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2012年3月

2012年3月30日 (金)

色の基準は太陽光 色が見える仕組み(5)

色の基準を決める光は太陽光

 私たち人間の視覚は太陽光のもとで発達してきました。ですから、太陽光は人間にとって最も自然で理想的な光であり、太陽は私たちが見ている色の基準となる光源です。

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 太陽から地球にやってくる電磁波は地球の大気で散乱・吸収されます。例えば、人体に有害な放射線は大気で吸収され、ほとんど地表に届きません。紫外線・赤外線も大気で吸収され、その一部しか地表に届きません。可視光線は大気で散乱・吸収されますが、すべての波長領域の光が地表に届きます。このように大気は太陽光に対してフィルターのような働きをしています。多くの生物の視覚は主に大気のフィルターを通り抜けてきた可視光線に適応しながら進化してきたのです。

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標準の光

 物体の色は物体を照らし出す光によって色が違って見えます。太陽光、白熱電灯、蛍光灯のもとでは、同じ色でもわずかに違う色に見えます。

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 色を厳密に定義するためには、光源を特定する必要があります。そこで、私たち人間の視覚にとって理想的な太陽光をもとに、「標準の光」が定められています。

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 その中でも色を定義する光として、D65が基準とされています。D65は紫外線を含む昼間の太陽光で照らされた物体の色を測定するために用いられる標準の光です。D65に紫外線が含まれているのは、物体の中には紫外線が当たると蛍光を発するものがあるからです。現在、D65の標準の光を忠実に再現する光源はありませんが、D65の標準の光に近い光源が標準光源として使われています。

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色とはなんだろう 色が見える仕組み(4)

光源の色と物体の色

私たちが色を見ることができるのは、光源を見るときか、光で照らし出された物体を見るときです。

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 光源を見ているときは、光源から出た光が直接眼に入りますから、光源から出る光が決まれば、眼で見える色が決まります。例えば、波長660 nmの光を出す光源は赤色に見えます。

 一方、物体の色は太陽などの光源から物体に届いた光のうち、物体が吸収せずに反射した光の色です。

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Photo_6 光源が太陽の場合、赤いリンゴは太陽光のうち青緑系の波長の色の光を吸収し、太陽光から青緑系の光を欠いた光を反射します。その反射した光が私たちに赤く見えるのです。赤いリンゴに青緑系の光のみを当てると、反射する光がありませんからリンゴは黒っぽく見えます。

 黄色いバナナは太陽光のうち青系の波長の光を吸収し、太陽光から青系の光を欠いた光を反射します。黄色いバナナに青色系の光のみを当てると、黒っぽく見えます。

 このように、私たちが見ている物体の色は「光源の光」と「物体が吸収・反射する光」で決まります。赤いリンゴや黄色いバナナは、昼間の太陽光のもとでは赤色や黄色ですが、光源が変われば見える色も変わります。私たちは普段何も気にすることなく「リンゴは赤色」「バナナは黄色」と考えていますが、私たちが考えている物体の色は暗黙の了解で光源が昼間の太陽になっているのです。

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2012年3月29日 (木)

視覚が生じる仕組み 色が見える仕組み(3)

錐体細胞と桿体細胞

 私たちの眼の網膜の奥には、光を感じることができる視細胞があります。視細胞には、暗い光にも反応するが色を識別できない桿体細胞(杆体細胞)と、明るい光にしか反応しないが色を識別できる錐体細胞があります。錐体細胞は黄斑部を中心に分布しています。桿体細胞は錐体細胞よりも数が多く、主に網膜の周辺部にたくさん分布しています。眼はこの2種類の視細胞によって、網膜に結んだ物体の像の明暗や色や形をとらえます。

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光による桿体細胞の刺激

 桿体細胞に含まれる視物質はロドプシンといい、オプシンというタンパク質とビタミンAであるレチナールが結びついた構造をしています。オプシンと結合しているレチナールは次の図の上の構造をしていますが、光を受けると下の構造になります。

