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2011年6月

2011年6月26日 (日)

雷のハイスピードカメラの映像(仮題)

Slow Motion Lightning

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2011年6月 7日 (火)

LEDが光るしくみ (6)

■LEDを点灯するための基本回路

 LEDを点灯させるためには電流が一定となる電源を使う必要があります。電気屋さんで販売されているLEDには電流を一定とするための抵抗が同梱されているものもあります。

 筆者の手元にあるA社の黄色LEDの説明書には次の図のような回路が使用例として掲載されていました。

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 電源電圧に応じて、抵抗の数やつなぎ方を変えるだけですから、図の通り回路を組めば抵抗値やLEDに流れる電流値などを気にすることなくLEDを点灯させることができます。しかし、図の通りに回路を組んでLEDを点灯させることができたとしても、LEDの点灯回路を理解したことにはなりません。

■LEDの仕様を理解しよう

 次の図はLEDの電圧-電流特性を示したものです。LEDは電流を流す向きが決まっています。LEDに順方向の電圧を加えると、ある電圧値から電流が流れ始めます。LEDに順方向の電流を流したときに、LEDの両端に加わる電圧のことを順方向電圧(VF)といいます。また、LEDが光っているときに流れている電流を順方向電流(IF)といいます。LEDに流れる電流が大き過ぎると、LEDが壊れたり、寿命が極端に短くなったりします。その最大の電流値を絶対最大定格電流といいます。

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 また、図からわかるとおり電流の向きを逆にすると、あるところまでは電流が流れませんが、ある電圧以上になると過大な電流が流れてLEDが壊れてしまいます。この電圧値を逆耐電圧(VR)といいます。A社のLEDの仕様書には下記のような値が掲載されていました。詳しく見ていきましょう。

LED 光度 2180 mcd(20 mA typ)
指向角 30°
順方向電圧 2 V(20 mA typ)
絶対最大定格電流 50 mA(Ta=25 ℃)
逆耐電圧 5 V
許容損失 200 mW
抵抗 470 Ω(黄紫茶金)

 光度はこのLEDの明るさを示しています。指向角はLEDから出て広がる光の明るさが、中心の光の明るさの半分になる角度を示したものです。

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 順方向電圧に(20 mA typ)と書いてあります。typはtypicalの略で「典型的な」という意味です。このことから、このLEDは20 mAの電流を流すのが標準的な使い方であることがわかります。このときLEDの両端に2 Vの電圧が加わり、LEDの明るさが2180 mcdになるわけです。絶対最大定格電流50 mA(Ta=25 ℃)は25 ℃で50 mAを超える電流を流してはいけないという意味です。逆耐電圧5 Vは電流を逆方向に流したときに5V以上の電圧をかけてはいけないという意味です。許容損失はLEDの最大許容消費電力です。

 これらの値はLEDの種類によって異なります。LEDの詳しい仕様はLEDのメーカーが公開しているデータシートに掲載されています。LEDの型番がわかればメーカーのWebサイトで見つけることができるでしょう。それではA社のLEDを付属の抵抗を使って点灯させるしくみを考えてみましょう。

■抵抗の直列回路と並列回路

 最初に示した3つの回路でLEDを組み込まない状態で電流がどれぐらい流れるのかを計算してみましょう。電源に抵抗を直列と並列に接続した場合の電圧・電流・抵抗の関係は次の図のようになります。

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 ここで、Vは電源電圧、Iは回路全体に流れる電流、Rは合成抵抗です。V1とV2、I1とI2はそれぞれ抵抗R1とR2にかかる電圧と電流です。

 R1とR2を470 Ωとして、オームの法則V=IRを使って回路全体に流れる電流を計算してみると次の表のようになります。電流が抵抗によって制限されていることがわかります。回路に流れる電流を制限する目的で使う抵抗を電流制限抵抗、電流を一定値とする目的で組み込まれる回路を定電流制御回路と呼ぶ場合があります。

回路1 抵抗が並列 13mA(3V)~38mA(9V)
回路2 抵抗が1つ 17mA(8V)~34mA16V)
回路3 抵抗が直列 16mA(15V)~27mA(25V)

* 抵抗は電流が流れると発熱します。抵抗の定格電力(P=VI=RI2)を超えて使うと、高温になったり、煙を出して燃え出したりするので注意が必要です。

■LEDを回路に組み込む

 次に回路にLEDを組み込んだ場合を考えてみましょう。電流制限抵抗の接続の仕方に関わらず、抵抗全体を定電流制御回路として考えると、LEDを点灯するための基本回路1~3は次の図のように一般化して図示することができます。この場合、定電流制御回路とLEDは直列接続ですから、電圧と電流と抵抗の関係は図中の式のようになります。LEDで電圧降下が起こるため、定電流制御回路には電源電圧とLEDに加わる電圧(順方向電圧)の差分の電圧が加わります。抵抗値やLEDに流れる電流値の計算にはこの電圧降下を考慮する必要があります。

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次の問題を考えてみましょう。

【問題】
順方向電圧が2 VのLEDに電流を20 mA流して光らせたい。電源電圧を 6Vとしたとき、何Ωの抵抗を接続すれば良いか? また、そのときの抵抗の消費電力とLEDの消費電力は何ワットになるか?

