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2011年9月

2011年9月26日 (月)

その色、どこから

■物体の色はどこから

私たちの身の周りにある多くの物体の色は太陽や電灯などの光源から物体に届いた光のうち、物体が吸収せずに反射した光の色で決まります。このように物体が特定の色の光を吸収・反射すると、色が生じます。

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ところが、空にかかる虹・シャボン玉の膜・CDやDVDの銀色の面は、普通の物体と違って光の吸収と反射で色づくわけではありません。どのような仕組みで色が生じるのか考えてみましょう。

■虹の色はどこから

1666年、イギリスのアイザック・ニュートンは、無色の太陽光をプリズムに通すと、太陽光が分解して、赤から紫まで連続的に変化する光の色の帯が現れる現象を実験で示しました。このような現象を光の分散といいます。

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そして、ニュートンは無色の太陽光は赤から紫までの色の光が混ざり合ったものであることを突き止めました。このような光を白色光と呼びます。

光の色は波長の違いであり、波長が短い方から長くなるに従って紫から赤へと変化します。物質中の光の速度は光の波長が短くなるほど遅くなります。そのため、波長の短い光は波長の長い光より大きく屈折します。

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太陽光をプリズムに通すと、光の色が赤から紫になるに従って大きく屈折するため、光が分散して光の色の帯が現れます。空にかかる虹も空気中に無数に存在する水滴で光が屈折することによって生じた光の色の帯で、その基本的な原理はプリズムで光の色の帯が生じる原理と同じです。

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■シャボン玉や油膜の色はどこから

シャボン玉の膜や水面に広がった油膜は虹のように色づいて見えます。シャボン玉の膜や油膜の虹は薄膜による光の干渉によって生じます。

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干渉とは複数の波が重ね合わさるとき、波が強め合ったり、弱め合ったりする現象です。光の波と波が干渉するとき、波の山と谷が重なる条件では、光が暗くなり、波の山と山が重なる条件では、光が明るくなります。

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次の図のように、光が薄い膜にあたると、光の一部は表面で反射しますが、膜の表面で屈折してから膜の中に入った光は、膜の中で反射して再び膜の外に出てきます。この2つの光が干渉し合い光が強め合うところと弱め合うところができるため、膜の表面に色づいた縞模様が見えます。シャボン玉や油膜の虹色の模様がさまざまに変化するのは膜の厚さが変わるためです。

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コガネムシなどの昆虫やサバなどの魚の体は金属のような光沢がありますが、これらも薄い膜が何枚も積み重なった多層膜による光の干渉によるもので金属光沢ではありません。

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■CDやDVDの虹色はどこから

CDやDVDの銀色の面をのぞくと鏡のように自分の顔が映りますが、虹のような光の色の帯が見えます。これらのディスクの銀色の面には同心円状のトラックと呼ばれる円周上にピットと呼ばれる小さな孔が開けられており、その配列によって情報を記憶しています。トラックとトラックの間隔はCDで1.6μmで、1mmあたりに625本のトラックが溝のように規則正しく等間隔に並んでいます。

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波は波長と同じぐらいの大きさの物体にあたると、その物体の陰に回り込むように広がって進む性質があります。これを波の回折といいます。光も波の性質をもつため、光が光の波長ほどの微細な物体にあたると回折します。

CDやDVDの規則正しく刻まれた溝に光があたると、光は回折を起こし、ディスクの表面でさまざな方向に広がるように反射します。このとき、光の波の干渉が起こり、光が出てくる角度によって、特定の色の光が強め合ったり、弱め合ったりします。これが連続的にくり返されて、全体として虹のような光の色の帯が見えます。このようにCDやDVDで生じる虹は、ディスクの面に規則正しく微細に刻まれた溝による光の回折と干渉によって生じます。

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物体の微細な構造によって回折や干渉で生じる色を構造色と呼びます。構造色で虹色を見ることができるのは、光源がさまざまな色の光を含んだ白色光であることも忘れてはいけません。

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2011年9月 4日 (日)

花の色はいろいろ

■花の色は色素から

 赤・黄・緑・青・紫・白など、花には実にさまざまな色があります。ひとくちに花の色と言っても、花弁の色や萼の色だったりしますが、花の色はそれらの器官の細胞に含まれる色素によって異なります。