Photo_2

 レチナールの構造が変化すると、レチナールとオプシンの結合が切れます。ロドプシンの構造が光で変化するのは可視光線が分子の電子エネルギー状態を変化させるからです。

 この光によるロドプシンの構造の変化が桿体細胞の刺激です。この刺激が視神経を通って脳に伝わり、その結果、視覚が生じます。なお、オプシンと結合が切れたトランス型のレチナールは暗所でシス型のレチナールに戻り、オプシンと再結合します。また、レチナールは食べ物から摂取されるビタミンAから作られます。ビタミンAが不足すると暗所でものがよく見えなくなる(夜盲症)のはロドプシンが合成されにくくなるからです。

光による錐体細胞の刺激

 色を感じることができる錐体細胞に含まれる視物質はヨドプシンといいます。ヨドプシンもレチナールとオプシンが結びついた構造をしていますが、ロドプシンのオプシンとは構造が異なります。このオプシンの構造の違いにより、ヨドプシンは赤・緑・青の光を感じることができます。

 そのため、錐体には、赤錐体(L錐体)・緑錐体(M錐体)・青錐体(S錐体)とよばれる3種類の細胞があります。この3種類の錐体は、それぞれ約560 nm、約530 nm、約430 nmを中心にある程度の幅をもつ波長範囲の光を感じることができます。

 次の図は錐体細胞と桿体細胞の感度曲線です。

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明順応と暗順応

 暗いところから急に明るいところに出ると、まぶしく感じますが、やがて眼が慣れると、ものが見えるようになります。これは明るいところで桿体細胞のロドプシンの分解が促進され、桿体細胞が激しく刺激されるからです。時間がたつとロドプシンが減少し、錐体細胞も働くようになり、ものがよく見えるようになります。これを明順応といいます。

 一方、明るいところから急に暗いところに入ると、眼が慣れるまで、ものがよく見えません。明るいところで桿体細胞のロドプシンの分解が促進されている状態で、急に暗いところに入ると、ロドプシンの再合成が間に合わなくなります。時間がたつとロドプシンの再合成が行われて、桿体細胞が働き出し、ものが見えるようになります。これを暗順応といいます。

いろいろな色が見えるのはどうしてか

 色が見えるのは主に錐体細胞の働きによるものです。3種類の錐体細胞の刺激の度合いは、目に入ってくる光によって決まります。それぞれの錐体細胞が受けた刺激は、視神経を通って脳に送られます。脳は3種類の錐体細胞が受け取った刺激の割合から何色なのかを判断します。

 たとえば、人間の目には黄色い光に対応する錐体細胞がありませんが、私たちは黄色を見ることができます。黄色い光を受けると、赤と緑の錐体が刺激を受けます。すると、脳はその光が黄色であると判断します。黄色以外の中間色も同様にして色を判断します。つまり、私たちは赤(R)・緑(G)・青(B)の光を主に感じる3つのセンサーで色を見ているのです。

Photo_3

 私たちが認識している色は、私たち人間の視覚に密接に関係しています。昆虫には、赤い色を見ることができないものや、紫外線が見えるものがいます。鳥は錐体を4種類持っており、人間よりも色を識別する能力が高いと考えられています。逆に、イヌやネコは錐体を2種類しか持っていないため、人間と比べると色を識別する能力は低いと言えるでしょう。

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2012年3月28日 (水)

光に色はついているのか 色が見える仕組み(2)

レーザー光線はなぜ見えるのか

 プリズムで虹色の帯を作ったニュートンは、「光そのものには色はついていないが、光には人間の視覚に色の感覚を引き起こす能力がある」と述べています。光には色はついていないのでしょうか。

 理科の実験で光の進む道筋を調べるとき、赤色や緑色のレーザポインタを使って光線を観察することが多いでしょう。レーザポインタの光線が色づいて見えるのは、光が空気中のホコリやチリなどの微粒子で散乱し、その散乱した光が目に入るからです。煙などを使うと光線がはっきりと見えるようになるのは、空気中にたくさんの微粒子が漂っているからです。

Coloroflight_2

 つまり、私たちは光線そのものを見ているのではなく、光に照らし出されて色づいた微粒子を見ているのです。ですから、まったく微粒子が存在しない空気中や真空中では、私たちはレーザポインタの光線を見ることができません。

