遠い点を遠点といいます。近点と遠点の範囲を明視域といいます。近点は20代で約10 cmですが加齢とともに長くなります。一方、正常な眼の遠点は無限遠にあります。

50201

 眼は近点より近いところにピントを合わることができません。成人の正常な眼でものがよく見える範囲は、個人差はありますが眼から25 cm以上離れたところです。この25 cmを明視の距離といいます。

遠くを見る眼と知覚を見る眼

眼が遠くのものを見ているときは、毛様体は弛緩しており、水晶体は無調整の状態で最も薄くなっています。近くのものを見るときには、毛様体が緊張し、水晶体が厚くなります。

次の図のように正常な眼は水晶体の厚さが無調整の状態で、無限遠にある物体からやってくる光を網膜上に結びます。このように無限遠からやってくる光を網膜上に結ぶことができる正常な状態の眼を正視といいます。

遠くのものを見ている眼

眼が遠くを見ている状態で、近くの物体からやってくる光は次の図のように網膜の後側で像を結ぶように届きます。ですから、遠くを見ているときには、近くの物体は良く見えません。

遠くを見ているとき、近くのものはよく見えない

 眼は近くのものを見るとき水晶体を厚くします。水晶体が厚くなると眼の屈折力が大きくなるため、次の図のように像を結ぶ位置が前側に移動し、像が網膜上に結びます。

近くのものを見ている眼

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    2012年2月 7日 (火)

    眼の構造と物体の見え方 眼の仕組み(1)

    眼のしくみ

     次の図はヒトの右眼の眼球を上から見たときの断面図です。眼球は鞏膜(強膜)に囲まれた構造をしており、屈折率約1.34のガラス体で満たされています。眼球の前方には透明な角膜と水晶体があります。角膜の直径は約12 mmで、屈折率は約1.38です。角膜と水晶体の間の眼房は屈折率が約1.34の眼房水で満たされています。水晶体は直径が約8 mm、屈折率が約1.4で凸レンズの形をしています。

    眼の構造

     眼に届いた光はまず角膜で大きく屈折して眼の中に入ります。このとき、虹彩は明るさによって瞳孔の大きさを変化させ、眼に入る光の量を調整します。瞳孔を通った光は眼房を通り抜けて水晶体に入り、網膜上に物体の像を結びます。

    毛様体と水晶体の働き

     眼は遠くのものや近くのものを見るときには、毛様体を伸縮して水晶体の厚さを調節し、網膜に像ができるようにします。水晶体で屈折した光はガラス体を通過し、網膜に像を結びます。

     次の図は遠方の鳥を見たときの眼に入る光の進み方と網膜にできる像の様子を示したものです。網膜には物体の倒立した像が映ります。

    50103

    近くの物体と遠くの物体の見え方

     景色を眺めているとき、近いところにあるものは大きく見え、遠いところにあるものは小さく見えます。図4は近くの物体と遠くの物体を見たときの様子を示したものです。物体OAと物体O’’Bの大きさは同じですが、眼からの距離が異なるため、眼に入ってくる光の角度が変わり、網膜にできる像の大きさが変わります。このように眼は物体の大きさを光がやってくる角度として捉えています。

    5014

    ものが見えるとは

     網膜に光があたると、網膜で感じた光の色や明るさなどの情報が視神経を通って脳へ伝わります。脳はその情報をもとに複雑な処理を行います。その結果、私たちは物体を見ることができるのです。

     物体が見えるというのは、網膜が物体の色や形を光の情報として感じ、脳がその光の情報をもとに物体の色や形や動きを認識するということです。この目と脳の働きがあって、私たちははじめて物体を見ることができるのです。

    Image18

     網膜できちんと物体をきちんととらえることができないと、物体を正確に見ることができません。近眼、遠視、老眼の人が物をよく見ることができないのは、眼のピントを調節する機能が低下しているために、物体の形を網膜で正確にとらえることができないからです。

     網膜で物体の形を正確にとらえることができないと、脳でも物体の形を正確に認識することはできません。逆に脳の働きのために、物体の形を正確にとらえることができないという例もあります。それが、いわゆる錯視です。

    錯視画像は本当に錯覚なのか検証してみた

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    2011年12月30日 (金)

    ガラスはなぜ透明なのか

    ■透明とは

     一般に透明とは物体が可視光線のほぼ全域の光、もしくは一部の光を透過して、物体の向う側が見通せる状態のことをいいます。例えば、無色透明のガラスは可視光線のほぼ全域の光を透過します。一方、色ガラスのように可視光線の一部の光しか透過しないものは透明ですが色づいて見えます。