【答え】
 抵抗値
  R=(V-VF)/IF より
  R=(6-2)/0.02
  R=200 Ω
 抵抗の消費電力
  Vr×IF =(6-2)×0.02=80 mW
 LEDの消費電力
  VF×IF=2×0.02= 40 mW

 計算の結果から200Ωの抵抗を取り付ければ良いことになりますが、厳密に200 Ωでなくても構いません。例えば、基本回路1(470 Ωの抵抗2つを並列接続した回路)の合成抵抗Rは1/R=1/470+1/470から235 Ωです。電源電圧が6 Vのときに流れる電流IFは17 mAになりますが、LEDは点灯します。

 LEDが点灯するかどうかはp型半導体の正孔とn型半導体の電子が移動して再結合するかどうかで決まります。ですから厳密な値でなくても良いのです。

 LEDの点灯回路を設計するうえで重要なことはLEDの仕様の範囲でいかに安全にLEDを明るく点灯できるようにするかです。LEDに流す電流を適切にすること、逆耐電圧を超えないようにすること、LEDや抵抗の消費電力などに注意してください。LEDは熱に弱いので半田付けをするときに長時間熱をかけないようにするなどの注意が必要です。

 6回にわたってLEDのしくみについて説明してきました。LEDを使った実験はRikaTanの記事で紹介されています。LEDの実験をするときに、今回の連載記事を思い出して頂ければ幸いです。

* 抵抗を使った定電流制御回路は電源電圧が乾電池のように一定の場合によく使われます。定電流ダイオード(CRD)という素子を使う場合もありますが、今回はCRDの説明は省きました。

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2011年6月 3日 (金)

LEDが光るしくみ (5)

■LEDと豆電球の違い

 LEDは一見すると豆電球(ムギ球)によく似ていますが、LEDの使い方は豆電球とは異なります。LEDと豆電球の違いをまとめておきましょう。

豆電球は次の図のように特別な回路を必要とせず乾電池に接続するだけで点灯します。このとき、電池の正極と負極の向きを気にする必要はありません。

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 豆電球に電流を流すと、フィラメントの抵抗によって、フィラメントがジュール熱を発します。フィラメントの温度が数百℃になると、フィラメントの色は暗赤色になります。さらに温度が高くなると、フィラメントの色は赤、橙、黄と次第に明るくなり、ついには白色光が発せられるようになります。このように物体が熱を光として放出する現象を熱放射といい、物体が高温で白い光を出している状態を白熱といいます。豆電球はこの熱放射を利用した白熱電球であり、電気エネルギーをいったん熱エネルギーに変換してから光を出すタイプの電灯です。

 白熱電球から出る光の色はフィラメントの温度で決まります。白熱電球が明るく光っているとき、次の図のようなスペクトルの光を出しています。豆電球を電池につなぐと一瞬にして明るくなるように見えますが、フィラメントから白色光が発せられるまでには、フィラメントの温度が十分に上昇する必要があり、その分だけ時間がかかります。

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 豆電球は電圧を高くするほどフィラメントに流れる電流が多くなり、フィラメントの温度が高くなって明るくなります。豆電球に流れる電流は電圧に比例し、大雑把には(注1)オームの法則の電圧と電流の関係と同じです。つまり、豆電球にかかる電圧が一定であれば、豆電球に流れる電流も一定となります。

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(注1)大雑把には:フィラメント(金属)は温度が高くなると、抵抗が大きくなるため、電球ではオームの法則は成り立ちません。

 ですから、豆電球を点灯するには電圧が一定の電源を使えば良いのです。そのため、豆電球には2.5V、3.8V用など定格電圧が表示されています。例えば、2.5V0.3Aの豆電球は、2.5Vの電圧が加わったときに、0.3Aの電流が流れ、消費電力は0.75Wになります。同じ2.5Vの豆電球でも、電流が0.5Aの方が消費電力が大きくなるので明るくなります。ところで、1.5Vの乾電池を2個直列につなぐと3Vですが、電池の内部抵抗や、電池の起電力の低下により電圧降下が起こるため豆電球に加わる電圧は3Vより小さくなります。

 豆電球が点灯しているとき、フィラメントは酸化・昇華しながら細くなっていきます。長時間使用すると、やがてフィラメントが断線します。また、豆電球の定格電圧より高い電圧をかけると、寿命が短くなったり、フィラメントが焼き切れたりします。

 白熱電球は構造が簡単ですが、光を得る効率は低く電気エネルギーのほとんどが熱エネルギーとして失われてしまいます。100Wの電球では可視光線の変換効率が10%前後であり、残りは赤外線や熱伝導で失われます。そのため、最近では省エネルギーや地球温暖化の対策のため、白熱電球の使用を禁止する方針を打ち出している国もあります。

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LEDはこれまで説明した通り、電流が流れる向きが決まっています。電球は周期的に電流の向きが変わる交流でも連続的に点灯させることができますが、LEDは交流では人間の目では見分けることができない点滅発光となります。

