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2012年3月29日 (木)

視覚が生じる仕組み 色が見える仕組み(3)

錐体細胞と桿体細胞

 私たちの眼の網膜の奥には、光を感じることができる視細胞があります。視細胞には、暗い光にも反応するが色を識別できない桿体細胞(杆体細胞)と、明るい光にしか反応しないが色を識別できる錐体細胞があります。錐体細胞は黄斑部を中心に分布しています。桿体細胞は錐体細胞よりも数が多く、主に網膜の周辺部にたくさん分布しています。眼はこの2種類の視細胞によって、網膜に結んだ物体の像の明暗や色や形をとらえます。

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光による桿体細胞の刺激

 桿体細胞に含まれる視物質はロドプシンといい、オプシンというタンパク質とビタミンAであるレチナールが結びついた構造をしています。オプシンと結合しているレチナールは次の図の上の構造をしていますが、光を受けると下の構造になります。

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 レチナールの構造が変化すると、レチナールとオプシンの結合が切れます。ロドプシンの構造が光で変化するのは可視光線が分子の電子エネルギー状態を変化させるからです。

 この光によるロドプシンの構造の変化が桿体細胞の刺激です。この刺激が視神経を通って脳に伝わり、その結果、視覚が生じます。なお、オプシンと結合が切れたトランス型のレチナールは暗所でシス型のレチナールに戻り、オプシンと再結合します。また、レチナールは食べ物から摂取されるビタミンAから作られます。ビタミンAが不足すると暗所でものがよく見えなくなる(夜盲症)のはロドプシンが合成されにくくなるからです。

光による錐体細胞の刺激

 色を感じることができる錐体細胞に含まれる視物質はヨドプシンといいます。ヨドプシンもレチナールとオプシンが結びついた構造をしていますが、ロドプシンのオプシンとは構造が異なります。このオプシンの構造の違いにより、ヨドプシンは赤・緑・青の光を感じることができます。

 そのため、錐体には、赤錐体(L錐体)・緑錐体(M錐体)・青錐体(S錐体)とよばれる3種類の細胞があります。この3種類の錐体は、それぞれ約560 nm、約530 nm、約430 nmを中心にある程度の幅をもつ波長範囲の光を感じることができます。

 次の図は錐体細胞と桿体細胞の感度曲線です。

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明順応と暗順応

 暗いところから急に明るいところに出ると、まぶしく感じますが、やがて眼が慣れると、ものが見えるようになります。これは明るいところで桿体細胞のロドプシンの分解が促進され、桿体細胞が激しく刺激されるからです。時間がたつとロドプシンが減少し、錐体細胞も働くようになり、ものがよく見えるようになります。これを明順応といいます。

 一方、明るいところから急に暗いところに入ると、眼が慣れるまで、ものがよく見えません。明るいところで桿体細胞のロドプシンの分解が促進されている状態で、急に暗いところに入ると、ロドプシンの再合成が間に合わなくなります。時間がたつとロドプシンの再合成が行われて、桿体細胞が働き出し、ものが見えるようになります。これを暗順応といいます。

いろいろな色が見えるのはどうしてか

 色が見えるのは主に錐体細胞の働きによるものです。3種類の錐体細胞の刺激の度合いは、目に入ってくる光によって決まります。それぞれの錐体細胞が受けた刺激は、視神経を通って脳に送られます。脳は3種類の錐体細胞が受け取った刺激の割合から何色なのかを判断します。

 たとえば、人間の目には黄色い光に対応する錐体細胞がありませんが、私たちは黄色を見ることができます。黄色い光を受けると、赤と緑の錐体が刺激を受けます。すると、脳はその光が黄色であると判断します。黄色以外の中間色も同様にして色を判断します。つまり、私たちは赤(R)・緑(G)・青(B)の光を主に感じる3つのセンサーで色を見ているのです。

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 私たちが認識している色は、私たち人間の視覚に密接に関係しています。昆虫には、赤い色を見ることができないものや、紫外線が見えるものがいます。鳥は錐体を4種類持っており、人間よりも色を識別する能力が高いと考えられています。逆に、イヌやネコは錐体を2種類しか持っていないため、人間と比べると色を識別する能力は低いと言えるでしょう。

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