     物体が透明であるためには物体の表面や内部で可視光線が散乱しないこと、そして可視光線が物体を構成する物質に吸収されずに透過することなどの条件が必要となります。例えば透明なガラスの表面に細かい傷を入れると、光が傷で散乱(乱反射)するため不透明な磨りガラスとなります。また、ガラスの内部に小さな微粒子をたくさん分散させると、光が微粒子で散乱するため不透明になります。

    ■ガラスが透明なのはどうしてだろう

     固体にはたくさんの原子や分子が規則正しく結合した結晶体と、不規則に結合して結晶を作らない非晶体があります。固体物質の多くは小さな単結晶がたくさん集まってできた多結晶体です。多結晶体には粒界と呼ばれる結晶の境目があります。粒界の大きさが光の波長と同じかそれ以上の場合、光が粒界で散乱するため不透明となります。一方、結晶を作らない非晶体は粒界がないため、光の散乱は起きません。

     ガラスは結晶構造をもたない非晶体です。主成分の二酸化ケイ素(SiO2)が網目状に結びついた構造をしており、その様子は固体というより液体に近い状態です。このような状態では粒界が存在しないため光は散乱しません。そして、最も重要なことは二酸化ケイ素が光を吸収しないということです。いくら非晶体でも物体を構成する物質が光を吸収する性質をもっていると無色透明にはなりません。

    1

     普通の板ガラスは無色透明に見えますが、ガラスの縁をよく見てみると緑色に見えます。これは板ガラスに含まれている不純物が光を吸収するからです。ガラスが薄い場合は吸収される光の量が少ないため無色透明に見えますが、ガラスが厚くなると吸収される光の量が増えるため色づいて見えるのです。次の写真は厚さ 1.5 cmのガラス1枚のとき(右側)と2枚重ねたとき(左側)の光の透過の様子を比較した写真です。2枚重ねた左側の方が暗くなっています。厚さが1 mにもなると真っ暗になって向う側が見えなくなります。

     光を遠くまで伝送する必要がある光ファイバーには石英ガラスが使われています。石英ガラスは極めて透明度が高く光の信号をほとんど減衰させることなく100 km以上先まで届けることが可能です。プラスチック製の光ファイバーは数十メートル先までしか光の信号を伝送することができません。

    ■透明なプラスチックや結晶

     熔融した液体を冷却したとき、ガラスと同様に結晶化せずに固まった状態をガラス状態といいます。プラスチックにもガラス状態のものがあります。身近な例ではスーパーやコンビニのポリエチレンというプラスチックでできた袋があります。この袋には透明なものと不透明なものがあります。透明なものはポリエチレンが結晶構造をとっていません。不透明なものは袋の強度をあげるためにポリエチレンを部分的に結晶化させています。また、アクリル樹脂の仲間は非晶質で透明度が高く眼鏡のレンズなどガラスの代わりに用いられることから有機ガラスと呼ばれることもあります。

     ダイヤモンドをはじめとする宝石の多くは結晶体です。これらの宝石はひとつの結晶からなる単結晶で粒界がありませんので光が散乱しません。ダイヤモンドや水晶は可視光線のほぼ全域の光を透過するため無色透明です。

     ガラスにもあえて結晶化させたものもあります。ナノテクノロジーを使って粒界を光の波長より小さくして透明にする工夫がされています。結晶構造をもちますので厳密にはガラスとは言えませんが結晶化ガラスと呼ばれています。結晶化ガラスの代表は耐熱ガラスです。調理器具や食器、耐熱性を要する建材やインテリア、液晶パネルやプラズマディスプレイに使われています。同様に多結晶のセラミックスを透明化した透光性セラミックスもあります。屈折率が高いのでレンズなどに使われています。

    ■光は無色透明の物質をすり抜けるだけなのか

     光が無色透明の物質を通り抜けるとき、光の速さが低下します。このことは、光がその物質と相互作用していることを意味しています。例えば、光がガラスを通過するとき、光はガラスの分子とぶつかります。このとき、ガラスの分子中の電子が光のエネルギーを受け取りますが、すぐに光を放出します。放出された光はとなりの電子に受け取られますが、その電子はまたすぐに光を放出するという過程が繰り返されます。このため光の速さが真空中より遅くなるのですが、光はガラスの中を伝播していきます。無色透明なガラスでは、可視光線全域の光が同じような状態となります。これが、光がガラスを伝わるしくみです。無色透明な物質では同じことが起きています。

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