 私たちが色を見ることができるのは、光源の物体を見るときか、光で照らし出された物体を見るときです。すなわち、光が眼に入ったときにだけ、私たちは色を見ることができます。私たちが見る色は、眼に入ってくる光の波長(振動数)によって決まりますが、光そのものに色がついているわけではありません。色は光そのものの物理学的な性質ではなく、光を見る側の人間の生理学的な現象として生じるのです。

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2012年3月26日 (月)

どれが本物? Optical illusion with printer

どれかが本物の立体で、それ以外はプリンターで印刷した絵なのです。

見る角度によるのですが、どれも本物に見えますね。

samsung printers optical illusion ibelieveinadv.com

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2012年3月22日 (木)

全日本中学高校Webコンテスト 函館中部高校が「光と色の不思議な世界」で金賞

 第14回全日本中学高校Webコンテスト(学校インターネット教育推進協会主催)で北海道函館中部高校のパソコン研究部が高校生の部で金賞を受賞しました。

 函館中部高校のパソコン研究部が作成したWebサイトは、光と色の不思議な現象などについて解説した光と色の不思議な世界というサイトです。

Lightcolor

 実はこの中部高校のWebサイトの取り組みには個人的にも思があります。というのは、当ブログ管理人が編者として2001年に出版した「光と色の100不思議(東京書籍)」の読者サポートサイト光と色の100不思議で、光と色の実験室という中部高校のサイトにリンクを貼らせて頂いていておりました。もちろん、その光と色の実験室というサイトを作った高校生は既に立派な成人になっていると思いますが、その活動がずっと続いているのだなと考えると感慨深いものがあります。

ということで個人的にも嬉しいニュースでした。

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光る寿司 遺伝子組み換えでバイオルミネッセンス

ROCKET NEWS 24 より

米国で「光る寿司」というのが話題になっているそうです。

この見出しを見て、自分は直感的に次のような「光る氷」のように寿司にLEDでも仕込んだのかなと思いましたが、予想はまったく外れていました。

光る氷

 「光る氷」は氷の形をした透明プラスチックの中にLEDを仕込んだものです。グラスに氷と一緒にグラスに入れるなどすると、光るウィスキーなどを作ることができます。

 「光る寿司」も何かそのような仕掛けなのかなと思ったのですが、まったく違うものでバイオルミネッセンス(生物発光)を利用したものでした。

 しかも、ネタに使われている魚はホタルイカなどのように自然に存在する生物ではなく、ゼブラフィッシュという熱帯魚を遺伝子操作で光るようにしたグローフィッシュと名付けられた魚のようです。

 このグローフィッシュは元々は環境汚染のモニタリングに作られた魚のようで、河川が汚れると光を出すように作られたそうです。光を出すという特徴から観賞用の熱帯魚としても人気があったようです。

 「光る寿司」というのはこのグローフィッシュを寿司ネタにして食べてしまおうという発想です。面白そうですが、食べたくないなというのが感想です。

Glowing Sushi Cooking Show Trailer

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2012年3月19日 (月)

書籍版エンサイクロペディア・ブリタニカの出版が終了

 エンサイクロペディア・ブリタニカ(ブリタニカ百科事典)の書籍版の販売が終了し、電子版に全面移行するそうです。

 エンサイクロペディア・ブリタニカは1768年に英国のエディンバラで発行された244年の歴史をもつ百科事典です。当時の有名な科学者が執筆者として名をつらねています。たとえば、電磁波の存在を予言したジェームス・クラーク・マクスウェルは、光の波を伝える媒質と考えられていたエーテルについて第8版で次のように解説しています。

Aethers were invented for the planets to swim in, to constitute electric atmospheres and magnetic effluvia, to convey sensations from one part of our bodies to another, and so on, until all space had been filled three or four times over with aethers.... The only aether which has survived is that which was invented by Huygens to explain the propagation of light.

