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2011年6月 7日 (火)

LEDが光るしくみ (6)

■LEDを点灯するための基本回路

 LEDを点灯させるためには電流が一定となる電源を使う必要があります。電気屋さんで販売されているLEDには電流を一定とするための抵抗が同梱されているものもあります。

 筆者の手元にあるA社の黄色LEDの説明書には次の図のような回路が使用例として掲載されていました。

090119_img1_w150

 電源電圧に応じて、抵抗の数やつなぎ方を変えるだけですから、図の通り回路を組めば抵抗値やLEDに流れる電流値などを気にすることなくLEDを点灯させることができます。しかし、図の通りに回路を組んでLEDを点灯させることができたとしても、LEDの点灯回路を理解したことにはなりません。

■LEDの仕様を理解しよう

 次の図はLEDの電圧-電流特性を示したものです。LEDは電流を流す向きが決まっています。LEDに順方向の電圧を加えると、ある電圧値から電流が流れ始めます。LEDに順方向の電流を流したときに、LEDの両端に加わる電圧のことを順方向電圧(VF)といいます。また、LEDが光っているときに流れている電流を順方向電流(IF)といいます。LEDに流れる電流が大き過ぎると、LEDが壊れたり、寿命が極端に短くなったりします。その最大の電流値を絶対最大定格電流といいます。

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 また、図からわかるとおり電流の向きを逆にすると、あるところまでは電流が流れませんが、ある電圧以上になると過大な電流が流れてLEDが壊れてしまいます。この電圧値を逆耐電圧(VR)といいます。A社のLEDの仕様書には下記のような値が掲載されていました。詳しく見ていきましょう。

LED 光度 2180 mcd(20 mA typ)
指向角 30°
順方向電圧 2 V(20 mA typ)
絶対最大定格電流 50 mA(Ta=25 ℃)
逆耐電圧 5 V
許容損失 200 mW
抵抗 470 Ω(黄紫茶金)

 光度はこのLEDの明るさを示しています。指向角はLEDから出て広がる光の明るさが、中心の光の明るさの半分になる角度を示したものです。

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 順方向電圧に(20 mA typ)と書いてあります。typはtypicalの略で「典型的な」という意味です。このことから、このLEDは20 mAの電流を流すのが標準的な使い方であることがわかります。このときLEDの両端に2 Vの電圧が加わり、LEDの明るさが2180 mcdになるわけです。絶対最大定格電流50 mA(Ta=25 ℃)は25 ℃で50 mAを超える電流を流してはいけないという意味です。逆耐電圧5 Vは電流を逆方向に流したときに5V以上の電圧をかけてはいけないという意味です。許容損失はLEDの最大許容消費電力です。

 これらの値はLEDの種類によって異なります。LEDの詳しい仕様はLEDのメーカーが公開しているデータシートに掲載されています。LEDの型番がわかればメーカーのWebサイトで見つけることができるでしょう。それではA社のLEDを付属の抵抗を使って点灯させるしくみを考えてみましょう。

■抵抗の直列回路と並列回路

 最初に示した3つの回路でLEDを組み込まない状態で電流がどれぐらい流れるのかを計算してみましょう。電源に抵抗を直列と並列に接続した場合の電圧・電流・抵抗の関係は次の図のようになります。

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 ここで、Vは電源電圧、Iは回路全体に流れる電流、Rは合成抵抗です。V1とV2、I1とI2はそれぞれ抵抗R1とR2にかかる電圧と電流です。

 R1とR2を470 Ωとして、オームの法則V=IRを使って回路全体に流れる電流を計算してみると次の表のようになります。電流が抵抗によって制限されていることがわかります。回路に流れる電流を制限する目的で使う抵抗を電流制限抵抗、電流を一定値とする目的で組み込まれる回路を定電流制御回路と呼ぶ場合があります。

回路1 抵抗が並列 13mA(3V)~38mA(9V)
回路2 抵抗が1つ 17mA(8V)~34mA16V)
回路3 抵抗が直列 16mA(15V)~27mA(25V)

* 抵抗は電流が流れると発熱します。抵抗の定格電力(P=VI=RI2)を超えて使うと、高温になったり、煙を出して燃え出したりするので注意が必要です。

■LEDを回路に組み込む

 次に回路にLEDを組み込んだ場合を考えてみましょう。電流制限抵抗の接続の仕方に関わらず、抵抗全体を定電流制御回路として考えると、LEDを点灯するための基本回路1~3は次の図のように一般化して図示することができます。この場合、定電流制御回路とLEDは直列接続ですから、電圧と電流と抵抗の関係は図中の式のようになります。LEDで電圧降下が起こるため、定電流制御回路には電源電圧とLEDに加わる電圧(順方向電圧)の差分の電圧が加わります。抵抗値やLEDに流れる電流値の計算にはこの電圧降下を考慮する必要があります。

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次の問題を考えてみましょう。

【問題】
順方向電圧が2 VのLEDに電流を20 mA流して光らせたい。電源電圧を 6Vとしたとき、何Ωの抵抗を接続すれば良いか? また、そのときの抵抗の消費電力とLEDの消費電力は何ワットになるか?

【答え】
 抵抗値
  R=(V-VF)/IF より
  R=(6-2)/0.02
  R=200 Ω
 抵抗の消費電力
  Vr×IF =(6-2)×0.02=80 mW
 LEDの消費電力
  VF×IF=2×0.02= 40 mW

 計算の結果から200Ωの抵抗を取り付ければ良いことになりますが、厳密に200 Ωでなくても構いません。例えば、基本回路1(470 Ωの抵抗2つを並列接続した回路)の合成抵抗Rは1/R=1/470+1/470から235 Ωです。電源電圧が6 Vのときに流れる電流IFは17 mAになりますが、LEDは点灯します。

 LEDが点灯するかどうかはp型半導体の正孔とn型半導体の電子が移動して再結合するかどうかで決まります。ですから厳密な値でなくても良いのです。

 LEDの点灯回路を設計するうえで重要なことはLEDの仕様の範囲でいかに安全にLEDを明るく点灯できるようにするかです。LEDに流す電流を適切にすること、逆耐電圧を超えないようにすること、LEDや抵抗の消費電力などに注意してください。LEDは熱に弱いので半田付けをするときに長時間熱をかけないようにするなどの注意が必要です。

 6回にわたってLEDのしくみについて説明してきました。LEDを使った実験はRikaTanの記事で紹介されています。LEDの実験をするときに、今回の連載記事を思い出して頂ければ幸いです。

* 抵抗を使った定電流制御回路は電源電圧が乾電池のように一定の場合によく使われます。定電流ダイオード(CRD)という素子を使う場合もありますが、今回はCRDの説明は省きました。

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