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2012年7月 8日 (日)

水の中で眼が良く見えないのはどうして? 魚類の水晶体が球状なのは?

水中でものがぼやけて見えるのはどうして?

 水中眼鏡を使わずに水の中に潜ると、水中のものがぼやけて見えます。どうして、水中では眼が良く見えなくなるのでしょうか。

 次の図はヒトの眼球の断面図です。眼球は不透明な強膜に囲まれています。眼の前方には透明な角膜と水晶体があり、角膜と水晶体の間の眼房は透明な眼房水で満たされています。眼球の内部は透明なガラス体で満たされています。角膜の屈折率は約1.38、水晶体の屈折率は約1.4、眼房水の屈折率は約1.34、ガラス体の屈折率は約1.34です。

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 眼に届いた光はまず空気との境界に存在する角膜で大きく屈折して眼の中に入ります。眼は遠くのものや近くのものを見るときには、毛様体を伸縮して水晶体の厚さを調節し、網膜に像ができるようにします。水晶体で屈折した光はガラス体を通過し、網膜に像を結びます。

 空気中で、光が空気と角膜の境界で大きく屈折するのは、空気の屈折率約1.0と角膜の屈折率約1.38の差が大きいためです。

 一方、水中では、空気が水に変わります。水の屈折率は約1.33ですから、角膜の屈折率約1.38と近い値となり、屈折率の差が小さくなります。そのため、水と角膜の境界での光の屈折は、空気と角膜の境界よりもかなり小さくなります。

 角膜を通った光は眼房水を通り抜けて水晶体に入ります。ヒトの眼の水晶体は凸レンズの形をしていますが、水晶体の厚さの調整は空気中でものが良く見える範囲でしかできません。ですから、眼は光を十分に屈折することができないため、網膜に像をうまく結ぶことができません。

このとき、光は次の図のように網膜より後ろ側で像を結ぶようにやってきます。これは遠視の状態と同じです。そのため、水中ではものがぼやけて良く見えないのです。

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魚などの水中の生物はどうしてものが見えるのか?

 魚類や水生のほ乳類は、水中でものを良く見ることができます。魚類や水生ほ乳類は、ヒトと比べて、特段に屈折率の大きな角膜や水晶体を持っているわけではありません。生物の透明な細胞の屈折率は水の屈折率に近い値です。ですから、水中でのヒトの眼と同様に、光は水と角膜の境界で大きく屈折せずに、眼の中に入ります。

 ヒトの眼と魚類や水生のほ乳類の眼の大きな違いは、ヒトの眼の水晶体が凸レンズの形をしているのに対して、魚類や水生のほ乳類の水晶体が球形をしていることです。次の写真はマダラの水晶体ですが、球形をしていることがわかると思います。

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下記のサイトには、メバルの綺麗な水晶体の写真を見ることができます。

日常から正方形に切り抜く メバルポスター四部作
http://wisdom96.exblog.jp/16269194/

水晶体が球体をしていると、光は水晶体で大きく屈折します。そのため、魚類や水生ほ乳類の眼は、水中で光を網膜にうまく結ぶことができるのです。その代わり、魚類や水生ほ乳類の眼は水晶体の厚さを調整することができません。どのようにして網膜にピントを合わせているかというと、水晶体を前後に動かしているのです。

また、水晶体が球状をしているので、魚類や水生ほ乳類は空気中では光の屈折が大きすぎるため、極度の近眼の状態になります。

ただし、干潟で生活しているトビハゼなどは陸上の生活に適した薄い水晶体を持っています。

また、ヨツメウオという魚は水晶体の形が長円形をしています。この長円形の水晶体が眼の中で斜めに配置されており、上部と下部で光の屈折の大きさが異なるようになっています。そのため、上部で水上、下部で水中をよく見ることができます。イメージとしては、上下を反対にした遠近両用メガネをかけたような感じです。ヨツメウオの眼は水陸両用の水晶体を持っているのです。なお、ヨツメウオは眼を4つ持っているわけではありません。

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