 エンサイクロペディア・ブリタニカは1897年に版権が米国人に売られて以降は米国で出版されるようになりました。これまでは2年おきに販売されてきましたが、書籍版としては2010年に販売された第15版(全32巻、1400ドル)が最終版となります。在庫がなくなり次第、販売中止となるようです。

 なお、1911年の第11版は米国での著作権の保護期間が満了したことにより、パブリックドメインになっています。アインシュタインなどの著名な科学者が執筆者として名をつらねています。下記のサイトでbritannicaで検索すると見つけることができます。

Project Gutenberg
http://www.gutenberg.org/

なお、エンサイクロペディア・ブリタニカのオンライン版は次で利用することができます。

Encyclopedia - Britannica Online Encyclopedia
http://www.britannica.com/

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2012年3月17日 (土)

波はどのように伝わるのか エーテルのお話(1)

波の伝播には媒質が必要

 静かな水の上に石を落とすと、波紋が広がっていきます。このとき、水面に木の葉を浮かべると、木の葉はその場で揺れているだけです。すなわち、波を伝える媒質である水は、波と一緒に移動するわけではありません。

 次の映像は川の水面の波の様子を撮影したものです。水面に浮いているものが波と一緒に移動していないことがわかります。

 ギターの弦を弾くと、弦が振動して音が出ます。また、太鼓を叩くと、太鼓の皮が振動して音が出ます。ギターの弦や太鼓の皮から出るのは音波です。このように音が出ているものは振動しています。ものが振動すると、ものの周りにある空気に圧力の変化が生じて、その圧力の変化が空気を伝わっていきます。これが音波です。

 実際に音波が伝わる様子を太鼓を例に考えてみましょう。太鼓の皮が振動して、空気が押されたとき、空気は縮められて密となり、圧力が高くなります。空気が引かれたとき、空気は粗くなり、圧力が低くなります。そして、ものの振動が空気の振動として、空気中を伝わっていきます。その空気の振動、つまり音波が耳の奥にある鼓膜を振動させると、音が聞こえます。

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 さて、音は真空中では聞こえませんが、これは媒質となる空気がないため、音波が伝わらないからです。次の図のように、アラーム音が鳴っている時計とワイヤレスマイクを容器に入れます。 容器の外側にはワイヤレスマイクの音を受信するためのラジオを置きます。容器中に空気が満たされているとき、アラーム音は容器中の空気の振動をさせてワイヤレスマイクに伝わります。Photo そのため、ラジオからアラーム音が聞こえます。容器中の空気を真空ポンプで抜いていくと、アラーム音が小さくなり、やがて聞こえなくなります。容器中の空気が少なくなると、アラーム音の振動が伝わりにくくなります。空気がまったくない真空になると、振動を伝えるものがなくなるのでアラーム音が聞こえなくなります。ですから、空気がない宇宙空間では、音は伝わりません。

 このように波が伝わるためには、媒質が必要となります。媒質が振動して波の形を作り、波を伝えていきます。

光の波は何を伝わるのか

 19世紀のはじめにトマス・ヤングが行った光の干渉の実験で、光の正体は波であることが示されました。その後も、オーギュスタン・ジャン・フレネルの偏光の実験など、光が波であること示す実験結果がたくさん出てきました。

 夜空の星が輝いて見えることからもわかるとおり、光は宇宙の遙か彼方から伝わってきます。光は真空中も平気で伝わることができるのです。波が伝わるには媒質が必要なはずです。いったい光の波は何を媒質として空間を伝わるのでしょうか。

 古くから科学者たちは、空間は光の波を伝える媒質となるもので満たされていると考えていました。そして、その媒質となるもののことをエーテルと名付けました。エーテルの語源はギリシャ語のアイテールで、古代ギリシャのアリストテレスはアイテールは天空を満たす元素であり、天体が円運動するのはエーテルの回転によるものと考えました。

 物理学にエーテルの概念を導入したのは、フランスの自然哲学者デカルトです。彼は1644年の著作「哲学原理」で、宇宙は無限の広さをもち、真空の空間は存在しないと述べています。そして、宇宙空間はエーテルの微粒子で満ちあふれ、エーテルが渦のように動いているため、天体が回転運動をしているのだという渦動説を唱えました。たとえば、惑星が太陽のまわりを同一平面上で同じ方向に回転運動するのは、エーテルが、水面に生じた渦のように、太陽を中心に渦を巻いて回転しているからだと説きました。