 LEDに電流を流すと、p型半導体とn型半導体の接合面で正孔と電子が出合い、電子のエネルギーが光として放出されます。このようにLEDは電気エネルギーを直接光エネルギーに変換するタイプの電灯です。

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 LEDの発光色は半導体のバンドギャップの大きさで決まります。ですから、LEDに流す電流の大きさを変えても、明るさが変わるだけでLEDの発光色は変わりません。LEDから出る光は特定の波長を中心とした光で、白熱電球のように広い範囲の波長の光が含まれていません。LEDで白色光を得るためには、LEDが光るしくみ(4)で説明した通り、蛍光物質を使用したり、赤緑青のLEDを組み合わせたりする必要があります。また、LEDは電流が流れると直ちに発光するため、電球のように発光に時間がかかりません。そのため、LEDは素早く点滅させることが可能であり、光通信にも使えます。

 LEDの電圧と電流の関係は次の図のようになります。図からわかるとおり、ある電圧を超えるまでは電流が流れません。電流が流れなければLEDは発光しません。LEDに加える電圧を上げていくと電流が流れて発光しますが、LEDに流れる電流はわずかな電圧の変動で大きく変化します。電圧が高くなると、大きな電流が流れて、LEDが高温となり、壊れてしまいます。従って、LEDを点灯させるためには電流が一定となる電源を使う必要があります。

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 乾電池でLEDを発光させる場合には、抵抗を入れるなどしてLEDに流れる電流を制限する必要があります。LEDを点灯させるのに必要な電圧や電流はLEDの説明書に表示されています。それらについては後述します。

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 LEDの可視光線の変換効率は電球の約2倍以上です。ですから、電球と同じ明るさの照明をLEDで作れば消費電力が電球の半分以下で済むことになります。電球の寿命は数千時間程度ですが、LEDの寿命は数万時間です。また、LEDは電球に比べて、振動や衝撃に強いという特長もあります。LEDは光量が少ないという欠点がありましたが、最近は光量の大きなLEDも実用化されています。電球ソケットに取り付けられるLEDランプも登場しています。

電球とLEDの違いを次の表にまとめます。

電球 LED
発光体 フィラメント 半導体 (注2)
極性 なし あり
発行色 フィラメントの温度で決まる バンドギャップの大きさで決まる(注2)
点灯 遅い 速い
電源 電圧制御 電流制御
寿命 短い 長い
消費電力 大きい 小さい
発行効率 低い 高い
(注2)白色LEDでは蛍光物質を併用する

LEDを点灯するためには

LEDを点灯するには電流が一定になるようにしなければなりませんが、抵抗つきのLEDを買ってきて、説明書に書いてある通りに回路を組めば簡単に点灯させることができます。LEDの説明書を見てみると、順方向電圧や絶対最大定格電流などの数値が出ています。これらの値はLEDを点灯させる回路を組む上で注意しなければならない非常に重要なものです。

LEDの点灯についてはLEDが光るしくみ(6)で説明します。

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2011年6月 2日 (木)

光が生まれたのはいつだろう

この宇宙はおよそ137億年前に誕生したと考えられています。生まれたばかりの宇宙は超高温・超高密度の極めて小さな空間でしたが、すぐに膨張を始めました。この宇宙の初期状態のことをビッグバンと言います。初期の宇宙では、物理法則も現在私たちが知っているものとは異なっていたと考えられています。

宇宙が誕生すると光子を含む素粒子が生まれました。そして、クオークと呼ばれる素粒子が集まり、陽子や中性子ができました。この陽子と中性子が集まって水素やヘリウムの原子核ができました。宇宙空間は極めて高温であり、大量の電子が宇宙空間を自由に飛び回っていました。光子は電子に強く散乱され、宇宙空間をまっすぐに進むことができない状態でした。別の言い方をすると光子が宇宙空間を透過することができない状態、つまり宇宙は不透明だったのです。このときの光子の振る舞いは私たちがよく知っている光の振る舞いとはだいぶ違っていたと考えられます。

宇宙が誕生して約38万年後、宇宙の温度が低下すると、電子が原子核に捉えられ原子となりました。これによって光子が宇宙空間をまっすぐに進むことができるようになりました。つまり、光が宇宙空間を長距離進むことができるようになり、宇宙が透明になったのです。これを宇宙の晴れ上がりと言います。私たちが日常体験の中でよく知っている光は宇宙の晴れ上がりのときに生まれたと考えて良いでしょう。

宇宙の晴れ上がりで自由になった光子は現在も観測することができます。この光を宇宙マイクロ波背景放射(宇宙背景放射)と言います。宇宙マイクロ波背景放射は宇宙の全方向から等しくやってくる電磁波です。この電磁波のスペクトルは2.725 Kの黒体放射のスペクトルによく一致しており、この光を調べることによって、宇宙の誕生や生い立ちを調べたり、推測したりすることができます。宇宙マイクロ波背景放射は私たちが出合うことができるもっとも古い光です。

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