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 私たちが見ている花の色は、次の図のように、太陽や電灯の光が花に当たったときに、色素に吸収されずに花の表面で反射する可視光線の色で決まります。 

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 ところで、白い花には色素がほとんど含まれていません。花の細胞と細胞の間には気泡がたくさん存在しています。光を吸収する色素がほとんどなく、気泡が光を乱反射させるため白色になるのです。ただし、ヒトには白色に見えても、昆虫には認識できる色素を含んだ白い花もあります。

■植物の代表的な色素は4種類

 植物がもつ代表的な色素は、フラボノイドカロテノイドベタレインクロロフィル(葉緑素)の 4 つに分類できます。この 4 つの分類名はそれぞれ化学構造が似ている色素化合物の総称です。

 フラボノイドは黄色から青色まで幅広いさまざまなな色を出す色素の仲間で、7000 種類以上の化合物があることが知られています。多くの植物がフラボノイド系の色素を持っていますが、花の色を決める代表的な色素はフラボノイド系のなかでもアントシアニンと呼ばれる化合物群で、その化学構造の違いが、花の色の違いとして現れます。

 また、アントシアニンは pH(水素イオン指数)が変化すると、色が変化するという性質があります。一般に pH が小さい酸性では赤色、pH が大きいアルカリ性では青色となります。まるでリトマス試験紙のように色が変化します。

 カロテノイドは黄色から橙色、赤色の範囲の色を出す色素の仲間です。フラボノイドも黄色を出しますが、黄色い花の多くはカロテノイドによるものです。品種改良によってカロテノイドとアントシアニンを組み合わせた花を作ると、花の色を微妙に変化させることができます。

 ベタレインは黄色から紫色を出す色素の仲間です。ベタレインはマツバボタンやサボテンなど一部の植物のみが持つ色素です。これらの花はベタレインで赤色や紫色を出します。

 クロロフィルは緑色を出す色素で、植物の葉や茎にたくさん含まれています。花はつぼみのときにはクロロフィルを多く含んでいるので緑色をしています。花が咲く時期になると、フラボノイドやカロテノイドがどんどん作られるようになるにつれて、クロロフィルが急速に少なくなります。そのため、緑色が失われて、花の色が赤色や黄色となります。ただし、カーネーションのラ・フランスのように、クロロフィルが完全に消えずに、緑色の花を咲かせるものもあります。

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アントシアニンの化学構造と色の関係
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■アジサイの色が変化するのは

 アジサイの花の色は青色や赤色をしています。同じ株の花なのに色が違っていたり、咲いている間に色が変化したりします。次の写真のアジサイも手前と奧の花の色が違います。

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 アジサイに含まれているアントシアニンはデルフィニジンという化合物です。アジサイの色は土壌が酸性だと青色、アルカリ性だと赤色になることが知られています。これは前項の説明とは逆で、アジサイの花の色は pH だけで決まらないことを意味しています。

 アジサイの花の色を左右する重要な物質は土壌中に含まれるアルミニウムです。デルフィニジンはアルミニウムと結びつくと、青くなる性質があります。つまり、アジサイは、土壌からアルミニウムを吸収すると青くなり、アルミニウムを吸収しないと赤くなるわけです。

 土壌が酸性ということは、土壌中のアルミニウムがイオンとして溶け出しやすいことを意味しています。このとき、アジサイはアルミニウムを吸収することができますから、青色となります。日本の土壌は酸性でアルミニウムイオンが多いので、アジサイの花の色は青くなりやすい傾向にあります。また、花に含まれる補助色素がアジサイの色を決める重要な役割をしています。補助色素が少ないと、アジサイがアルミニウムを吸収しても、青色になりません。

 同じ株に咲いているのに色の違う花をつけるのは、アジサイの根が四方八方に広がっているからです。根が吸収するアルミニウムの量によって、色が変わってくるのです。

 また、同じアジサイの色が咲いているうちに変化していくのはクロロフィルや補助色素の量、アルミニウムの量、細胞中の pH の変化などによるものと考えられています。

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