 デカルトは渦動説を物体の運動についても適用しています。たとえば、物体が落下は、渦が生じた水面に浮かべた木片が渦の中心に引き込まれる現象と同じであると考え、物体の落下は地球を中心としたエーテルの渦の動きによるものと説いています。

 このように、デカルトは、物体の運動を空間を満たすエーテルによる近接作用で説明しようと試みました。そして、物体の移動だけではなく、力や光もエーテルを媒質して伝わると考えました。デカルトの渦動説は誤った理論でしたが、力や光が遠隔作用ではなく、近接作用で伝わるという考えは的を射ていたと言えるでしょう。

 デカルトの説はその後も多くの科学者によって支持されました。たとえば、光の波動説を主張したホイヘンスも光を伝える媒質はエーテルであるとしています。

波が媒質を伝わる速さ

 一般に波が伝わる速さは媒質の弾性が大きいほど、大きくなります。弾性というのは、物質に力を加えて変形させたときに、元の形に戻る性質のことをいいます。

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物質に力を加えて変形させるということは、物質を構成する原子や分子などの粒子の結合を変形させようとすることです。ですから、弾性の大きい物質は物質を構成する粒子の結合が強く、力を加えて変形しても元の形にすぐ戻りやすいことになります。弾性というとゴムなどを思い出すかもしれませんが、弾性そのものはガラスや金属の方が大きいのです。

 波は媒質の変形が伝わっていくので、弾性の大きい媒質の方が速く伝わります。ですから、たとえば、音波は空気中よりも液体中の方が、液体中よりも固体中の方が、同じ固体では、より弾性の大きい硬い固体中の方が速く伝わります。

 また、波は媒質の慣性が大きいほど伝わりにくいという性質があります。これは、物質に力を加えて動かそうとするとき、質量が大きな物質ほど動かしにくいのと同じです。媒質を構成する粒子の質量が大きいほど、粒子が変形しにくくなるので、波が伝わりにくくなります。

 このことから、波の速さは媒質の弾性の性質が大きいほど、また、媒質を構成する粒子の質量が小さいほど大きいということになります。

 これを光の波とエーテルとの関係にあてはめてみましょう。光速は非常に大きな値ですから、エーテルの弾性はものすごく大きいことになります。また、エーテルの質量は非常に小さいことになります。これをひとことで言うと、エーテルは硬くて希薄であるということになります。弾性の大きいエーテルが掴み所のないほど希薄であるはずがありません。

 光の波はフレネルなどによる方解石による複屈折の研究によって、縦波ではなく、横波であることがわかりました。光が横波であることは、光速とエーテルの関係の矛盾をさらに浮き彫りにしました。

 横波は波の進行方向に対して媒質が垂直に振動し、その垂直の振動が波の進行方向に伝わっていく現象です。物質の変形が、変形の方向に直角に伝わっていくためには、媒質を構成する粒子同士の結びつきが強くなければなりません。ですから、粒子同士の結びつきが弱い気体や液体は、横波を伝えることはできません。そのため、一般に横波を伝える媒質は固体となります。つまり、横波である光を伝えるエーテは固体のようにエーテル同士が強く結びついていなければなりません。しかし、空間が固体のようなエーテルで満たされているという結論は受け入れがたいものです。

 フレネルはこのようなことから、エーテルはデカルトのように流動的なものではなく、固定的なものであると考えました。このフレネルの固定的なエーテルの考えは多くの学者に支持されました。エーテルが固定的なものであえば、エーテルを基準とした空間の絶対座標を知ることができると考えられるようになりました。

 19世紀、エーテルは発見されていませんでしたが、光が波である以上、光の波を伝える媒質は必ず存在すると考えられていまいた。科学・技術が発展すれば、そのうちエーテルを発見することができるだろうというのが、当時の科学者たちの常識でした。

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2012年3月16日 (金)

