« 頭部が透明な深海魚デメニギス | トップページ | 2012年5月21日は金環日食 »

2012年4月12日 (木)

ものが水に濡れるとなぜ色が濃く見えるか

物体の色と明るさ

色は、ものが反射する光の色で決まります。

Photo_4

一方、明るさは、ものが反射する光の量で決まります。たとえば、物体の色としての灰色は、白色光で照らされた物体がある程度の白色光を吸収・反射しているとき見える色です。灰色は物体が光を反射する量で決まります。光を反射する量が多いほど明るい灰色になり、少ないほど暗い灰色になります。

Photo

ですから、同じ色のものでも、光をたくさん反射すると、明るく見え、少ないと暗く見えます。

ものが水に濡れると、何が変わるのか

 雨の日に道路が濡れると、道路の色が濃くなります。これも、道路が濡れることにより、道路の表面で反射する光の量が少なくなるからです。

 湖などの水面がキラキラと輝いているところを見たことがあるでしょう。このような現象を見て、水は光を反射しやすいと思いがちですが、実は水が光を反射する量はそれほど多くありません。たとえば、ガラス板と水面に光を垂直に当てた場合、光の反射する割合はガラスで4%ぐらいですが、水面は2%です。多くの物体は水に濡れると、光の反射する量が少なくなるのです。

 一般に乾いた物体の表面は凸凹しているので、光は物体の表面であちこちに反射します。このような反射を乱反射といいます。一方、光が鏡のように平らな面で反射するときは、光は、ある方向に規則正しく反射します。このような反射を正反射といいます。

1

 私たちが物体の形や色をどの方向からも見ることができるのは、光が物体の表面で乱反射するからです。一方、光が平らな表面で反射する場合、物体は、光を反射する方向からはよく見えますが、それ以外の方向からは見えにくくなります。

3_2

 道路が水に濡れると、水が道路の表面の凸凹に入り込むため、道路の表面がいくぶん平らになります。すると、乱反射する光が少なり、そのぶん色が濃く見えるようになります。光が正反射する方向では、光の反射する量がいくぶん多くなります。このことは明るい昼間ではわかりずらいかもしれません。

次の写真は土砂降りの夜に道路を撮影したものです。ヘッドライトなどの光が映っているところは正反射が多く起きているところです。とても明るく見えていることがわかるでしょう。

Fi1764805_0e

 さて、紙や布が水を濡らすと、濡れた部分の色は濃くなりますが、この場合はどの方向からも濡れた部分の色は濃く見えます。光の乱反射が少なくなっているのは間違いありませんが、だからといって、光の正反射で、特定の方向に目で確認できるほど光がたくさん反射されているというわけでもなさそうです。

 紙や布は植物の繊維であるセルロースが複雑に絡み合ったものです。そして、絡み合ったセルロースの隙間はたくさんの空気を含んでいます。ですから、布や紙の表面は凸凹しており、そこに光があたると乱反射します。

 布や紙が水で濡れると、セルロースの隙間に水が入りこむため、凸凹が少なくなり乱反射が生じにくくなります。このとき、光は布や紙の表面で反射するよりも、むしろ布や紙の中に入り込み透過しやすくなります。

 このことは、色で染められていないセルロースでできている白いシャツや白い紙を水で濡らすとわかりやすいと思います。少しだけ水で濡らすと色が濃くなりますが、十分に濡らすと、染みこんで向こう側が透けて見えるようになります。

 これは次のような実験でも簡単に確認できます。

①ティッシュペーパーを机の上に置いて、真ん中あたりを水で濡らす。水で濡れた部分が濡れていない部分に比べて色が濃くなっていることを確認する

Sa3a0267

②そのティッシュペーパーを持ち上げて蛍光灯にかざしてみる。濡れた部分が透けていて、濡れた部分の色が明るく見えることがわかる。一方、水に濡れていないところは色が濃く見えます。

Sa3a0268

 ①や②のようになるのは、ティッシュペーパーの水で濡れた部分に当たった光は反射せずに通り抜けてしまうからです。

人気ブログランキングへ

関連記事

氷は透明なのに、かき氷はなぜ白いのか

|

« 頭部が透明な深海魚デメニギス | トップページ | 2012年5月21日は金環日食 »

色彩」カテゴリの記事

視覚」カテゴリの記事

コメント

初めまして。
まさにこの疑問を調べていたらこちらに辿り着き、大変わかりやすくて参考になる情報をありがとうございました。

ところで、読んでいてさらに疑問が生じたのですが、質問よろしいでしょうか?
この現象の要点は、「水自体の反射率が低いので光の反射量が減少」と「表面の凸凹が平らになることで乱反射が減少」ということだと思うのですが、後者の乱反射の減少は水によって反射する光に対して起こる現象なのでしょうか?
そして、もしそうだとすると、光の大半は水で反射せずに中に透過しており(本文に水の反射率は2%とありましたので)、結局その光が路面の凸凹で乱反射してしまうと考えました。つまり、前述の2点の影響を受ける光は僅かなものであり、濡れても反射量はさほど減らないのではないか?という疑問です。

また、もう一点あるのですが、試しに表面が凸凹した梨地仕上げの黒いプラスチックを濡らしたところ、濡れた部分がはっきりと色が濃くなりましたが、同じ梨地仕上げの白いプラスチックだと濡れても変化が僅かでした。
これは、白色は光の反射量が多いので水で濡れることによる反射量の減少の影響が少なく、且つ紙や布のように透過もしないから見た目があまり変わらないということなのでしょうか?

お手数ですが、宜しくお願い致します。

投稿: hakuto | 2013年8月21日 (水) 14時30分

コメントありがとうございます。
物体の表面で光が反射するとき、物体の表面が凸凹していると、光は乱反射して四方八方に跳ね返ります。ですから、どこから見てもほぼ同じ明るさに見えます。一方、表面が平らになると、光の反射は正反射となります。光の反射に指向性が出るため、物体を見る場所によって、明るく見えるところと、暗く見えるところができます。

濡れた部分が暗く(濃く)見えているとき、方向によっては、明るく見えているところもあるはずですので、確認してみてください。光源からの光を斜めに当てるとわかりやすと思います。

投稿: 光と色と | 2013年8月26日 (月) 12時24分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1255676/44851394

この記事へのトラックバック一覧です: ものが水に濡れるとなぜ色が濃く見えるか:

« 頭部が透明な深海魚デメニギス | トップページ | 2012年5月21日は金環日食 »