凹レンズの焦点距離を求める方法

凸レンズの焦点距離を求める方法

凸レンズの焦点距離 凸レンズの焦点は、凸レンズに入る光軸に平行な光線が凸レンズを出た後に1点に集まる位置です。ですから、凸レンズの焦点距離は簡単に求めることができます。

 凸レンズの焦点距離を求めるもっとも簡便な方法は、太陽を利用する方法です。右の図のように、太陽光をレンズで集め、太陽光が集まる部分が最も小さくなるところを調べ、レンズからの距離を測ります。その距離が焦点距離となります。

凹レンズの焦点距離を求める方法

 凹レンズの場合は、凸レンズのような方法では焦点距離を求めることはできません。なぜなら、凹レンズに入る光軸に平行な光線は凹レンズを出た後に発散してしまうからです。次の図は凹レンズを通る光の進み方を示したものです。

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  1. 凹レンズの光軸に平行な光は後側焦点から直進してきた光のように進む
  2. 凹レンズの主点を通る光はそのまま直進する
  3. 凹レンズの前側焦点に向かう光は光軸に平行に進む

 

 焦点の位置がわからない凹レンズの焦点距離を求めるというと、何か難しそうな感じがしますが、実は上の図で①の平行光線を使うと簡単に求めることができます。

 具体的にどのようにするかというと、凹レンズの光軸から高さhの位置に平行光線を入れます。その光は凹レンズを出た後に広がりますが、その光線が2hの高さになるところにスクリーンを置きます。凹レンズの中心からスクリーンまでの距離が、その凹レンズの焦点距離ということになります。これを図に示すと、次のようになります。

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 この実験で一番難しいのは、凹レンズの中心と光軸の位置を決めることでしょう。

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2012年3月15日 (木)

遠近法を利用した錯視の図

私たちは日常の経験から、同じ大きさのものでも、遠くにあるときは、近くにあるときより、小さく見えることを知っています。その日常の経験がもたらすのが、遠近法に関わる錯視です。

次の図はまさに遠近法を利用した錯視の図なのですが、違う大きさに見えているのに、実は同じ大きさのものがあります。何と何が同じ大きさなのでしょうか?

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2012年3月14日 (水)

いったいどうなってる? Crazy Wire Illusion!

コイル状の針金を2本絡めて、それをくるくると回しながら引っ張っているのですが、2本の針金がいっこうに離れません。どうなっているのでしょう???

ワイヤー以上に頭がこんがらがります!

Crazy Wire Illusion!

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2012年3月12日 (月)

月齢19の月

久しぶりに月を撮影してみました。3月12日の夜中に撮影したものです。

Moon

オリンパスSP-590UZで撮影しました。

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2012年3月11日 (日)

マイケル・ファラデーによる電磁誘導の発見(3)

電気力と磁気力はどのように伝わるのか

 ファラデーが電磁誘導を発見した当時、多くの科学者たちは、電磁相互作用における電気力や磁気力は遠隔作用によって働く力であると考えていました。遠隔作用とは、空間を隔てた物体と物体の間に働く力が、物体間の空間に変化も及ぼすことはなく直接的かつ瞬間的に伝わる作用のことです。たとえば、ニュートンが発見した万有引力なども遠隔作用で伝わると考えられていました。

 しかし、ファラデーは、電気力線や磁気力線という概念を用いて、電気力や磁気力は近接作用で働く力であると唱えました。近接作用は、物体と物体の間に働く力が、物体間に存在する媒質の変化を介して間接的かつ有限の速さで伝わる作用のことです。

 電磁誘導の実験結果から、電界の変化が磁界の変化を生じ、磁界の変化が電界の変化を生じることを明らかにした彼は、電気や磁気は媒質を伝わって周囲に影響を及ぼすと考え、1837年に電磁場の近接作用を唱え、遠隔作用を否定したのです。

光と電磁気には関係があるのか

 ファラデーは当時の研究論文で、『物質のいろいろな「力」の現象は、ひとつの共通の起源をもつ』、『物質のいろいろな「力」の現象は、お互いに関係・依存しあっているため、相互に変換でき、その作用の大きさは等しい』と述べています。彼が言うところの「力」は、現在の科学用語で言えばエネルギーのことです。つまり、彼はエネルギー保存の法則に言及していたのです。そして、彼は、さまざまな「力」の現象の関係を解き明かすことができるのではないかと考えていたのです。

 ファラデーが活躍していた頃、光の正体は波であることがわかっていました。光が波であるならば、光も近接作用で伝わることになります。彼は、電気と磁気が相互作用するように、光も電気や磁気と相互作用するのではないかと考え、光と電磁気の関係を調べる研究に取り組みました。

 当時、光は進行方向と垂直な方向に振動する横波であることが知られていました。太陽や電灯などの普通の光を自然光といいますが、自然光にはさまざまな面で振動する光の波が均等に含まれています。

偏光

 自然光が、ガラスや水面で反射したり、方解石の結晶や偏光板を透過したりすると、光が偏光してひとつの平面でしか振動しなくなります。次の図は自然光を偏光板に通したときの様子を示したものです。

偏光板を通る光

 ファラデーは光と電磁気の関係を調べるうえで、光の偏光に着目しました。そして、偏光に電気をかけると、光の振動面が変化して、光の波がねじ曲げられるかどうかを確認する実験を行いました。

 彼の実験装置は、両端に電極を取り付けた細長い入れ物に導電性の溶液を入れ、電極を電池に接続したものでした。そして、光をガラス板で反射させることによって作った偏光を、電気が流れている溶液に通し、偏光の振動面が次の図のように回転するかどうかを確認しました。

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 彼は電気を連続的に流したり、断続的に流したりして、電界の状態を変化させてみました。また、光を通す溶液を変えたり、電流と光の向きを変えたりするなど、条件をいろいろと変えて実験を行いました。しかし、彼の予想に反して、電界が光に影響を与えることを示す結果は得られなかったのです。

磁気と光の関係を調べる

 光と電気の関係を見いだすことができなかったファラデーは、次に光と磁気の関係を調べることにしました。

 彼は強力な電磁石のN極とS極の間に偏光を通し、磁界が偏光の振動面を回転させるかどうかを確認しました。しかし、電界の場合と同様に、磁界が光に影響を与えることを示す結果は得られませんでした。

 そこで、彼は電極の間に光学実験用の鉛ガラスを置き、鉛ガラスに偏光を通してみました。すると、電磁石のスイッチをオンにして電流を流すと、偏光の振動面が回転することがわかったのです。電磁石のスイッチを切ると、偏光の振動面が元に戻りました。彼は、磁界が偏光の振動面を回転させることを発見したのです。

 彼は鉛ガラスの他にも透明な材料を使って同じ実験を行いました。すると、材料によって程度は異なるものの、磁界の強さを大きくすると、偏光の振動面の回転の度合いが大きくなることを発見しました。また、電磁石の磁極を逆にすると、偏光の振動面が回転する方向も逆向きになることを発見しました。

 このようにして、ファラデーは光と磁気の間に関係があることを突き止めました。1845年のことでした。この現象はファラデー効果と呼ばれています。

 ファラデーの一連の実験によって、光と磁気の間に関係があり、そして、磁気と電気の間に関係があることがわかりました。彼は、1846年に「光線振動の考察」という論文にまとめ、光が電磁波であることを予見しています。光が電磁波であることを理論的にまとめる仕事は、イギリスの物理学者ジェームス・クラーク・マクスウェルが引き継ぐことになったのです。

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2012年3月 7日 (水)

ファラデーとマクスウェル (Century Books―人と思想)

電気と磁気の間に何らかの関係があるのではないかと考え、電磁気の研究を始めたマイケル・ファラデーと、ファラデーの研究成果をもとに、電磁波の存在を予言したジェームス・クラーク・マクスウェル。この2人の功績によって電磁気学の扉が開かれました。

ファラデーとマクスウェルの人生とその功績をまとめた一冊です。

Faradaymaxwell
ファラデー(左)とマクスウェル(右)

単行本: 214ページ
出版社: 清水書院 (1993/02)
ISBN-10: 4389411152
ISBN-13: 978-4389411152
発売日: 1993/02
商品の寸法: 19.2 x 11.8 x 1.6 cm

目次

ファラデーとマクスウェルによって人類にもたらされた恩恵
1 ファラデーの一生と人となり
2 マクスウェルの一生と人となり
3 ファラデー・マクスウェルの場の思想と電磁気学の完成
ファラデーとマクスウェルの文通

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2012年3月 5日 (月)

光学迷彩で見えない透明な自動車

この自動車は光学迷彩を施したメルセデス・ベンツだそうです。

こちら側から見える表面にLEDディスプレイを貼り付け、向こう側に取り付けたデジタルカメラで撮影した映像をリアルタイムに表示しています。これによって、向こう側が透けて見える透明自動車のできあがりです。

この自動車はプロモーション用に作られ、1週間でドイツ国内を駆け巡ったそうです。

Invisible Mercedes

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2012年3月 3日 (土)

マイケル・ファラデーによる電磁誘導の発見(2)

ソレノイドと電磁石の発見

 アンペールは、あるとき導線をぐるぐる巻きにして電流を流してみました。すると、導線のまわりに、棒磁石のまわりにできる磁界と同じように磁界が生じることを発見しました。彼はこのぐるぐると巻いた導線のことをソレノイドと名付けました。ソレノイドはコイルのことです。

Photo_2

 1825年、イギリスのウィリアム・スタージョンは、アンペールが発見したソレノイドの現象について実験していたときに、コイルの中に鉄の棒を入れてみたところ、磁界が強くなる現象を見つけました。

Sturgeon_electromagnet  当時、絶縁した導線がなかったために、彼はニスで絶縁した鉄心を使いました。彼は、鉄心の両端の磁界がより強くなることに気がつき、馬蹄型に曲げた鉄心を使い、磁極が同じ側にくるようにしました。この鉄心に導線を18回巻き付けました。

 この装置は約200グラムでしたが、コイルに電流を流してみたところ、4キログラムのおもりを持ち上げることができました。彼は、この装置を電磁石と名付けました。これが世界で初めての電磁石の発明となりました。

 彼の電磁石はそれほど強いものではありませんでした。彼は、導線ではなく鉄心を絶縁したため、導線の巻き数がおのずと制限されたからです。

 その後、アメリカのジョセフ・ヘンリーがスタージョンの電磁石の改良に取り組みました。1829年、彼は鉄心に絹で絶縁した導線を密に巻くことで、非常に強力な電磁石を作りました。

Sturgeonhenry
スタージョン(左)とヘンリー(右)

電磁誘導の発見

 ファラデーはソレノイドや電磁石が発明された後に、電磁気の研究の仕事を再開しました。デービーがこの世を去ってから2年後の1831年、彼は、次の図のように、環状の鉄心(鉄の輪)に2つのコイルを巻き、一方のコイル(1次コイル:左側)を電池に、もう一方のコイル(2次コイル:右側)を検流計に接続しました。

 彼が1次コイルの電池のスイッチをつなぐと、その瞬間に2次コイルに取り付けた検流計の針が触れて振動し、しばらくすると元の位置に戻りました。また、電池のスイッチを切った瞬間にも、検流計の針が振れ、やはり、しばらくすると元の位置に戻りました。これは、通電しないままの状態や、通電したままの状態では、電流は流れないが、通電した瞬間と遮断した瞬間に電流が流れることを意味しています。続いて、彼は中空のコイルの中で磁石を動かすと、コイルに電流が流れることを発見しました。

 ファラデーが発見した現象を電磁誘導と言います。エルステッドは、電界を変化させることにより、磁界を変化させることに成功しましたが、ファラデーは磁界を変化させることにより、電界を変化させることに成功したのです。

 ファラデーの電磁誘導の発見は世界で初めて発電機の発明でもありました。彼は電気を運動に変化させるモーターを発明し、そして運動を電気に変換する発電機を発明したのです。

 こうして、電気と磁気の間に関係があることを突き止めたファラデーが次に取り組んだのは、光と電気の関係を突き止める研究でした。

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